杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

茶道に学ぶお辞儀の作法

2011-09-24 22:05:55 | 駿河茶禅の会

 先日の台風15号は家の中にいてもビビりました。我が家はマンション3階の角部屋で3方向に窓があり、雨戸が付いていないので、窓を叩きつける風雨に部屋全体が地震のときのように揺れるのです。家のすぐ横を流れる側溝は水位がまたたく間に上昇し、今にあふれ出してニュースでよく見る水害みたいになっちゃうのかとマジで怖くなりました。

 

 そんな台風襲来の日、夜には静岡県ニュービジネス協議会のメンバー中心に始めた『茶道に学ぶ経営哲学研究会』の第2回例会を強行開催しました。会場の「あざれあ」は当日の会議室予約がほとんどキャンセルになったようで、入口の催事案内掲示板には当会の案内も事務所の手違いで勝手に中止扱いにされてました(苦笑)。

 

 他の団体がキャンセルしたおかげで駐車スペースが多めに確保できて、参加した人には都合がよかったけど、結局、ライフライン関係の企業に勤める人で職場を離れられなくなったり、地区の防災委員で呼び出しがかかったり、JRが止まって静岡へ来れなくなったり・・・等などで欠席者も多く、菓子や軽食を準備していたスタッフ側としてはヤキモキしました。

 

 

 聞けば、お茶の先生というのは、事前準備に細心の気配りをはかりながらも、当日ドタキャンの生徒がいても文句ひとつ言えないとか。実際に茶事を行う際も、亭主は客をもてなすためにトコトン尽くす。いつ来るかわからない、本当に来るかどうかわからない客に対しても細心の準備をする。・・・“人間”が出来ていないと亭主って務まらないんだな~と思います。

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 この日は講師の望月静雄先生が、茶室での立ち振舞いを一人ひとり指導してくださいました。茶室に入室する前、庭のつくばいで手や口を濯ぐときの作法、和室のふすまを開けるときの作法、お辞儀の作法、茶室に入室してから着座するまでの作法、お菓子をいただくときの作法・・・。いやぁ、な~んにもわかってないってことがわかって、日本人のくせに和室の構造や立ち振舞いの基本をちゃんと教わったことがないまま人生半分以上過ぎちゃったと思うと、末恐ろしくなりました(苦笑)。

 

 

 なんといっても、正座したときのお辞儀の作法ですね。これ、ちゃんと知ってないと日本人としてまずいんじゃないかって痛感します。

 

 もっとも重い「真」の礼は、手のひらをすべて畳につけて、背筋を伸ばしたまま、お腹を膝に付けるくらい上体を前にかがめます。時間的には頭を下げてもどすまでトータル9拍くらい。

 

 「行」の礼は客どうしの挨拶のお辞儀。手の指の第二関節から先を畳に付け、背筋を伸ばして上体を前にかがめます。時間的には6拍ぐらい。

 

 一番軽い「草」の礼は指先を膝の前の畳に付けて、上体を軽く前に下げます。時間的には3拍ぐらい。

 

 

 どのお辞儀も、背筋がきちんと伸びていないとみっともないですね。立礼でも同様。「真」の立礼は表彰式の時ぐらいしかしないスペシャルな礼ですが、背筋をピーンとさせ、お腹をしめ、45度ぐらいの角度までしっかり上体をかがめる。先日、首相が宮中任命式で天皇陛下にお辞儀をしていた姿は、背中が丸まっていてあまり恰好がよろしくなかったよう。ふだんからマナーを心得ているかどうかって、こういうときにわかってしまうんですねえ・・・。

 

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 ビジネスシーンで一番使うのが「行」の立礼で、目上の上司や顧客に挨拶をするとき、きちんとお辞儀ができるかできないかって大事です。背筋を伸ばし、30度程度まで上体をかがめます。

 

 同じ人に同じ日にふたたび会ったときは、角度15度ぐらいの「草」の立礼で。人とすれ違うとき、会議室へ入るとき、お茶を出す時など、「行」では仰々しい場合にはこれでOKですが、やっぱり背筋がちゃんと伸びてないと見苦しい。

 

 姿勢を正してお辞儀をすると、おへそのあたりの丹田にグッと力が入ります。ここを鍛えると全身のバランスがよくなることを、現在通っている「ゆらら」のスポーツインストラクターの先生から教わったばかり。丹田ってなんといっても身体の中心点ですから、脂肪も溜まりやすいけど、鍛え甲斐があるというものです。正しい作法は正しい健康法にも通じるんですね。

 

 

 茶道研究会といっても、実際に自分が茶を点てられるまで山あり谷ありって感じですが、息の長い勉強会にしていきたいと思っています。次回(10月5日)は駿府公園内の紅葉山庭園茶室で先生のお点前をしかと拝見する予定です。