7月27日 NHK海外ネットワーク
日本は世界のウナギの7割を胃袋におさめると言われる消費大国で
去年も世界の13の国と地域からウナギを輸入した。
こうしたなか野生生物の専門家などで作っているILCL国際自然保護連合がウナギを絶滅危惧種に指定した。
今後 野生動植物国際取引を規制するワシントン条約の対象となれば日本ウナギの輸出入が出来なくなる可能性が出てきた。
特にウナギの9割を日本に輸出している台湾にとっては深刻な問題である。
台湾西部にある養殖用のイケス。
広々とした池で育てるのが台湾の特徴である。
普段はイケスの底に潜んでいるウナギに余計なストレスを与えないようにするねらいがある。
台湾での養殖の方法は50年ほど前に日本の業者が伝えた技術が基本となっている。
ウナギの稚魚を1年以上かけて育て上げる。
イケスにはきれいな地下水を利用。
サンマやイワシなどを粉にして練りこんだ栄養価の高い餌を与える。
台北市内のウナギ輸出会社社長 郭さんは2008年には台湾産ウナギのブランド化をめざし東京で自ら記者発表を行ったこともある。
台湾産のウナギの質の高さは日本の輸入業者も以前から高く評価してきた。
(日本鰻輸入組合理事長 森山喬司さん)
「台湾のウナギが席巻していた。
肉厚で脂ものっている。
ゾクゾクするほどおいしい。」
しかし4年ほど前からウナギの稚魚は世界的に不漁となった。
台湾から日本へのウナギの出荷量も10分の1に落ち込んだ。
郭さんの会社も日本への輸出額が大幅に減った。
そこへ追い打ちをかけたのが6月に決まった日本ウナギの絶滅危惧種への指定。
郭さんはウナギの輸出をを規制する動きが強まるのではないかと懸念している。
(ウナギ輸出会社社長 郭さん)
「絶滅危惧種に指定されたと聞いて本当にショックだった。
このままだと台湾の養殖業は終わってしまう。」
日本ウナギが輸出禁止の対象になるのを避けるためにも
資源の保護に向けた対策を台湾としても進めていきたい
台湾西部にある水産指定所でウナギの生育に適した場所を特定することで保護につなげようという取り組みが進められている。
ひとつひとつに識別番号が記録されたチップを注射器でウナギの体に埋め込み放流する。
チップを埋めたウナギが再び捕獲されたら識別番号を確認。
移動距離や時間の経過からウナギの生育に適した場所はどこかを突き止める。
これまで蓄積してきたデータによってどの川がウナギの生育に適しているかがわかってきた。
こうした情報をもとに去年
台湾の自治体が初めてウナギの禁漁区を設定するようになった。
川沿いにもうけられた看板にはウナギが多く生息している“河口から10キロの区間を禁漁にする”と書かれている。
水産試験所の調査結果などを受けてこの川では8センチ以上に育ったウナギをとることを禁止した。
禁漁区が新たに設定Iされた河川は台湾の15の自治体にまで広がっている。
(新竹県の漁業担当者)
「資源を守らせるようにしないと台湾漁業の将来はない。」
(ウナギ輸出会社社長 郭さん)
「資源はみんなで守っていかねばならない。
消費者や輸出業者 養殖業者の協力が必要だ。」