ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ジャーニー (Journey)

2005年11月29日 | ミュージシャン


 ジャーニーは、サンタナに在籍していたグレッグ・ローリーとニール・ショーンが中心となって結成されたグループです。
 だから、そのサウンドを耳にするまでは、泥臭くてブルージーなハード・ロックか、(サンフランシスコ出身のバンドなので)サイケデリックなハード・ロックが売り物なんだろうと、漠然と思っていました。
 

 『お気に召すまま』で初めてジャーニーに接したぼくは、想像とはまったく違う、洗練されたカッコ良さにすぐひきこまれました。 
 当時、とっても仲の良かったユミちゃんが、ジャーニーのレコードを持っていました。
 ぼくがジャーニーを気に入っているのを知った彼女は、『お気に召すまま』の入ったレコード『ディパーチャー』を貸してくれたんです。


 ジャーニーのサウンドは、驚異的なテクニックを誇るニール・ショーンのギターを中心になっていますが、スティーヴ・ペリーがヴォーカリストとして参加するようになってからよりスケール・アップしています。
 野性味と叙情性を併せ持ったようなスティーヴの歌声は、並みいるヴォーカリストの中でも抜きん出た実力があると思います。"The Voice"とも称賛される伸びやかなハイ・トーンは、バラードを歌っている時にいっそう映えますね。


  
  スティーヴ・ペリー(vocal)     ニール・ショーン(guitar)
      

 ハードでポップ、そのうえにプログレッシヴ・ロック風の緻密で幻想的なサウンドを加えて、ジャーニーはとてもスペーシーでドラマティックな世界を作り上げています。
 当時は、彼らをTOTOやカンサス、ボストン、スティクスなどと並べて「アメリカン・プログレ・ハード」などと呼んだメディアもあったようですね。


 レコードを借りたまま、いつしかユミちゃんとは会わなくなってしまいました。会わなくなってしまった原因はぼくにあったので、いつかはそれを謝りたかったけれど、年月はあっという間に経つもので、ひとこと謝りたいことや、ジャーニーのレコードを借りたままになっていることなどを、ぼくはすっかり忘れてしまっていたんです。





 もう10年以上も前のある日、本を借りるために図書館に立ち寄りました。いろいろ書架を巡っているうち、カウンターの中にいるひとりの女性に目がとまりました。
 ユミちゃんだ。
 さんざん迷ったすえ、結局思い切って声をかけてみました。
 そして、勤務時間が終わってから、何年ぶりでしょうか、一緒にお茶を飲みました。
 ぼくは長年心に置いていたおわびの言葉を、やっと伝えることができました。
 別れ際に「もうすぐ結婚するの」、とちょっと照れたように教えてくれたユミちゃん。結局レコードは返しそびれたままになっています。


 もうユミちゃんに会うことはないかもしれません。だけど、ユミちゃんのお陰で知ることができたジャーニーの音楽と別れることはないでしょう。





『お気に召すまま』『オープン・アームス』『時への誓い』『オンリー・ザ・ヤング』『ドント・ストップ・ビリーヴィン』などなどがぼくの愛聴曲です。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする