1月26日 NHK海外ネットワーク
西アフリカのセネガルは音楽が盛んな国である。
世界で活躍するミュージシャンを大勢輩出してきた。
全米ヒットチャートで1位を獲得したAKONさん。
グラミー賞を受賞したユッスー・ンドゥールさんなどがいる。
セネガルのヒップホップグループ CARRE DA'Sカレダス。
“4人のエース”を意味するこのグループは期待の若手4人で結成された。

正しい道を切り開く
自分を信じ 前に進め
と呼びかける歌詞が共感を呼び急速に人気が出ている。
「ビートも歌詞も本場・アメリカのヒップホップに引けを取っていない。」
首都ダカールの隣にあるピキン市は
人口約90万人の半数がスラムに住んでいると言われている。
グループの中心 バルバラさん(29)。
去年 地元のヒップホップグループ300組が出場した大会で優勝。
スラムの子どもたちのヒーローである。

貧困から抜け出せる
何もないところから英雄は生まれる
(バルバラさん)
「スラムで起こったことをテーマに曲を書いている。
懸命に頑張れば道は開ける。
現状から抜け出せることを若者たちに伝えたい。」
子どもの頃 日常の出来事を歌にして周りの人を楽しませていたというバルバラさん。
厳しい暮らしの中でもみんなを笑顔にできるヒップホップにのめり込んできた。
貧しさから高校を中退した後
兄の靴屋を手伝いながら本格的に活動を開始。
なかなか芽が出なかったが歌で自分を勇気づけてきた。

1本だけ残っている柱が俺だ
誰にも負けない 倒されない
7人兄弟のバルバラさんに家族は働いて欲しかったと言う。
(バルバラさんの兄 モードゥさん)
「何度も音楽をやめさせようとしたが
結局 私が折れた。
弟の仕事はヒップホップと理解し自由にやらせている。」
楽器を買う余裕がなかったためリズムを口ずさみ音に起こしてもらうのが
バルバラ流の作曲。
(バルバラさん)
「曲のイメージはこう伝える。」
バルバラさんのライブを見つめる日本人女性。
アフリカ音楽をインターネットで配信している梅本優香里さんは
夢を信じて生きていればいいことがある
というバルバラさんのメッセージに強く惹かれている。
聞く人に気持ちを楽にしてくれるストレートな言葉は
世界に通じるという思いを強くしている。
(梅本優香里さん)
「聴いているだけで元気になる。
閉塞した気持ちが解き放たれる。」
梅本さんはバルバラさんの曲を特に日本の若者に聴いて欲しいと考えている。

原点に戻れ
(梅本優香里さん)
「どんな環境にいても人は夢を持ったり
自分の好きなこと 信じられるということを
彼らの音楽を聴いてくれればすごく伝わると思うので
好きになってくれる人は日本にたくさんいると思う。」
バルバラさんと梅本さんは
曲を世界の400以上の音楽サイトに配信する契約を結んだ。
バルバラさんがつかんだプロへの切符である。
(バルバラさん)
「待っていてもチャンスは来ない。
チャンスは作るものだ。
懸命に頑張れば将来は良くなると信じている。」
明日はきっといい日になる。
アフリカの若者の希望の歌が広がろうとしている。