7月20日 BIZ+SUNDAY
ベンチャーの発想力に会社の未来をかける企業が現れている。
マンション販売大手の大京である大京。
かつて業界ナンバーワンを誇った販売戸数は現在最盛期の半分以下。
新規事業の開拓を迫られている。
注目したのは過去の資産。
すでに販売を終えたマンションなどグループ全体で約51万個の管理物件。
「マンションがこんなにあるのは僕らだけ。
これをうまく使わない手はない。」
マンションの居住者に向けた新しいサービスを開発し新規事業につなげようというのである。
これまで社内で積極的にアイデアを募集してきたが新たな収益の柱となるような斬新なアイデアは出てこなかった。
(大京 事業投資室 武石直人室長)
「新たにブレークスルーしたサービスを提供するためには
もう1個 新たな視点が必要な状況に立たされている。」
そこで大京は新たなアイデアを社外のベンチャー企業に求めることにした。
仲介を行う会社はクルー。
クルーはこれまで起業の支援を行ったベンチャー企業など1200社のネットワークを持っている。
大企業から受けたテーマをこれらのベンチャー企業に投げかけてアイデアを募り両社の橋渡しをするのである。
(クルー 伊地知天社長)
「大企業とスタートアップベンチャーの距離を近づけるためのきっかけを作るのがこのコラボレーション。
ベンチャー企業と大企業は文化が違う
会話にならない部分が出てきてしまう。
通訳をするような形で2社をくっつける。」
大京にはクルーを通じてすでにたくさんのアイデアが集まっている。
なかでも興味を持ったのがスマートフォンを使って家中の家電製品をデータベース化するサービス。
製品についているバーコードを読み取り
購入日とシリアル番号を入力して登録。
利用者は電子化した取扱説明書や保証書のデータにアクセスすることができ利便性が高まる。
一方大京がこのデータベースを使えば製品の寿命が予測でき
メンテナンスや買い換えの需要を囲い込むことが可能になるのである。
(大京 事業投資室 武石直人室長)
「将来的にはいい会社になるんじゃないか。
ぜひ一緒にやりたい。」
このアイデアを提案したのは去年10月に起業したばかりの大阪のアプリ製作会社ワランティ。
(ワランティ 庄野裕介社長)
「大京の50万戸に対して当社サービスを提供できるまたとない機会。
この機会を逃さないようにやっていきたい。」
自前主義にこだわらずベンチャーにかけた大京。
今後このアイデアを含めた複数の提案の中から新たな事業を開拓しようとしている。
(大京 事業投資室 武石直人室長)
「改めてベンチャーの着眼点をもらえることで『こんな考えもあったんだ』というのが生まれつつある。
我々がもともと持っていた課題も合わせてうまく融合させると面白いものが生まれそうな予感がする。」