去年の暮れに亡くなった母の四十九日で田舎へ帰りました。
優しく皆に好かれていた母を、内輪十数人で会食し、カラオ
ケなどして陽気に偲び、実家に戻ってみると、家のすぐ裏に
はいつもどおりの山があります。母が九十年、朝に夕に仰ぎ
見た山です。今も、まだそばに立って、「寒うなってきたな、あ
したは白倉山に雪が積もるかもしれへんな」なんて、語りかけ
てくるような気がして。
玄関の花も母を偲ぶような淡色のウィンターコスモスと、
クリスマスローズ。「綺麗に咲いたな」と花が好きだった母の
声が、また耳元で聞こえたような。