7月23日 キャッチ!
4年前 弓道の世界大会が東京で初めて開かれた。
優勝したのはフランス。
7月19日 第2回世界弓道大会が前回の優勝国フランス パリで開かれた。
世界25の国と地域から150人の選手が参加。
日本では長い歴史がある弓道だが国際級同連盟の設立は8年前。
世界大会は2010年の前回大会に次いで2回目となる。
団体戦での優勝候補の筆頭はもちろん日本。
そして地元のフランスである。
弓道発祥の地として日本が意地を見せるのか。
地元の声援を受けるフランスが2連覇を成し遂げるのか。
2日間の大会が始まった。
フランスでは1970年代に日本で弓道を学んだ数人のフランス人が帰国したのをきっかけに弓道が広がり始めた。
弓道人口は現在約600人。
決して多くないが各地にある約50のクラブを中心に活発な活動が繰り広げられている。
パリ郊外のクラブを拠点に活動する会員は12人いて
週2回 体育館を利用して夜遅くまで練習を続けている。
(弓道クラブ参加者)
「矢を射るまでの作法が好きです。
動作や精神を安定させえる必要があり
そこが気に入っています。」
このクラブで指導役を務めるミシェル・デュポンさん。
フランス代表で前回大会優勝の立役者となり
今回もチームの中心として代表を引っ張る。
デュポンさんが弓道を始めたのは35年前に黒澤明監督の「七人の侍」を観て日本の武道への興味を持ったことがきっかけだった。
仕事の傍ら日本への弓道留学などを通して力をつけフランスの弓道界の発展にも貢献してきた。
デュポンさんが目指しているのが練習場に掲げられた書“一射絶命”。
1本1本の矢に自分のすべてをつぎ込み命がけで射る心がけを示している。
(フランス代表 ミシェル・デュポンさん)
「すべての矢が最後だと思って射ます。
後悔がないように全力を注ぎます。
たとえ的を外しても全身全霊で射ることが大切です。」
若いころは落ち着きがなかったというデュポンさん。
弓道を通して精神修業を積んだことで落ち着いた性格に変わったと自分を評価している。
大会を前にした6月下旬 パリ郊外のノワジエルにはフランスでは初めてとなる市営の弓道場が完成した。
市が土地を提供し建設費の多くは全国の弓道家の寄付によって賄われた。
日本の弓道連盟の関係者たちが新たな弓道場を視察した。
日本で弓道は単に的に当てることを競い合うにとどまらず精神面を鍛える個人的な修行としてとらえられてきたが
こうした考え方がフランス人の気質に合っていると指摘している。
(全日本級同連盟 岡崎廣志参与)
「フランスは一番日本的な感覚で弓道に取り組み
我々が求めていることに近い考えで稽古に取り組んでいる。」
世界弓道大会2日目 トーナメント方式で行われた団体の決勝では日本とフランスが順当に勝ち進んだ。
団体戦では3人のメンバーが4本ずつ矢を放ち的に多く当てた方の勝利となる。
会場が静まり返る中でデュポンさんの1本目は外してしまう。
しかし2本目と4本目を見事に的に当て会場から大きな声援が上がる。
フランスチームは結局 6本当てた。
これに対して日本は安定した力を見せ8本を的に当ててフランスに勝利。
熱戦が終わると観客からは惜しみない拍手が沸き起こった。
(日本代表 吉田志さん)
「これだけの盛り上がりがあって
日本とは違った空気や応援を感じられたことは良かった。」
(フランス代表 ミシェル・デュポンさん)
「準優勝できたことは満足です。
自分の弓道はできたと思います。」
フランスで花開いた日本の弓道文化。
今後日本のライバルとして弓道の国際的な普及へ向けた足がかりになるのか注目される。
国際級同連盟の設立当時 加盟国は世界18の国と地域 競技人口は約2000人だった。
現在 44の国と地域で競技人口は3000人超。
4年後に開かれる第3回大会でも日本とフランスを中心に各国の熱い戦いが繰り広げられそうである。