箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

知ってほしい ヤングケアラーの子の胸の内

2021年07月03日 08時36分00秒 | 教育・子育てあれこれ


最近、にわかに注目されだしたのが、「ヤングケアラー」という社会の課題です。

ヤングケアラーは学齢期にある18歳未満の子どもが、通学や仕事をするかたわらで、病気や障害のある家族(親や祖父母、きょうだい)の世話や介護をしていて、それが学業等に負担がかかっているという問題です。

わたしが知る限りこの問題は、数年前に『毎日新聞』がいち早く取り上げて記事にしていましたが、なかなか世間での認知が広まりませんでした。

しかし、最近では厚労省や文科省が実態調査を始めてから、にわかに世論の注目を集めています。

その調査結果によると、とくにきょうだいのケアに当たる子どもが多く、中高生は「誰にも相談したことがない』という回答が6割を超えるという実態がわかりました。

相談しない子どもが多いのは、家族だから自分が世話をしなければならない、そういうものと思っている意識があるのかもしれません。

そもそも、相談するという発想や考えが生まれないのかもしれません。

または、病気、障害などを話題にしにくいのが日本社会であるのかもしれません。

これら、ヤングケアラーには、福祉や医療の手立てや施策が必要なのは言うまでもありませんが、学校関係者のわたしは、当事者の生徒に対してちょっとした気配りや配慮がいると考えます。

周りの大人が、「あなたは支援されるべきだ」とおしつけがましくすると、傷つきやすい思春期の子どもにはかえって負担になるかもしれません。

「ヤングケアラーはかわいそう」という同情心もよくありません。

家族の世話をすることがよくないことと言っているような受け取り方を当事者の子がしないような配慮がいります。

ヤングケアラーの子どもの中には、世話や介護をすることが、その子の生きがいになっている場合もあるかもしれません。

また、家族の状況を知られたくないと思っている子がいるかもしれません。

そのような気配りや配慮をして、ていねいに寄り添い、助けがいるのか、いるならどんな助けがあればいいのかを、聞きとることをしなければならないのです。

それほど、思春期の子の心情は複雑でやわらかいのです。

「おっちゃんやおばちゃんは、ケアが重く、大きくなると学習や友だち関係にも影響が出て、学齢期のふつうの子の生活ができなくなることを心配しているのだよ」とケアすることそのものを否定しているわけではないことをメッセージとして、支援を提案する人は話してほしいのです。

望めば、話を聞かせてもらえる場所があり、ちゃんと受け止める大人がいることを、ヤングケアラーにわかってもらうことが大切です。

学校の「働き方改革」

2021年07月02日 07時16分00秒 | 教育・子育てあれこれ


happyとは、瞬間的な「しあわせ」を指します。
一方、well-beingとは、ずっと「心も体も快調で、持続的なしあわせ」という違いがあります。

教職員の場合、教育活動を進める働き方や働く場が、ずっと居心地よく、当人も健康であることが、well-beingといえるでしょう。

この状態が「持続している」ことが必要条件です。

「持続している」と言えば、SDGsが「持続可能な発展」をあげています。またSDGsは同時に「だれ一人取り残さない」を理念にしています。

その点で、教職員も「だれ一人取り残されず」居心地がいい職場であれば望ましいのです。

学校の働き方改革がめざす方向はこの点にあります。

楽しいオーラを出す

2021年07月01日 07時56分00秒 | 教育・子育てあれこれ


教師は多忙だと言われます。

事実、時間外勤務の時間を取り上げてみると、働きすぎのデータが出てきます。

実際、現場では、たとえば小学校の教員の場合、朝は8時を過ぎると児童が登校してきます。

教室で登校を待ち、1時間目から6時間目までずっと児童とともに過ごします。

給食でも、「給食指導」があります。

アレルギー対応食が必要な子の場合、誤食がないように配慮します。

中学校なら、終礼が終わると、部活指導
、会議、生徒指導などが続きます。

実際に忙しい教師なのですが、「忙しい、忙しい」とバタバタするのは、または、そういうオーラを放つのは、決して好ましいことではありません。

「忙しいオーラ」を出していると、児童生徒は敏感ですから、そんな先生にはあまり近づこうとしません。

余裕のない人より、いつもニコニコしていて、楽しそうに見える先生に子どもは近づいてきます。