ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

チューリップ (Tulip)

2005年09月11日 | ミュージシャン



 ぼくは高校時代はドラムを叩いていました。
 ドラムって、楽器を持っている人自体がほぼいませんし、当時はドラムを叩ける人も他の楽器に比べて少なかったのです。
 1200人生徒がいる学校の中で、ドラムを叩けるのはぼくを含め数人だけだったと思います。
 ぼくは楽器は持っていませんでしたが、先輩に習っておりましたからね。
 ともかく、ドラマーの存在が希少価値だったおかげで、高校2年の文化祭では3年生のバンドに誘われました。
 そのバンドが、チューリップのコピー・バンドだったんですね。
 「青春の影」「サボテンの花」「ぼくが作った愛のうた」などを演奏しました。


 チューリップのライブに行ったのはその年の冬だったと思います。
 その当時大好きで、ヒマがあれば引っ付いていた2つ年上のまりさんと見に行ったんです。
 ちょうどベーシストが宮城伸一郎に代わった頃だったでしょうか。
 


 同じ頃のことです。
 クラスのマドンナ的存在でチューリップ・ファンだったユカリちゃんが、頼んだわけでもないのに、なぜか「貸してあげる」といって学校に持ってきてくれたのが、チューリップの2枚組ベスト・アルバム、「チューリップ・ガーデン」でした。
("それ、もしかして…"、という推理はたぶん間違いだと思います。その時ユカリちゃんには彼氏がいましたからね
 なんだかんだと、高校2年の時はチューリップづいてました。



     

 「心の旅」で大ブレイクした時に彼らの存在を知りましたが、当時は彼らを「歌謡コーラス・グループ」ぐらいにしか思ってなかったんです。なんせ歌番組(たぶん「賞」関係の歌番組)で見たときの彼らは全員楽器を持たず、歌とコーラスだけでステージに立っていましたから。
 それ以降、馴染みのないままでしたが、そんなこんなでじっくりチューリップを聴いてみることになったのは、この高2の時だったんです。


 当時のメンバーは、財津和夫(vocal, keyboard, guitar)、姫野達也(vocal, keyboard, guitar)、安部俊幸(guitar)、吉田彰(bass)、上田雅利(drums)の5人でした。
 そしてぼくの好きなチューリップの曲はこのメンバーで制作されたものばかりなので、必然的にチューリップのメンバーもこの5人、というイメージが植え付けられているんです。


 チューリップの音楽性は、ビートルズやフォーク・ミュージックに大きく影響されています。
 ビートルズのフォロワーとしては「パイロット」や「バッドフィンガー」などが知られていますが、チューリップはこれらのグループとも共通する雰囲気を持っています。
 しかし当時は、ロック畑の人たちからは「こんな軟弱なものはロックではない」と言われ、フォーク界からは「電気楽器主体のバンドはフォークではない」と見られていたようです。


 確かにビートルズなどの強い影響を受けてはいますが、チューリップというバンドの主体はあくまで彼ら自身の音楽性です。
 ビートルズをリスペクトしたうえで、彼ら自身のオリジナルな世界を形作っているんですね。


     


 日本のポピュラー・ミュージック・シーンの中で屈指のメロディー・メーカーである財津和夫が生み出す親しみやすく、ポップなメロディはもちろん、歌詞もユーモラスなものからシリアスなものまで幅広く、いろんな面で聴き応えがあります。
 といって、甘いだけのラブ・ソングだけではなく、内省的なもの、抒情的なもの、人生の光と陰に焦点を合わせたもの、と歌詞の内容も多岐にわたっています。
  

 チューリップとユーミンの存在は、日本のロックの裾野をポップな方向に広げる原動力となったのではないでしょうか。
 近年は解散と再結成を繰り返しているようですが、それぞれ元気に活動しているようです。今後も素敵な曲を作り続けて欲しいものです。
 




コメント (4)
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