ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ヴィレッジ・ヴァンガードの大西順子

2005年11月04日 | 名盤


 女性ミュージシャンの活躍が目覚しい、最近の日本ジャズ界です。ピアニストでは、山中千尋、上原ひろみをはじめ、将来を期待される人が続々と現れていますね。この流れのきっかけを作ったひとりが、大西順子ではないでしょうか。


 彼女に関する情報は長い間途絶えていましたが、今年になって大野俊三(trumpet)のツアーに同行するなど、活動を再開したというニュースを聞きました。これ、個人的にはちょっとうれしい知らせだったりします。


 そういうわけで、このところCD棚から「WOW」や「ヴィレッジ・ヴァンガードの大西順子」を取り出して聴いています。とくに「ヴィレッジ・ヴァンガード~」は、ぼくがはじめて聴いた大西順子の作品でもあります。


     
    

 このアルバムは、1994年5月に行われた、ニューヨークのライヴ・ハウス『ヴィレッジ・ヴァンガード』におけるライヴを収録したものです。
 『ヴィレッジ・ヴァンガード』は「ジャズの聖域」ともいえるライヴ・ハウスで、そこで収録されたライヴ・アルバムの発表を、日本の、それも女性ミュージシャンが成し遂げたというのは、当時の日本ジャズ界ではセンセーショナルなできごとだったようです。


 強力なスウィング感、ゴリゴリした疾走感、パワフルなタッチ。聴いているとなんとも言えない快感に襲われます。低音部の使い方や、ひたすらシングル・トーンで押しまくるソロが、いかにも「大西順子」らしいですね。


      


 クラシックの端正な風情も時折伺わせますが、彼女のピアノは独特の陰影を持った個性の強いもので、聴いていると、たとえばエリック・ドルフィーとか、オーネット・コールマンとか、チャールズ・ミンガスなどの「濃い」ジャズを連想してしまいます。大西順子の持つ「濃さ」が、ぼくにはたまらなく心地よいのです。

     
 彼女の新たなエネルギー、どんどん放出してもらいたいし、新しい作品をそろそろ聴いてみたいですね。

 
     



◆ヴィレッジ・ヴァンガードの大西順子/
Junko Onishi Live At The Village Vanguard
  ■演 奏
    大西順子トリオ
  ■アルバム・リリース
    日  本 1994年9月21日
    アメリカ 1995年5月2日
  ■録 音
    1994年5月6~8日 ニューヨーク・ヴィレッジバンガード
  ■エグゼクティヴ・プロデューサー
    行方均
  ■レコーディング・エンジニア
    ジム・アンダーソン/Jim Anderson
  ■収録曲
    ①ソー・ロング・エリック/So Long Eric (Charles Mingus)
    ②ブルー・スカイ/Blue Sky (Irving Berlin)
    ③コンコルド/Concorde (John Lewis)
    ④ハウ・ロング・ハズ・ディス・ビーン・ゴーイン・オン/How Long Has This Been Goin' On (大西順子)
    ⑤ダーン・ザット・ドリーム/Darn That Dream (Eddie De Lange & Jimmy Van Heusen)
    ⑥コンジニアリティ/Congeniality (Ornette Coleman)
  ■録音メンバー
    大西順子/Junko Onishi (piano)
    レジナルド・ヴィール/Reginald Veal (bass)
    ハーリン・ライリー/Herlin Reiley (drums)
  ■レーベル
    日本 Somethin' Else
    アメリカ Blue Note
  ■チャート最高位
    1994年週間アルバム・チャート オリコン56位






コメント (4)
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