これはジャックが建てた家
これはジャックが建てた家にある麦芽
これはジャックが建てた家にある麦芽を食べたネズミ....
マザーグースの「ジャックが建てた家」の最初の部分です。こんなふうに
どんどんつながっていくのを「積み上げ歌」といいますね。
| わたしの庭のバラの花 |
アーノルド ローベル,Arnold Lobel,Anita Lobel,松井 るり子 |
セーラー出版 |
これはわたしの庭のバラの花
これはわたしの庭のバラの花でねむるハチ、
これはわたしの庭のバラの花でねむるハチ
に日かげをつくっているすっとのびたタチアオイ...
アーノルドとアニタ・ローベルの「わたしの庭のバラの花」も同じようにどんど
ん庭の花が増えていって、最後は花々がページから溢れ出しそうになります。
これはのみのぴこの
すんでいるねこのごえもんの
しっぽふんずけたあきらくんの...
谷川俊太郎・和田誠の「これはのみのぴこ」も同じようなゆかいな積み上げ歌です。
これはハエを飲み込んだおばあさんの歌です。ハエを飲み込み、それを退治
してもらおうとクモを飲み込み、鳥を飲み込み、最後には牛を飲み込みとい
うナンセンスな童謡。可哀想なおばあさん、さすがに最後は死んじゃいます。
韻を踏んだ歌だけでなく童話にも積み上げ話が沢山あります。昔話や民話
などの多くが、部分的にせよ繰り返しでできています。たとえば、桃太郎
だって、犬がきびだんごを欲しがって、次に猿がほしがって、次に雉子が
というふうに。上の「おなかのかわ」なんてそれを最大限に利用した、荒
唐無稽なお話ですが、子どもには大受けです。子どもは繰り返しが大好き。
繰り返しのリズムがいいんでしょうね。
おなかの空いたネコがオウムを食べて、おばあさんを食べて、それでも
お腹が空いているので、馬方を食べて、馬を食べて、王様の行列がやっ
てきたので、王様を食べて、お妃様を食べて、兵隊を食べて、象を食べ
て、最後に蟹を食べたら、蟹がはさみで猫のお腹の皮をジョキジョキ。
「てぶくろ」は有名な民話です。男の人が片っ方落とした手袋に、暖か
そうだなとネズミが住み着き、カエルがリスが、ウサギがとどんどん住
人が増えて最後はクマまで...。寒い日に読むと、ホカホカ温かい気持ち
になります。常識も現実もとっぱらったところにある絵本の世界です。