箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

ちょっと待った‼ 少人数学級

2020年12月01日 08時17分00秒 | 教育・子育てあれこれ


師走を迎えました。
新型コロナウイルスに翻弄された2020年でした。

このコロナ禍が千載一遇のチャンスとばかりに、いま文部科学省は少人数学級の導入の財源化を財務省に求めています。

じつは、新型コロナウイルスの感染が問題になるずっと以前から文科省は1クラス40人というクラス規模は多すぎると、少人数学級を要望してきました。

しかし、財務省は人件費などを課題にあげ、なかなか実現しないという経過がありました。

いじめや不登校などの課題が噴き出す学校教育の現場で、児童生徒一人ひとりに合わせるきめ細かな指導・支援を行い、学力向上を図ることが少人数学級により可能になるというのが文科省の基本的な主張です。

そこに今回のコロナ禍で、少人数学級の導入の必要性がさらに高まったという論拠で、文科省は導入をイケイケで推し進めようとしているのが現状です。

新型コロナウイルスによる一斉休校が明けた6月、まず分散登校が始まりました。各校はクラスの人数を半分にして授業を行いました。

すると、児童生徒の一人ひとりに目を向けやすくなったと、教員が実感しました。

40人のクラスでは発言や発表しなかった子も積極的に授業に参加するようになったという報告もあります。

さらに、分散登校後の平常登校では、40人学級が戻ってきたわけですが、教室一杯に机を並べ、子ども同士の間隔を十分にあけるのは困難になった。
感染症対策としても、少人数学級は必要である。

このような感染症対策として、少人数学級は必要であるという理屈です。

感染対策に加えて、さらに教員の多忙を解消し、働き方改革を進めるという主張も加えられました。

教員の長時間労働を減らすため、少人数学級で教員一人が担当する児童生徒数が小さくなれば、業務が減り長時間労働を縮減することができると考えられる。

以上が、今回文科省が少人数学級実現を推し進めるおもな理由です。

私も、たしかに40人は多いとは思いますが、学級を一律に半分の20人にするという考えではありません。

1クラスは35人程度にしておき、授業では柔軟な学習集団を構成すべきだと考えます。教科や内容で規模を変えるべきだと思います。

たとえば、合唱をやるなら70人にする。
知識を伝達する講義型の授業になる場合は35人。
対話を通して自らの考えを深める授業では20人。
個別の技能を磨く必要がある場合はもっと少人数にするなど、授業の規模を柔軟に変えれるようにするべきだと考えます。

また、いまの子どもの現状を見たとき、少人数にするのが必ずしも得策とは言えないことにも留意しておきたいのです。

大人数のクラスで人間関係のバランスをとって学校生活を送っている生徒が多いという現状があります。

40人だから人間関係の軋轢から紛れられてホッとしていた子が、20人の少人数クラスのくっきりとした人間関係に直面し、「逃げ場」をなくしてしまうことにもなりかねません。

クラスに大勢の児童生徒がいるから、多様で、仲間関係が固定せずおもしろいという考え方もできます。


授業の人数は大きくしたり、小さくして、学習効果を高める。

でも、学校生活は35人程度で、学校行事に取り組んだり、日常生活を過ごし仲間関係を育んでいく。

こうして、少人数学級を導入していくのが妥当でないかと考えます。


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