箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

ほんとうの意欲は内側から湧き起こる

2015年05月09日 12時28分44秒 | 教育・子育てあれこれ


中学校の部活動やスポーツクラブでは、一生懸命に、夢中になって練習に取り組む子どもがいます。

たとえば吹奏楽部で、おとなが「すこし休憩する?」と尋ねても、「いえ、まだやります」と楽しそうで、夢中になって楽器に向かう様子が伝わってきます。

このとき「ただ楽器を吹くのが好きだから」というモチベーションが、その子を支えています。

さて、このモチベーションは専門的には、「内発的動機づけ」といいます。内発的動機づけとは、関心や「好き」という気持ちによって湧き上がる動機です。

一方、「外発的動機づけ」もあります。これは、言葉は適切でないかもしれませんが、いわゆる「馬の目の前にニンジンをぶら下げる」動機づけです。

「今度のテストでがんばったら、ほしいものを買ってあげる」とか、「勉強しないと、いい高校へ行けないよ」というように、ごほうびや罰でヤル気を起こさせるものです。

外発的動機づけが有効な場合も多くあるのは事実です。実際、外発的動機を抜きにしては試合や大会に臨めません。

しかし外発的な動機づけは、長い目で考えると弊害も出てきます。自分が楽をして得をする方法やうまく手を抜くことを覚えてしまうというマイナス効果を生んでいきます。

部活動の場合なら、顧問や指導者がいないと、努力しない、自分から進んで練習に励まないという子どもになってしまいます。

さらに、「外発的動機づけ」の何よりも大きな弊害は、チャレンジしない子どもになってしまうという心配です。

今の時代、これからの時代を生きる子どもたちにとって、もっとも必要なのは「チャレンジ力」です。
このような変化の激しい社会にあって、今のままでいいと現状を維持しようとしても、まわりは動いて、変化しています。ですから、「現状維持は、実質後退」なのです。

実際、研究者の研究からも、外発的動機づけをされた集団よりも、内発的動機に支えられた集団の方が、高い効果を得ることができるという見解が示されています。

ですから、部活動やスポーツクラブでは、部分的に外発的動機づけを取り入れながら、本質的には内発的動機づけを重視する練習を行うことが大切なのです。

内発的動機で支えられた子どもは、湧き出でるバイタリティを持ち、努力することを惜しまないような「最強の子ども」なのです。

したがって、学校での部活動の運営の秘訣は、内発的動機で活動する生徒を増やすことにあるのです。

三中でも、このような部活動が展開されることをめざしています。