♪ショスタコービッチ(1906~1975)
ベートーベン以降、「交響曲」は、大作となる傾向があり、演奏時間が1時間以上になるものもあります。
ベートーベン、シューベルト、ドボルザークなど、大作曲家と言われている人たちも、交響曲の作曲に取り組んでいますが、不思議なことに、9曲までは完成するのですが、10曲目、つまり「交響曲第10番」を完成させた人はいませんでした。
これは構成や作曲にたいへんな集中力と時間を必要とするためで、作曲者は膨大なエネルギーを消耗せざるを得ないからだ、と思われます。
ともかく、「第10番」を完成させることなく、多くの作曲家がこの世を去ったので、20世紀の初頭には「交響曲第10番の呪い」が囁かれる時期もあったようです。
大作曲家のひとり、マーラーはその噂をとても気に病んでいたらしく、彼が書き上げた10番目の交響曲には番号を付けず、『大地の歌』と呼びました。しかし災いは何も起こらなかったので、安心したマーラーは交響曲第10番の作曲にとりかかったそうです。ところが、第1楽章ができあがった1911年にマーラーは亡くなってしまいました。
20世紀最大の交響曲作曲家と言われるショスタコービッチが10番目の交響曲を作曲しようとした時、このジンクスを気にしていた周囲の人々は、ショスタコービッチに作曲をやめるよう忠告したそうです。しかしショスタコービッチはそのジンクスを全く気にすることなく、見事に「第10番」を完成させました。
ショスタコービッチはその後も作曲を続け、1975年に亡くなるまで、15曲の交響曲を書き上げています。
今日は、知り合いから聞いた、かつてクラシック界で噂されていたジンクスの話でした。