学校が教員の働きかた改革をすすめるように、教育行政機関は、通知を出したり、学校を指導をしたりしているのが、いまの状況です。
大阪府箕面市の場合、学校に週1回ある「一斉退校日」には、19時には全員退勤しょうというものです。
また、部活動休養日は、土日のうち、どちらか1日は部活を休みにするものです。
しかし、いま、一部の企業では、新型コロナウイルス対策としてのテレワークをはじめとして、働きかた改革を見直す動きが出てきています。
それは、オフィスへ行かない、または早く帰らなければならないので、時間外の自己研鑽の機会がなくなってきたという問題が起きてきたからという理由です。
また、目先の利益を上げることに社員の意識が傾き、限られた時間内でできることことしかやろうとしない。
これでは、中長期的に見て、企業の将来のためにならないという反省もあります。
こういった事情から、働きかた改革を見直す動きが出てきています。
一方、学校でいえば、教員の仕事ほど、自己研鑽が求められる職種はないとまで、私は考えています。
今日、いい授業ができたから、私の授業は完成したというものではありません。
もっといい授業がしたい、子どもの学びをもっと高めたい、子どもを笑顔にしたい。
そのために研究し続ける資質は、教員にとっては一番必要だと考えます。
だから、
「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」(教育基本法第9条)。
「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」(教育公務員特例法第21条)。
このように、法に定められているのです。
その趣旨を踏まえ研修がありますが、それは多くが勤務時間内(校内・校外)に行われます。
時間外勤務を減らすため、校外の研修には出かけにくい。
また、教員が本当に自分の資質能力を磨くために研鑽を積むことができるのは、就業時間外に学校に残って行う自己研鑽、教材研究です。
教員は学校に遅くまで残って、世間話をしたりしているのではありません。
大多数の教員は明日の、これから先の授業や行事の準備に勤しんでいるのです。
また、いまの学校の働きかた改革は、それ以外の弊害も生み出しています。
従来から子どものために大切にしてきた学校のとりくみや教職員間の会議などが、「もう、よろしいやん。時間もかかることは」という声が職場内で出てきて、教育活動が停滞し始めているケースがあります。
その被害を被るのは、子どもであり保護者です。
だから、学校という、教職という特異性を踏まえ、働きかた改革を進めないと、この改革はうまくいかないと、私は考えています。