ひとつのダイヤ3つの願い、そして100カラットの感動
(MOVX京都にて鑑賞。)
自由 FREEDOM ダニー・アーチャー
ダイヤ・・・・それは、現実から脱出するための“チケット”
1999年、内戦が続くアフリカのシエラレオネ共和国で、ダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)はダイヤの密輸業者として生計を立てていた。自分の仕事で、多くの犠牲者が出ても、そんなことを気にかけていない男かっては傭兵だった彼はタフで、武器の扱いにも慣れている。だから今まで数々の修羅場も乗り越えて、この土地で人生を生き抜いてきたそんな彼はこの暴力と悪事にまみれた暗黒大陸から、いつか抜け出すことが夢だった。そんなアーチャーに転機がやって来る密輸に失敗して、刑務所に入れられた彼は、思わぬ話を耳にする巨大なピンクのダイヤがどこかに隠されていると・・・・。その場所を知っているのはソロモン・バンディー(ジャイモン・フンスー)という男。実はこの刑務所に政府軍によって、反政府軍RFUの兵士とともに、ソロモンも囚われていたのだ。やがて釈放されたアーチャーは裏から手をまわし、ソロモンを釈放。そしてソロモンにある提案を持ちかける。ダイヤのある場所へ案内して欲しい案内してくれれば、行方不明のソロモンの家族探しに協力すると申し出る最初は渋っていたソロモン結局ダイヤを隠した場所へと向かうことに・・・・。アメリカのジャーナリスト マティー・ボウエンとともにジャーナリスト専用に乗り込み、ダイヤの埋められたジャングルの奥へと進む。
家族 FAMILY ソロモン・バンディー
ダイヤ・・・・・それは、家族を奪還するための“切り札”
メンデ族の漁師ソロモン・バンディーは愛する家族とつましいながらも、幸福な家庭生活を送っていた。自慢の息子ディア(カギソ・クイバーズ)は学校に通いながら、医者になる夢を見ている。そんな息子に愛情を注ぐソロモンだった。しかし、そんな平和な暮らしは、ある日、反政府軍RUFの襲撃で崩されてしまう家族と引き離され、ダイヤモンドの採掘場にひとり連れて行かれるソロモン。そこはRUFの資金源となっているダイヤが掘り出されているところだった。川べりで作業をする人々。もし拾ったダイヤを隠し、見つかったらすぐに射殺される危険な場所で働くソロモンはある日、大きなピンク・ダイヤを発見足の指に隠して川の外へ持ち出すことに成功土の中に埋めて隠した。そのとき政府軍がやってきて、RUFのメンバーとともに刑務所に入れられてしまうそして釈放後、アーチャーと知り合うわけだ。アーチャーとともに難民キャンプへ・・・・。念願の家族と再会を果たすも、息子ディアの姿はなかった。いよいよダイヤを探す旅に出発。そのときRUFのジープの上で、少年兵となったディアの姿を発見ディアを連れ戻そうとするも、訓練を受けたディアは別の人格になっていた
真実 TRUTH マディー・ボウエン
ダイヤ・・・・・それは、暴かなければならない真実のための“証言”
アメリカ人ジャーナリスト、マディー・ボウエン(ジェニファー・コネリー)は海辺のバーで、ダイヤの密輸業者、ダニー・アーチャーに出会う。RUFの資金源となっている“ブラッド・ダイヤモンド”の真相を追っていた彼女はアーチャーがダイヤの密売人と知ると、情報提供を求めるが、冷たく拒否されてしまうところが、アーチャーはソロモンとダイヤ探しするためには、ジャーナリストとしてのマディーの立場が必要になる。(立ち入り禁止地区に入るためである。)条件を飲めば、“ブラッド・ダイヤモンド”のシンジケートの秘密を話してもいいと・・・・。その申し出にマディーは応じ、アーチャー、ソロモン、マディーの3人はジャーナリスト専用で移動することに。心を許さないアーチャーに最初は反発を感じたマディーだったが、旅を続けていくうちに二人の距離は少しづつ近くなった過去の話などで、心触れ合うようになる。次第にアーチャーに惹かれるマディーはを感じ始めたソロモンとアーチャーはダイヤのある奥地へと・・・・。見送るマディー、での連絡を待つ。
アフリカの情勢をテーマにした映画が、このところ続いている。「ホテル・ルワンダ」、「ルワンダの涙」、「ダーウィンの悪夢」等・・・・。今後も新たな作品が上映されるようだ。ルワンダについても、ホテル・ルワンダを観たことで、少しだが、どんな国で、どのような状況かを僅かながら知ることが出来た。この「ブラッド・ダイヤモンド」の舞台となったシエラレオネ共和国についても、まったく耳にするのも初めてで、このような国が存在することさえ知らなかった本当に無知な話だが。それだけアフリカについての情報も少ないのだろう。シエラレオネ共和国はマラリアなどの感染症があるため、白人にとっては危険な場所だといわれている。首都はフリータウン。かってアフリカ大陸における教育の中心地だそうだ。国立大学(現シエラレオネ大学)は1827年設立され、西アフリカで最古の大学として長い歴史がある。伊勢崎賢治さんはシエラレオネ紛争の際武装解除に従事された日本人で、1988年~92年まで住んでいた。当時、この国には伊勢崎さん家族とカソリックのシスター以外、日本人の姿はなかったと思うと語る。映画に出てくる、RUF(革命統一戦線)侵攻が始まったのは90年頃からで、その後10年間シエラレオネでは内戦状態が続いた。それを率いたのはティム二族出身のフォディ・サンコケゥという人物。RUFの活動名目一党独裁で腐敗していた政府への革命多くの若い連中が参加した。またその中にはインテリの人も多かったそうだ。2001年に再び、伊勢崎さんは戻った。そしてPKOの幹部として、1万7千人の多国籍軍と全線闘員の武装解除にあたった。9年ぶりに戻ったときはRUFがマケニという町をすべて占領本拠地になっていたらしい。この映画の話と同じく、ダイヤも、RUFの大きな資金源だったようだ。鉱山資源は、外国資本によって、治外法権的な搾取を受けていた。そしてこの外国資本とともに進出したが傭兵会社だったわけだ。原石は簡単に持ち出し可能で、個人レベルで持ち出す人も多く、人道的支援に携わる外国人でさえ、密輸に手を染めるということも・・・・・。
劇中で、マディーが写真を撮る部族が出てくる。あの部族はカマジョールという伝統的な狩猟部族だそうだ。政府も警察も当てにならないと、彼らは独自でCDF(市民防衛隊)を結成RUFに対抗する組織を作る。映画では出てこないが国の兵士や警察が、RUFに寝返ることも。結局最後はCDF対RUFという構図だったらしい。
少年兵について、この映画ではかなりリアルに描かれているが、どうもハリウッド映画の暴力的な作品を見せて、少年たちに兵士としての教育をさせていたようだそして洗脳するために薬を使ったのも事実らしい。伊勢崎さんが武装解除したときにいたRUFの兵士は2万人、そのうちの3000人が少年兵だったというまさに映画の話は本当のシエラレオネの現状だったのだ。(伊勢崎賢治さんの話から抜粋)
伊勢崎賢治さん、プロフィール
内戦初期のシエラレオネを皮切りにアフリカ3ケ国で10年間、開発援助に従事し、その後東チモールで国連PKO暫定行政府の県知事を務め、再びシエラレオネへ。同じく国連PKOの幹部として武装解除を担当。内戦の終結に貢献する。その後アフガニスタンにおける武装解除を担当する日本政府特別代表を務める。東京外国語大学院地域文化研究科教授
伊勢崎賢治さんについてもっと知りたい方はこちらから
ソロモン役、ジャイモン・フンスー
若い頃に自分はアフリカを出てが、今も親戚はアフリカに住んでいる。里帰するたび、紛争地域を横断するそうだ。この映画は日ごろから痛切に感じている問題なんだと語る。今回のこの作品はどの作品より、パワフルだと・・・・話す。
ソロモンとディア、RUFに洗脳された息子はやがて、本来の自分を取り戻す
父ソロモンの愛によって・・・・・。
アーチャーはマディーに“ダイヤモンド”のシンジケートの秘密についてのを渡す。自分の行く末のことを分かっていたのか
監督 エドワード・ズウィック
「ラスト・サムライ」2003年ではナショナル・ボード・オブ・レビュー最優秀監督賞を受賞また製作者として、アカデミー賞に輝いた「恋におちたシェークスピア」(98)、「アイ・アム・サム」(01)などを世に送り出している。
ロケを振り返る
本作は、ほぼ全編を通してアフリカで撮影された。現地でのロケは、作品の出来を左右する重要な要素だったと監督は振り返る。アフリカは矛盾だらけの大陸だ。どこへ行っても、息を呑むほど美しい風景とひどく不潔なスラム街があり、、豊かな精神性と深刻な飢餓が同居している。何もかもが生々しく、スタッフ全員が影響を受けた。その影響を具体的に表現するのは難しい・・・・・ただ、アフリカ以外で撮影していたら、あのなんとも形容しがたい土地柄は出せなかったと思う。
第79回アカデミー賞、5部門ノミネート
主演男優賞 レオナルド・ディカプリオ
助演男優賞 ジャイモン・フンスー
編集賞 音楽効果賞 録音賞
残念ながら、受賞されなかった。ディカプリオは何度もノミネートされているのだが、やはりハードルが高いのかな?ファンとしてはこの作品で受賞して欲しかった
ダニー・アーチャーの役作りにあたって、ディカプリオは現地独特の英語をマスターしようと思ったそうだ。実際彼らの話す英語は、これまで聞いたことのないアクセントだった。出来るだけ、傭兵たちと時間を過ごそうとして、ときには酔っぱらせて、経験談を語らせた。彼らから軍隊や戦闘の知識をたっぷり仕入れたそうだ。そのことで、ダニーの役を形成していったと語る。
ダイヤモンドを購入する際には“4つのC”をチェックすることが大切だと言われる。
Color カラー
Cut カット
Clarity 透明度
Carat カラット
しかし、私たちがチェックすべきCが、実はもうひとつある
それは、Conflictの、“C”
争い
※けして映画の中だけの話ではありません多くの子どもたちが兵士として、訓練を受けさせられ・・・・。無差別に殺人をしているのです。それがアフリカでの現状なのです。同じ国で暮す人たちが、何故憎しみ合わなければならないのか民族が違うという理由だけで???? こんなのひどいよね。
ブラッド・ダイヤモンド 公式サイト