独特の雰囲気がある野球場。まるで別世界。
小学校1年の時から阪神ファンで通し、野球少年だったぼくは、昨今のおかしな球界の動きのせいで、徐々に日本のプロ野球から興味がなくなってきている。
でも野球好き・スポーツ好きであることには違いないので、面白い試合、手に汗握る緊迫した試合には無条件で見入ってしまうし、新聞のスポーツ欄は毎朝じっくり読んでいる。
スポーツ好きな方はよくご存知だと思うが、野球関連の記事の中には「打撃10傑」という表があり、打率の上位10位までが掲載されている。今年のパ・リーグの打率上位10位には、つねに石井義人と宮地克彦の名がある。
浦和学院高校出身の石井選手はプロ入り9年目。素晴らしい打撃センスの持ち主として在学中から高校球界ではよく知られていて、メジャーのスカウトからも注目されていたそうだ。
宮地選手は尽誠学園高校出身で、プロ入り16年目。高校時代は四国でも屈指の投手として活躍した。プロ入りした後は伸び悩み、もともと知られていた打撃の良さを生かそうと、プロ4年目に打者に転向した。
石井義人選手
ふたりとも、有り余る素質を持ちながら、プロでは長い間芽が出なかった。石井はトレードで2003年に西武へ、宮地は西武を解雇され、テストで2004年にダイエー(現ソフトバンク)に移った。そして、ふたりともチームを移ってから出場機会が大幅に増えたのである。
宮地克彦選手
ちなみに、昨年終了時点で、石井選手は8年間でチームの行った1094試合のうち192試合(チーム試合数の18%)に出場したのみ。宮地選手は15年間でチームの行った2003試合中、わずか284試合(チーム試合数の14%)に出場したに過ぎない。
1年間に松井秀喜選手が40本以上もホームランを打ち、イチロー選手が200本近くヒットを打っていたのに比べ、昨年終了時点のふたりの1年平均の成績は、石井選手がヒット11.8本・ホームラン0.4本、宮地選手はヒット11.9本・ホームラン0.6本である。
ふたりは典型的な控え選手だったのだ。
今年のふたりは開幕から好調で、チャンスを見事にものにして、堂々とプレーしている。いまやふたりは、それぞれのチームに欠かせない存在になっている。
苦労話のひけらかしは興をそがれるが、こういう苦労人が努力の末に大きな花を咲かせるのを見るのは、嬉しくもあり、大きな励みにもなる。
ぼくがひそかに声援を送っている選手がもうひとりいる。今年がプロ入り18年目の、西武の上田浩明選手だ。彼は打撃がやや力不足ではあるが、群を抜いて守備がうまい。そのため出番のほとんどは試合終盤の守備固め、という地味な存在だ。
年齢的に、選手生活もそろそろ終わりに近づきつつある上田選手だが、昨年終了時点で762試合に出場しているけれど、実はまだホームランを一本も打っていないのだ。上田選手には、引退するまでにぜひ一本ホームランを打って貰いたいと願っている。
上田浩明選手
今日の記事は演歌っぽいタイトルだけど、それはこういう内容だからなのだ。
【追記】
2005年、石井選手と宮地選手は、ともにプロ入り後初めてレギュラーの座をつかんだ。そして両者とも初めて規定打席数に達した。
ふたりの成績は、
石井義人 125試合出場、414打数、129安打、6本塁打、38打点、打率.312(パ・リーグ4位)
宮地克彦 125試合出場、409打数、127安打、3本塁打、36打点、打率.311(パ・リーグ5位)
という堂々たるものだった。
なお上田浩明選手は2005年のシーズンを最後に現役を引退。選手生活18年(実働15年)で通算796試合に出場したが、惜しくも本塁打を記録することはできなかった。