ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

「交響曲第10番」のジンクス

2005年11月02日 | ネタをたずねて三千里

                                  ♪ショスタコービッチ(1906~1975)



 ベートーベン以降、「交響曲」は、大作となる傾向があり、演奏時間が1時間以上になるものもあります。
 ベートーベン、シューベルト、ドボルザークなど、大作曲家と言われている人たちも、交響曲の作曲に取り組んでいますが、不思議なことに、9曲までは完成するのですが、10曲目、つまり「交響曲第10番」を完成させた人はいませんでした。


 これは構成や作曲にたいへんな集中力と時間を必要とするためで、作曲者は膨大なエネルギーを消耗せざるを得ないからだ、と思われます。


 ともかく、「第10番」を完成させることなく、多くの作曲家がこの世を去ったので、20世紀の初頭には「交響曲第10番の呪い」が囁かれる時期もあったようです。


 大作曲家のひとり、マーラーはその噂をとても気に病んでいたらしく、彼が書き上げた10番目の交響曲には番号を付けず、『大地の歌』と呼びました。しかし災いは何も起こらなかったので、安心したマーラーは交響曲第10番の作曲にとりかかったそうです。ところが、第1楽章ができあがった1911年にマーラーは亡くなってしまいました。


 20世紀最大の交響曲作曲家と言われるショスタコービッチが10番目の交響曲を作曲しようとした時、このジンクスを気にしていた周囲の人々は、ショスタコービッチに作曲をやめるよう忠告したそうです。しかしショスタコービッチはそのジンクスを全く気にすることなく、見事に「第10番」を完成させました。
 ショスタコービッチはその後も作曲を続け、1975年に亡くなるまで、15曲の交響曲を書き上げています。


 今日は、知り合いから聞いた、かつてクラシック界で噂されていたジンクスの話でした。

コメント (4)
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