共生社会実現のためのインクルーシブ教育とは、端的にいうと、学校で障害のある子と障害のない子が、同じ空間、同じ教室で共に学び、学校生活を送るという教育です。
世界的には、共生社会では、障害者を社会から切り離すのではなく、いっしょに暮らす社会を標榜していますが、その理念は学校でも同様だというのがインクルーシブ教育です。
国(文科省)は、インクルーシブ教育が学校で実施されるように「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」という報告書を2012年7月に出し、インクルーシブ教育を各校で推進するように呼びかけました。
しかしながら、文科省は2022年4月に通知を出し、特別支援学級に在籍する児童生徒は、原則として週の授業数の半分を目安として、他の児童生徒といといっしょではなく、特別支援学級で授業をするという内容でした。
先の2012年の方針を軌道修正する通知になっていることに、学校現場はとまどいました。
いちばん大きな動揺になったのは、大阪府でした。
大阪では、他の都道府県とは違い、ふるくから「ともに学び、ともに育つ教育」として、障害児教育を進めてきた分厚い歴史と実践があります。
保護者もそれを当然と考える人も多いのです。
障害のある子が、地域で切り離される分離教育に抗って、通常学級でほとんどの時間を仲間と過ごす教育が行われてきました。
それにより、通常学級の児童生徒も共生の意識、態度を身につけてきたのでした。
授業の半分を、通常学級の友だちとわかれて、特別支援学級で過ごすというのは、取り組みの後退を意味すると考える学校関係者が多いというのが実情です。
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