杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

四国ぶらりバス旅(その2)高知歴史探訪

2013-10-08 12:10:05 | 旅行記

 10月4日(金)は、静岡県ニュービジネス協議会の会員7人とともに高知市内のタウンウォッチング。

 

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 朝一で訪ねたのは、高知市中心市街から車で20分ぐらいの小高い山にある、四国霊場の名刹・五台山竹林寺です。

 

 

 創建は724年。僧の行基が聖武天皇から、中国の唐の五台山になぞらえた寺を全国に建てるよう勅願を受け、この地を選んだそうで、行基自ら彫った文殊菩薩を本尊としています。日本に現存する最古の文殊菩薩で、京都の切戸文殊、奈良の安倍文殊と並び、日本三大文殊菩薩の一つに数えられ、50年に一度、ご開帳されます。来年2014年がそのご開帳年。一生に1度、運よく拝めるかどうかですよね、こうして知ったのも仏縁ですから、ぜひ行かなければ・・・!詳しくはこちらを参照してください。

 

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 その秘仏ご本尊が祀られる本堂(文殊堂)は、江戸時代の1644年、土佐藩2代藩主山内忠義公が造営したもの。美しい茅葺屋根が印象的な室町様式の造りです。

 

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 その向かい側には高さ31メートルの堂々とした五重塔。もともと古くから三重塔があったそうですが、明治32年の台風で倒壊し、昭和55年にようやく復興できたとのこと。地蔵群とのコントラストが印象的でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 境内にある大師堂は、弘法大師がこの寺で修行し、四国霊場第31番札所に定められたことが由縁となり、本堂と同時期に造営されました。この日もお遍路さんの姿がちらほら。観光客メインの京都の寺とは違うなあと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 客殿を取り囲む庭園は、鎌倉後期に夢想国師が作庭したもの。国名勝に指定されています。

 

 宝物館には平安~鎌倉時代の仏像17体、すべて国重要文化財が整然と展示されていました。撮影は出来ませんでしたが、どれも状態がよく、大切に伝承されてきたことがうかがえます。

 お寺や歴史にさほど興味がなさそうなニュービジネス会員さんたちも、「こんな立派な寺が高知の街中にあったんだなあ」と感心しきり。静岡市内にも、丸子の柴屋寺、大岩の臨済寺など歴史的に価値ある名刹があるけど、県外から来た人をこういうふうに感動させる要素ってあるのかなあ・・・。

 

 

 

 

 

 

 次いで桂浜へ。坂本龍馬像は浜ではなく、小高い丘の上に、「あんた、なんでそんな偉そうに建っとるん?」とツッコミたくなるほど堂々と建っていました。

 

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 いや、(龍馬の業績から言えば)堂々としてるのは理解できるんだけど、「着物の着方がだらしないんだよなあ(苦笑)」とツッこむニュービジ会員さん。私も、ふと、東京の皇居外苑にある楠木正成像のカッコよさを思い出し、つい比べちゃって、「言われてみれば、銅像にするならもうちょっとピシッとしまったお姿のほうがよかったかなぁ」と。なまじ本人のリアル写真が残っていると、デフォルメしにくいというか、不利ですね(笑)。楠公の像もリアルとはたぶん、だいぶ違うと思うし・・・そう考えると、歴史教科書に載っている肖像画とか銅像って人物をイメージするのに大きな影響力があります。

 

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  桂浜では、前夜、地酒バー「ぼくさん」で知り合った酒徒のお一人から土佐闘犬センターに行くよう勧められたんですが、闘犬ショーの時間が合わず、看板だけ拝見しました。看板、インパクト有りすぎでしょう(笑)。

 

 

 

 

 

 

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 桂浜から龍頭岬を散策しながら、前日の新事業創出全国フォーラムで講演をされた森館長お勤めの高知県立坂本龍馬記念館へ。

 

 

 

 

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 外観はイメージしていたのとだいぶ異なり、マリンリゾート風の建物で、入口にはシェイクハンドポーズの龍馬さん。館内には常設展示、企画展示、図書館、スクリーンコーナー、ミュージアムショップ等があり、子どもたちの歴史教材になりそうな資料がたくさん展示されていました。

 

 

 展示史料の多くは、複製の文書類。真物は宮内庁や京都国立博物館等に保管されているようです。保存の観点からみれば、複製でも全然構わないのですが、文書ばかりが並ぶフロアはもう少し展示レイアウトを工夫してもよいかも。

 

 

 

 

 それにしても、龍馬さんって聞きしに勝る“筆まめ”な人だなあと実感します。

 コピーライターとしてグッときたのは、文久3年6月29日、姉の乙女さんに宛てた手紙(複製)にある、「日本(にっぽん)を今一度せんたくいたし申候事ニいたすべく…」の一節。有名な言葉ですが、実際に本人の文字を見ると、“日本を洗濯する”って表現のセンスのよさや、途方もないスケール感に、すごいクリエーターだなあと改めて感服します。こういう言葉を、勤皇同志ではなく、身内にサラッと書き残すところも粋ですねえ。

 

 

 

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 桂浜近くの食堂で鰹のたたき(ステーキみたいに肉厚プルプルで美味でした!)を食べた後、午後は高知城へ。パッと見はこじんまりした造りですが、日本でただ一つ、本丸の建築群すべてが江戸時代のまま現存する国宝の名城です。

 

 

 

 

 

 

 

 高知城、私はお城オタクではないけど、一歴史ファンとして、軍事拠点として造られた城の構造から、当時の政治状況や土佐藩の経済力等を推し量る楽しみ方があります。

 

 

 

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 追手門から鉄手門、詰門と、各ゲートに張り巡らされた防衛シート。本丸御殿の各所にある武器庫や警護武士の番所。欄間は土佐の荒波を表現したデザインで、1601年から1611年まで10年がかりで築城された創建当時は金箔張りのふすまなど贅を尽くした造りだったそうですが、1727年に焼失した後、財政難で天守閣が復興したのは20年後。・・・戦乱の時代ははるか昔だったのに、やっぱり無理してでも天守閣を再建しなくちゃ、藩として体面がつかなかったんでしょうか。結局、明治維新によって廃城となり、本丸と追手門以外はすべて取り壊されてしまいました。

 

 

 それにしても、天守閣まで登る急階段のキツさといったら・・・。これを、鎧兜で完全武装して駆け上がるお侍さんたちの体力を考えたら、現代人はとてもかないません。平成の今、静岡から高速バスで13時間、やたら遠いと実感する高知の地に、400年以上前、すべて手作業でこれだけの建造物を造るって、当時の日本人の、身体能力はもちろんのこと、技術力、情報収集能力たるや、とんでもないと想像しちゃいます。この城が、近年に復元再建されたものではなく、江戸時代に非動力で築かれたホンモノだけに、よけいに実感します。

 

 

 ニュービジネス協議会では、定期的に東京ビッグサイトや幕張メッセで開かれる最先端の技術展示会を視察し、人間の身体能力や感覚に代わるロボットやIT技術のすごさに感心していますが、視方を変えると、人間自身の身体機能はどんどん劣化していくんですね。SF映画に描かれる、手足がもやしみたいに退化した、頭デッカチ&ギョロ眼の宇宙人・・・あれ、間違いなく人間の近未来の姿だ、と切実に思いました。(つづく)

 


四国ぶらりバス旅(その1)~高知の“土佐の日”

2013-10-07 11:12:00 | 地酒

 10月3日から5日まで四国をバス旅してきました。2日夜22時に静岡発の夜行バスで神戸まで行き、3日朝7時50分発高知行きに乗り換えて昼12時前に到着。バス旅は慣れてるけど、こんな長時間乗りっ放しってのは初めて。さすがに腰が辛かったけど、四国に行くのは初めてで、明石Imgp1719~鳴門大橋を渡る時は、妙にワクワクし、当たり前だけど「日本の道ってつながっているんだな~」と感動しちゃいました。

 

 

 

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 今回の四国行きの第一目的は、3日13時から高知県立県民文化ホールで開かれた『第9回新事業創出全国フォーラム in Kochi 』。経産省の外郭団体・中小企業基盤整備機構と公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会が主催する年に1度のニュービジネスフォーラムで、毎年各地のニュービジネス協議会が主管・運営し、各地で開催しています。今年は高知、来年は静岡で開催するので、来年のPRを兼ね、静岡県ニュービジネス協議会でも20人が高知入りしたました。

 

 

 静岡のほかの会員さんは、みなさん企業オーナーや重役さんたちですから飛行機や新幹線でゆったり高知入り。貧乏ライターの私だけが長時間だけど格安のバス旅、というわけです

 

 

 

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 会場入りする前、バスの終点が、河田小龍(大河ドラマ『龍馬伝』でリリー・フランキーさんが演じてましたね)の碑&はりまや橋近くだったので、記念写真。

 

 

 「観るとガッカリするよ」と言われていたはりまや橋、橋そのものは、時代劇のセットレベル(失礼!)ですが、“はりまや橋”という地名は駅名や道路標識にもあるし、何より高知を真っ先にイメージさせるブランドそのものになっている。Imgp1724・・・考えてみれば凄いことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 第9回新事業創出全国フォーラムでは、毎年、全国各地のニュービジネス協議会から推薦を受けた企業の中から、【ニッポン新事業創出大賞】を選ぶコンペティションがあります。

 今回は全国から36社がエントリーされ、12社が入賞。静岡県ニュービジネス協議会からは、LEDよりも長寿命で8割省エネという高効率照明「エネプライト」を開発した㈱TOSMO(磐田市)を推薦し、見事、アントレプレナー部門優秀賞を受賞しました。

 

 

 また新事業を支援する団体・個人を表彰する支援部門で、富士市産業支援センターf-Bizの小出宗昭センター長が優秀賞を受賞しました。小出さん、残念ながら会場にはお見えになってませんでした。

 

 

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 大賞(最優秀賞)は、高知県土佐市の廣瀬製紙㈱。世界一薄い超薄葉不織布を造る技術を持ち、これを濾過フィルター膜に応用し、多くの製造現場で活用されているそうです。1958年に創業した会社がこの新事業に取り組み始めたのが2009年。50年目にしてベンチャーに挑み、新規の雇用拡大やグローバル連携を実現させた企業の姿勢そのものも、高く評価されたようです。

 

 

 基調講演では、高知県立坂本龍馬記念館の森健志郎館長が『今、なぜ龍馬か?』と題し、グローバルな視点を持った人材育成の重要性を、パネルディスカッションでは高知県民総幸福度GKH(Gross Kochi Hapiness)のニュービジネスにおける視点について坂本家9代目当主・坂本登氏と企業人たちが語り合いました。私はその後の大懇親会の静岡プレゼン準備のため、聞きそびれてしまいましたが・・・。

 

 

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 18時30分から三翠園(土佐藩山内家下屋敷跡)で開かれた土佐の日代懇親会。“本物の豊かさ”や“出会いによる感動”、さらに“環境との共生”を実感できる県として全国に情報発信し、GKHを物差しに、土佐ならではのこだわりの人・物との出会いや交流を活性化するため、10月3日を「土佐の日」と定め、記念事業として2007年より毎年高知市で開催している交流イベントで、今年は新事業創出全国フォーラムと共同開催。よさこい踊りで賑やかに開幕しました。

 

 

 

 ちなみに「大懇親会」とは、自由民権運動のとき、板垣退助や若き牧野富太郎たち運動家が、デモ行進のあと、当時の陽暉楼や周辺の河原で語り、宴会を催したときの呼び名だそうです。

 

 

 

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 大懇親会会場には、さすが土佐の日、高知県内各市町村から集まった郷土料理や旬の食材が集まり、地酒で乾杯。酒のイベントじゃないのに、乾杯は燗酒&お猪口でやるんですね。さすが酒豪県!

 

 

 

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 静岡県ニュービジネス協議会からの参加組は、会長の鴇田勝彦さん(TOKAI)、副会長の曽根正弘さん(テレビ静岡)、実行委員会の原田道子さん(総合ビジネスプレイン道)以下20名が壇上に上がり、富士山世界文化遺産のDVDを流し、静岡県観光&来年の全国フォーラムのPRを盛大に行いました。

 

 

 

 

 

ふじっぴーは高知の財界の皆さんにも大うけで、 Imgp1769_2
坂本登さんも大喜び。私としては、ふじっぴーの“変身方法”を直に見られて興味津々(笑)。

 

 鴇田会長も、日本ニュービジネス協議会連合会の池田会長(アルビレックス新潟会長)から「静岡の熱意に感動した」と激励されて上機嫌。新潟の銘酒『今代司』を手土産にいただき、会員さんの手から手へと回り、最後になぜか私のところへ。静岡まで後生大事に持ち帰る羽目になりました(苦笑)。

 

 

 

 

 

 二次会では、静岡組一同で高知城ライトアップの眺めが楽しめる高知の老舗クラブへ。私は途中、一人でこっそり離脱し、地酒が呑める居酒屋へ。すでに23時を過ぎ、ガイドブックに載っていた店がクローズしており、店のスタッフさんにずうずうしく、地酒が呑める深夜営業の店はないかと訊ね、教えてもらった『ぼくさん』という地酒バーへ。

 

 

 カウンターに座っていた男性3人が呑んでいたのは、なんと、初亀の【滝上】。静岡人が飛び込んできたので3人もビックリし、マスターを交えて地酒談議で大盛り上がり。手土産代わりにカバンに詰めていた高砂誉富士の300ml瓶を空けちゃいました。Imgp1776
 

 

 

 さすがに夜行バスでほとんど寝てないのと宴会疲れで眠気が廻ってきたところに、後から6人ほどお客さんがやってきて混み合ってきたため、杯はあまり進みませんでしたが、地酒を愛する人同士だったからでしょうか、短い時間でしたが本当に密度の濃い楽しいひとときでした。

 

 やっぱり旅先で、故郷の酒が大事に呑まれているシーンに出遭うと文句無く感動してしまいますね。静岡へ戻った6日、藤枝地酒フェスでお会いした初亀の橋本社長にさっそくご報告しちゃいました。

 

 高知の酒、やっぱり吟醸以上の特定名称酒で限定流通されているものは、状態がよく、きれいでした。静岡で呑む高知の酒は、静岡の酒販店が静岡酒との違いを意識した商品をセレクトするせいか、香味の重い酒が多いんですが、地元高知のこういう店でそろえるラインナップは、ちゃんと酒杯が進むノド越しスッキリの酒が多い。個人的には『豊の梅』がよかったですね。(つづく)


10月の朝鮮通信使関連情報

2013-10-01 11:49:41 | 朝鮮通信使

 今日から10月です。10月生まれの私にとっては、一番体調が落ち着くとき。あいにくの雨模様ですが、清々しい秋の訪れを期待しましょう。

 今日、10月1日はご存知・日本酒の日。18時からはホテルセンチュリー静岡で恒例の『静岡県地酒まつり』が開かれます。9月末締め切りでタイムオーバーしてしまった原稿を、今朝5時起きで片付けて、なんとか夜はスッキリ気分で参加できそうです。

 

 今週末には、静岡県の酒米・誉富士の稲刈りイベントが焼津で開かれる予定です。都合がつかず参加できませんが、誉富士については、日刊いーしずの連載コラム【杯は眠らない】で私見を綴っていますので、よかったらご覧ください。

 

 

 

 今日は、今月開かれる朝鮮通信使関連のイベント情報をご紹介します。

 

 

静岡県朝鮮通信使研究会例会 『今絶・金絶・記松』地名考

■日時 10月10日(木) 19時~21時 

■場所 アイセル21 4階45集会室 (1階案内板では『静岡に文化の風をの会』名義になっています)

■参加無料、予約不要。どなたでも気軽にお越しください。

■内容

 朝鮮通信使は、浜名湖の「今切」を、今絶、金絶と呼びました。その理由から見えてくるものを北村欽哉先生が考察してくださいます。

 

 私事ですが、脚本を書いた映画『朝鮮通信使』で、俳優の林隆三さんにナレーションを読んでいただく際、「今切」の読み方が、イマキリなのか、イマキレなのか、イマギレなのか判らず、東京の録音スタジオで大慌てして、北村欽哉先生にお助けコールをした覚えがあります・・・。

 

 

 

高麗美術館企画展 『朝鮮通信使と京都~「誠信の交わり」への道』

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■日 時
 10月19日(土)~12月23日(月・祝) 10時~17時

■場 所 高麗美術館(京都市北区紫竹上岸町15)

■入館料 一般800円

■内 容

 京の名刹に伝わる書画や詩文、朝鮮通信使ゆかりの高麗茶碗等から、朝鮮文士と京の人々との交流を偲び、雨森芳洲(1668~1755)の唱えた隣国との「信(よしみ)」について、文化的な視点から考察する展覧会です。

 

 こちらも私事ですが、映画『朝鮮通信使』のロケでお世話になり、その後、参禅に通っている京都・興聖寺さんから、松雲大師の墨蹟が初公開されます。映画では所蔵先を示すことをお許しにならなかった和尚さんが、展覧会の趣旨に賛同し、門外不出だった寺宝を初めて出品してくださることになりました。

 日韓関係が難しい今こそ、秀吉の朝鮮侵略戦争という負の戦後処理にあたった松雲大師と、交渉相手の徳川家康―両者の政治判断を、改めて見直す好機です。このタイミングで松雲大師の直筆の書を間近に見るというのも、大変貴重な機会だと思います。

 

 

 

 静岡県民はこちらの講座も必見です!

 

講座『四百年前の日朝国交回復の立役者―松雲大師と徳川家康』

■講 師 仲尾宏氏(本展監修者・高麗美術館理事・京都造形芸術大学客員教授)

■日 時 10月26日(土) 14時~15時30分

■場 所 高麗美術館研究所(美術館向かい)

■費 用 1500円(展覧会入館料込み)

■要申込 高麗美術館(TEL 075-494-2238)

 

 講座は11月9日、11月16日、12月14日にも別のテーマで開かれます。詳しくは、高麗美術館のホームページ(こちらでご確認ください。