箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

人とちがうことに不安感が増す時代

2021年10月14日 08時47分00秒 | 教育・子育てあれこれ


新型コロナウイルス感染症への人びとの対応から、世間では「同調圧力」という言葉がよく使われるようになりました。

外出や外食を自粛しない人や、周りの人とちがう行動をすれば、容赦なく非難されたり、攻撃されたりしました。

それの理由は、同調圧力が関係者の中にはたらくからという説明です。

ただし、学校教育の関係者ならコロナ以前から、児童生徒の集団に働く同調圧力を肌で感じていました。

わたしも、以前に何度もブログに書いたことがあります。

いまの子どもたちの集団は、4月の学級開き当初はクラスという集団のまとまりや連帯は弱く、いくつかの小グループが存在します。

そして、グループ内で「自分だけが周りの友だちとちがうことをしない」ことに相当な気をつかっています。

一度でも、自分の意思に基づき、「わたしはそんなことしない」と主張するならば、次の日から口をきいてもらえなくなると知っています。

だから、自分の意思よりも、グループの意向をうかがい知り、それに合わそうとする。

これが同調圧力であり、子どもたちの世界ではコロナ災禍以前から、いまの子どもたちに特徴的に見受けられたことです。

(もっとも、学校では集団づくりや学級づくりを進めていくうちに、このグループ内だけで完結していたコミュニケーションが広がり、グループを超えての言動が生まれます。
集団づくりの取り組みを進めていくと、やがては昔ながらのクラスメートのつながりとかクラスとしての団結・一体感が生まれてきます。)

また、同調圧力はおとな社会も同じです。
子ども社会はおとな社会の縮図のようなものです。

職場で同僚が雑談で盛り上がっているのに、自分が加わらないと、協調性のない人と思われる。みんなで、昼食を注文しようとしているのに、自分だけが断ることができない。

このようなことがあるのではないでしょうか。

考えてみれば、他者との人間関係いうものは、その「親しさ」があるから自分が楽しくなったり、うれしくなったり、しあわせな気持ちになるためのもののはずです。

ところが今の時代では、その「親しさ」がかえって重荷になり、息が詰まりそうな苦しさになるのが現代社会なのです。  (次回に続く)


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