1月20日 経済フロントライン
東京新宿にあるベンチャー企業。
インターネットを通じて消費者から日々の不満を募っている。
・午前中指定のものが1時間半遅れで届いた。
できれば遅れる旨電話1本欲しかった
・炭酸が抜けると飲めたもんじゃなくなる
炭酸が抜けても美味しくしてほしい
こうした書き込みを1件につき最大10円で買い取る。
集めた不満は730万件。
なかでもこの会社が商品開発のため重視するのが少数意見である。
(インサイトテック 伊藤友博社長)
「商品に対する直接的な不満・クレームだけではなく
ちょっとした不満に新しいビジネスチャンスがある。」
この日は食用油メーカーからの依頼で
揚げ物にどんな不満があるのか検討することになった。
コンビニなどで売られている揚げ物について調べた結果が画面に投影される。
「値段」「衣」「味」など不満が多いものは大きな字で。
一方「大きさ」や「時間」など不満が少なかったものは小さな字で表記される。
少数の不満の中でもさまざまな年代から出てきたのが「時間」というキーワードだった。
さらに細かく分析すると
揚げてから時間が経った食べものの品質に不満が集まっていることがわかった。
「コンビニなどの中食だと
揚げた時間がわからない前提で買わざるを得ない。」
「長持ちできる価値を油で出せるか。」
この会社では少数意見の中から導き出した結論をメーカーに報告。
“時間が経っても品質が落ちにくい油には消費者のニーズがある”
という内容だった。
(J-オイルミルズ ソリューション企画部 袴田一彦部長)
「今回を出発点に新しい検証やいろいろな仮説の検証につなげられる。」
少数の不満の分析からヒット商品も生まれている。
大手寝具メーカーはベッドに関する不満の分析を依頼した。
すると少数ながら20代の人から“コンセントが使いづらい”という不満があがっていたことがわかった。
メーカーではすでに枕元にコンセントが付いたベッドを発売していたため
予想外の意見だった。
(フランスベッド デザイン課 永井英之課長)
「就寝前にスマホでSNSとかゲームをする方が非常に多い。
タブレットで動画を見て過ごすという生活シーンが見えてきて
そういった意味でコンセントが多ければ多いほどいい。」
そこで枕元に2つコンセントを設け
左右どちらに向いていても充電できるベッドを作った。
さらにスマホでSNSをしながら動画を見る若者向けに
タブレットを立て掛けられるようにした。
このベッドは同じ価格帯の商品と比べて1,5倍を売り上げるまでになっている。
(フランスベッド デザイン課 永井英之課長)
「寝具メーカーとしてマットレスの寝心地を非常に大事にしてきたが
今回はフレームをクローズアップした。
不満は問題解決の鍵になるので非常に参考になった。」