たとえ忘れてしまっても、きっと愛だけが残る。
好き度:=60点
MOVIX京都にて鑑賞。
樹木希林さんの八重が素晴らしい。こんなに老け役を見事に演じる女優さんはいないでしょうね。その上に認知症を患うという難しい設定でですからね。どういうところからヒントを得て演技に挑むんでしょうか。
そしてその息子役には役所広司。娘には宮崎あおい。この3人が軸となって物語は進んで行きます。
役所さん演じる伊上洪作は幼少期、自分だけが両親と離れて育てられた経験を持ち、“母に捨てられた”との気持ちがいまだに拭えないままで、今もその事にこだわって生きていた。そのせいか自分の娘たちには必要以上に干渉。3人娘の三女琴子は特に父への反発を強めていた。
幼少期の実体験はかなり辛かったのかしら?
かなりトラウマなんでしょうね。多感な年ごろにそういう経験をするとそんなものかもしれませんね。
そう言えば私の父も実母からの愛情が薄かったということで、見る夢に出て来るのは仕事先でお世話になった奥さんだったとか。あまり恨んだりすることは無かったらしいけど、母への想いはあまりないと話していました。
洪作さんはかなり恨みが深かったようですね。数十年経った今も癒えない心の傷への思いを問い質すのだが、すでに認知症を発症しているため、母とは話しにならない状態。
その本心を知りたい。どうして自分を捨てたのか?複雑な感情が交差して何とも物悲しいものも感じます。
時間を追って次第に認知症の度合いがきつくなっていく八重の姿も印象的でした。それにしても介護の問題は昔も今も大変な問題。このお話しでは意外にも家族の連携が上手く取れており、皆えらいなあと感心します。特に三女の琴子は自ら買って出て祖母の面倒見るんですから。
今どきの若い人ならやりますかね?
話は変わりますが、洪作さんの家庭がまたとても素晴らしい!そう今でいうイベントのようなもの。セレモニーっていうのか。一同そろっての夕食や、赤ちゃんのお食い初めをしたり、祖母の誕生パーティをホテルで開く。今ではあまり見られない光景ではないでしょうか?
全体的には淡々としたテンポな作品。そんな大きな感動巨編というパターンではありません。どちらかといえば静かな物語と言えるのではないでしょうか。
感動ものだと勘違いして見るとあれっ?!と思うかもしれません。
あらすじ(goo映画より)
1959年。小説家の伊上洪作(役所広司)は、父・隼人(三國連太郎)の見舞いに行った湯ヶ島の両親の家から東京の自宅に帰ってくる。妻の美津(赤間麻里子)、長女の郁子(ミムラ)、二女の紀子(菊池亜希子)が、伊上の新作小説にせっせと検印を捺している。それはベストセラー作家の家族の大切な仕事であったが、三女の琴子(宮崎あおい)の姿はない。自室にこもって夕食にも降りて来ない琴子に不満を募らせる伊上。深夜、持ち直したかに見えた隼人の訃報が入る。1960年。父亡き後、伊上の妹・桑子(南果歩)が母・八重(樹木希林)の面倒を見ているが、八重の物忘れはますますひどくなっていく。1963年。八重の誕生日に、川奈ホテルに集まる一族。伊上のもうひとりの妹・志賀子(キムラ緑子)、夫の明夫(小宮孝泰)、運転手の瀬川(三浦貴大)、秘書の珠代(伊藤久美子)も参加しての盛大なお祝い会。だが、八重の記憶はさらに薄れていた。1966年。結婚した郁子が赤ん坊を抱いて里帰りした日、湯ヶ島は大騒ぎになっていた。八重が、交通事故に遭って家で療養している明夫を罵倒するというのだ。しばらく伊上が引きとることになるが、八重を冗談のタネにする家族に、琴子が突然怒り出す。さらに話は伊上の子育て批判に発展、紀子までもが初めて父に反抗する。日頃から家族を小説やエッセイのネタにする父への不満が一気に爆発したのだ。琴子の提案で、八重は軽井沢の別荘で暮らし、琴子と瀬川、手伝いの貞代(真野恵里菜)の3人で面倒を見ることに。1969年。伊上が5歳の時から8年間、伊豆の山奥の土蔵で彼を育てた曾祖父の妾・おぬいの五十回忌の法要で、顔を合わせる一族。琴子はプロの写真家になり、瀬川と付き合っている。紀子はハワイへの留学を父に許される。八重は夜に徘徊するようになり、もう誰が誰かも分からなくなっていた。ある朝、おぬいに息子を奪われたという八重の言葉に感情を抑えられなくなった伊上は、初めて母と対決しようと「息子さんを郷里に置き去りにしたんですよね」と問いつめる。しかし、八重の口からこぼれたのは、伊上が想像もしなかったある“想い”だった。こらえきれず、母の前で嗚咽する伊上。母との確執を乗り越え、晴れ晴れとした気持ちで紀子を送るハワイ行きの船に乗りこむ伊上。だが、伊上のもとに八重がいなくなったという知らせが届く……。
希林さんこんなに小さくなっちゃった(笑)ホントこの人しかこういう役出来ないんじゃあ?
長女役のキムラ緑子(左)。方言もナイスでした!
解説(allcinemaより)
昭和の文豪・井上靖の自伝的同名小説を役所広司と樹木希林の主演で映画化した家族ドラマ。子どもの頃に母に捨てられた記憶がトラウマとして残り、母とのわだかまりを抱えたままの主人公が、年老いていく母と向き合った日々を丁寧な筆致で描いていく。共演に宮崎あおい、南果歩、キムラ緑子、ミムラ、三國連太郎。監督は「クライマーズ・ハイ」の原田眞人。
メディア | 映画 |
上映時間 | 118分 |
製作国 | 日本 |
公開情報 | 劇場公開(松竹) |
初公開年月 | 2012/04/28 |
ジャンル | ドラマ |
映倫 | G |
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