2月8日 編集手帳
熱いお湯を入れたコップを机に置く。
中身はどんどん冷えていく。
コップに触れていると、
熱は失われたように思うが、
そうではなく、
無秩序に空気に紛れて漂う。
そのようなエネルギーの特性を物理学で「エントロピー」と呼ぶ。
ある入門書に例えがあった。
<机の上を片づけるには多大なエネルギーが必要だが、
散らかすには何のエネルギーも要らない。
これがエントロピーである>
ともすればエネルギーは無秩序に向かうらしく、
元の秩序に戻すのはたやすくはない。
散らかした机にならないだろうか。
平昌五輪を控えた韓国政府の北朝鮮への対応である。
アイスホッケー女子の合同チームにも驚かされたが、
今度は「万景峰号」がその威容を韓国の港に現した。
ミサイル関連部品の密輸や不正送金で、
名をとどろかす貨客船である。
長く入港を禁じながら、
芸術団の宿泊施設に使うなどとして例外を認めたという。
五輪成功のためとはいえ、
なぜ選手でもない芸術団がそれほど大事なのだろう?
数々の暴挙で国際社会から制裁を受ける国への姿勢が、
とり散らかってきたかに見える。
先の物理用語に似る。