幻影師(Illusionist)
奇術師にはふつうmagicianという言葉が使われるが、凝った幻影を得意とするマジシャンについては、このIllusionistという語を用いる。
蛇足ながらこの言葉は哲学の文脈では、物資世界を幻影と考える者の意。
7月4日、新京極シネラリーべで鑑賞。この日が最終日ということで慌てて観に行きました。あのエドワード・ノートン主演ということで、ぜひ鑑賞したかった作品です。彼の作品は多分「ファイト・クラブ」(99)以来だと思います。その後も数々の作品に出演していたようですが、観る機会を逃していました。近々アメコミ作品「ハルク」に主演するということで、楽しみにしています。
結末を観た瞬間、してやられた何やったんや?今までのことはすべて嘘なのかって感じですね。ウール警部はにんまりしてましたね。騙されたけど、後味は爽快って言う表情でした。
ということで、ストーリーをちょいと紹介したいと思います。
時は19世紀末のウィーン、ハプスブルグ帝国末期の芸術文化の都では、大がかりな奇術が=イリュージョンが見世物として、一世を風靡していた。なかでも幻影師アイゼンハイムの繰り広げるイリュージョンは「芸術の域に達している。」と評されるほど神秘的で絶大な人気を誇っていた
その噂は日ごとに高まり、とうとう皇太子レオポルドが婚約者の公爵令嬢ソフィを伴って、ショーを観覧しにやって来た。そしてイリュージョン体験者として舞台に上がった彼女を見て、アイゼンハイムは愕然とする。皇太子の婚約者である女性は、幼馴染みでかっての恋人ソフィだったのだーーーーー
アイゼンハイムの本名はエドゥアルド・アブラモヴィッツという。家具職人の家に生まれた彼とソフィは幼馴染だった。彼は覚えた奇術を彼女に披露し、彼女もそれを喜んでいた。いつしかふたりは想いを交わすようになるが、身分の違いに引き裂かれてしまうソフィは城に連れ戻されてしまい・・・・それから15年の歳月が流れる。
彼はアイゼンハイムと名乗り、ソフィは舞台で劇的な再会を果たすそんな中ソフィは皇帝退位計画を秘かに進めている悪名高い皇太子と政略結婚させられる運命にあった。
数日後、皇太子はアイゼンハイムのイリージョンを解明しようと、多くの賓客とともに、彼を王宮に招いた。でもアイゼンハイムは皇太子の狙いを見透かしていた。挑発的な奇術を披露、逆に皇太子に恥をかかせてしまう。
彼の身を案じたソフィはアイゼンハイムの元を訪ねるが、封印していた二人の想いが抑えきれなくなり、幼い頃の恋心を再燃させてしまう。
すべてを欺いても 手に入れたいもの それは君ーーーーー
皇太子の逆鱗に触れたアイゼンハイムは、その後、「奴を潰せ!」という命令を受けたウール警部に執拗に監視させられる。
ウール警部に監視を促す皇太子
ウール警部はアイゼンハイムのイリュージョンに魅了されていたが、皇太子の右腕として命令に背くことは出来ない。
やむなく「ふたりが密かに会い、何かを企てているようだ」と皇太子に密告。怒り狂う皇太子レオポルド激しい口論の末、ソフィは別れを決意して館を飛び出した。しかし、翌日彼女は皇太子の別荘地の一角で変死体として発見される(実は侍従が館の窓からソフィが駆けて行く姿を見ているのですが、馬屋から叫び声が聞こえて・・・・。その後ソフィは馬に乗せられている。馬の上のソフィは死んだような?状態。一体何が彼女の身に起きたのか?!)
ソフィを失ったアイゼンハイムは想い詰めた様子で、今度は死者の魂をよみがえらせるという新たなイリュージョンを開始した。その舞台は熱狂的な信秦者を集め、帝国の脅威となっていく皇太子はそのトリック暴こうと変装して劇場へと潜りこむ。
舞台上に現れたのは女性で、間違いなくソフィだったいまにも自らの死の真相を喋りだしそうだ。
恐れをなした皇太子は、帝国の秩序を乱しているという罪でアイゼンハイムを捕えるようにウール警部に命じる警官が劇場を取り囲む舞台上で、アイゼンハイムは驚くべきイリュージョンを披露するーーーー。本当にびっくりするような状況となる。これは夢なのか?はたまた幻なのか?
何でもこの作品、巨額な製作費を投じたリメイク作や過去のヒット作の続編が振るわすなか、インディペンデント系の作品としては異例のロングランヒットを達成し大きな話題となった作品である。スタートは全米でわずか51館。その後、出来栄えの良さが口コミで次々と広がり最大1438館まで拡大結果、22週にわたりロングランを記録して同時期公開の「レディ・イン・ザ・ウォーター」や「ブラック・ダリア」といったメジャー作品超える興行収入を得た。観客の支持はもちろんのこと、映画関係者の注目も集めたそうだ。
キャスト紹介
ポール・ジアマッティ | ウール警部 |
ジェシカ・ビール | 公爵令嬢ソフィ |
ルーファス・シーウェル | 皇太子レオポルド |
エドワード・ノートン | 幻影師アイゼンハイム |
“オレンジの木”は古くからあるマジック。近代奇術の父、ウーダンが進化させたということだ。アイゼンハイムのにはこのマジックについて書かれていた。ウール警部、これがヒントに
その他のキャスト
エドワード・マーサン | 興行師フィッシャー | |
ジェイク・ウッド | ヤルカ | |
トム・フィッシャー | ウィリグート | |
アーロン・ジョンソン | 若きアイゼンハイム | |
エレナー・トムリンソン | 若きソフィ | |
カール・ジョンソン | 医者/老紳士 |
監督・脚本: | ニール・バーガー |
原作: | スティーヴン・ミルハウザー | |
『幻影師、アイゼンハイム』(『バーナム博物館』所収) |
ラストはアイゼンハイムが慌てた様子で、走り去る。それを追いかけるウール警部。結局のところ、汽車に乗り込むアイゼンハイムを取り逃がしてしまう。そこからはウール警部の想像のような、いや事実のような出来事が映像で映し出される。一体事実はどうなのかウール警部の願望のような気もしてならないのだが・・・・・・。誰が正しくて、間違いなの?と考えてしまう。それほどに意表をつく展開だった。まるで悪いのは皇太子という風に見えたが、実は彼ははめられた唯一の犠牲者なのかも。
トリックは完全犯罪を上手く成し遂げたということになるのでしょうか?いやあそれなら、完全に観客も騙された?ということでしょうね。やってくれましたアイゼンハイム様。
幻影師アイゼンハイム 詳細、公式サイトへのリンクもこちらからどうぞ