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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち(V)

2008-06-01 10:39:23 | 映画(か)
評価点:89点/1997年/アメリカ

監督:ガス・ヴァン・サント

ベン・アフレック、マット・デイモン脚本の感動作。

ノーベル賞にも輝いた大学教授のランボー(スティラン・スカルスゲールド)は、
学生への課題として教室の外の掲示板に難問を課した。
数日後、その難問を回答した人物がいたが、彼の受講生ではないことがわかる。
そしてさらに難しい問題を掲示したとき、大学の清掃係の青年が回答していたことに気づいた。
その青年、ウィル・ハンティング(マット・デイモン)は独学ながら天才的な頭脳の持ち主だったのである。
ランボーは彼の能力を伸ばそうと、彼の暴力事件で保釈金を支払う。
しかしウィルは全く彼に懐こうとしなかった。
そこでかつての友人ショーン(ロビン・ウイリアムス)に、セラピーを依頼する。

主役のベン・アフレックと、マット・デイモンが脚本を手がけ映画会社に売り込んだという作品。
そしてアカデミー賞の脚本賞にも輝いた。
虐待という難しい問題を題材にしているにも関わらず、それを若い2人が見事に描ききっている。

▼以下はネタバレあり▼

登場人物の心の葛藤がとても巧みに描かれている。
それは彼らそれぞれのキャラクターがしっかりしているためでもある。
虐待され人を信用しきれない天才青年ウィル。
才能よりも努力でその地位を築いてきたランボー教授。
才能がありながら愛する女性との時間を選んだセラピストのショーン。
彼らの対峙はそのまま彼ら自身の歩んできた過去との対峙でもある。
短い台詞だけでショーンとランボーとの確執を描いているのは、本当に巧い。
彼らの関係がわかることでランボーの焦りやショーンの立場がより明確になり心の葛藤が生まれる。

虐待という重いテーマよりも、個人的には「未来に飛び込む勇気」という、もう1つの葛藤のほうが身に迫ってくる感じがする。
能力があるがゆえ、それに賭けることに臆してしまい、現状に甘んじてしまう。
こうした葛藤は誰にでもあるのではないだろうか。
誰もが多少人より秀でた能力をもっているものだ。
しかしそれに全てをかけることができない(だから一般人どまりなのだが)。
そうした誰にでも起こりうる葛藤によって、この映画は観客をひきつけているのだ。

この映画は名シーン・名台詞が多いが、特に、ベン・アフレックがマット・デイモンに工事現場で言う台詞が大好きだ。
「親友だから言ってやるんだぜ。俺はいつでも朝お前を迎えに行くとき、
別れも言わず突然消えていていなくなっていることを楽しみにしているんだ」
「もし20年後俺たちと一緒にここにいやがったら、ぶっ殺してやるからな」
「お前は宝くじをもっているのに、それを使わないなんて俺たちに対する侮辱だ」
このシーンはとてもいい。
何度観てもこのシーンは大好きだ。
二時間をこのシーンのために見るようなものだ。

この映画をみたら皆大体の人がロビン・ウイリアムスが良いと言う。
でも私はこの2人の役者と脚本が一番すばらしいと思う。
ベン・アフレックは個人的に好きではないが、「レインディア・ゲーム」とこの映画は好きだ。
あとウィルの恋人役のミニー・ドライバーも結構好きだ。
彼女は「スリーパーズ」に出ていた人。

(2003/02/10執筆)

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