豊洲新市場 6街区(水産仲卸売場棟):工事進捗率100% 2018年10月30日
世界最大級の生鮮市場である築地市場は、老朽化や施設が手狭であるなどの理由により、江東区の豊洲地区の東京ガス工場跡地に移転することになっています。しかし、建設予定地の土壌汚染が判明したため、計画は当初の予定よりも大幅に遅れていますが、2020年の東京オリンピック開催時には間に合います。現在、2016年11月の開業を目指して建設工事が進められており、完成すれば約40.7ヘクタールの敷地に水産卸売場、水産仲卸売場、仲卸売場の3つの市場棟のほか、市場ならではの「にぎわい」を創出する「千客万来施設」などが設置される予定です。
豊洲新市場は景観にも配慮していて、護岸沿いには遊歩道を整備し、水産仲卸市場棟の屋上は緑化広場となります。緑を創出することで、ヒートアイランド対策にもなります。そして最先端のエネルギー利用システムを推進することで、二酸化炭素の排出量を削減させることが出来ます。
新市場内には、既存の築地市場内での壮観なマグロのせり、新鮮な食材を味わえる飲食施設の伝統を引き継いだ「千客万来施設」が設けられることになります。2014年2月19日、豊洲新市場の本体施設に隣接する「千客万来施設事業」の事業予定者として、喜代村と大和ハウス工業を選定したとプレス発表がなされました。
※追記 2015年4月28日、運営予定だったすしチェーン「すしざんまい」を展開する喜代村(中央区)が撤退した都の報道発表が東京都からありました。グループを組んでいた大和ハウス工業(大阪市)も2月に辞退を表明しており、計画全体が白紙になった形です。
新しい「豊洲新市場」の概要
新しく建設されることになる豊洲新市場の特徴は以下の6点です。
1.他市場への転配送施設を設置するなど、首都圏のハブ機能を確立する。
2.搬入から搬出までの一貫した物流システムを確立するなど、取引・物流両面の効率化を図る。
3.高度な衛生管理、よりよい品質管理が可能となる施設整備や体制づくりを行うなど、安全・安心の市場づくりを行う。
4.買い回りの利便性の向上及び商品や取引情報の提供など、顧客サービスを充実する。
5.環境負荷の低減、省エネ・省資源を実現する。
6.賑わいゾーンの設置や魅力ある都市景観に配慮するなど、まちづくりに貢献する市場とする。
築地から豊洲へ移転する必要性
築地市場の問題点として
1.施設の老朽化:会場から70年以上が経過し、建物の一部が破損しているなど安全性に不安を抱えている。部分的には改修してきたが、その対応にも限界がある。
2.搬出・搬入スペースの不足:大型トラックでの搬出・搬入のためのスペースが不足しており、車両動線の確保が難しい状態が続いている。
3.施設の過密化:駐車したり、荷さばきする場所が足りなくなっており、市場内が常に混み合っている。作業効率が悪くなる上、車両などの接触事故が起こるリスクがある。
4.高度な品質・衛生管理が難しい:荷置き場が足りず、商品が路上に山積みになることが多い。また温度管理が不十分で、高温や風雨の影響を受けやすい。
豊洲市場に移転する必要としては
1.約40ヘクタールの用地:駐車場や荷さばきの場所を確保でき、搬出・搬入スペースも十分にあるので過密状態が解消される。
2.交通条件が良い:首都高速道路の出入り口(豊洲IC)や主要幹線道路にアクセスしやすく、また羽田空港や東京港からの輸送利便性も高い。
3.大消費地に近い:豊洲地区は都心から2~4キロと近く、飲食店が集中する銀座からも近い。また著しく発展する臨海地区とも隣接している。
4.築地市場に近い:築地市場からは2.3キロ、車で5分と近く、築地で培ってきた顧客との関係やブランドが豊洲新市場でも活かされる。
豊洲新市場 土壌汚染対策工事について
1.遮水壁の設置
地下水の流出入を防ぐため、各街区周縁に不透水層の深さまで遮断壁を設置する。道路やゆりかもめの高架橋に面した側については遮水性と共に剛性が高く自立性に優れている構造の鋼管矢板遮水壁を、護岸側の遮水壁は現場の土とセメントを混合させて作るソイルセメントと鋼製の遮水材を組み合わせた国内最大規模(約1.6キロ)の三層構造遮水壁を設置する。
2.汚染土壌の処理
洗浄処理プラント・中温加熱処理プラント・掘削微生物処理プラントの3つを集約した仮設処理プラントを6街区内に設置し、3つの街区の汚染土壌を確実・効率的に処理する。処理済み土は、環境基準以下になったことを確認して、各街区の埋め戻し土として再利用する。
3.汚染地下水対策
汚染されている地下水を、揚水復水によって完全に入れ替える。くみ上げた地下水は、地上の地下水処理プラントで下水排除基準(下水道に流してもよいとされる水質基準)まで浄化したのち、下水道に放流する。
4.液状化対策
地震時に液状化する可能性の地層(液状化層)があるため、東日本大震災や阪神淡路大震災で実績がある液状化対策を実施する。
5.地下水管理用の井戸の設置
市場施設完成後は、地下水管理システムにより敷地全域の地下水位および水質を管理する。
築地から豊洲への市場移転までの経緯
1935年(昭和10年) 築地市場開場
1988年(昭和63年) 築地市場再整備基本計画の策定
1991年(平成3年) 再整備工事に着手
1996年(平成8年) 再整備工事が難航・中断
1998年(平成10年) 移転の検討開始
2001年(平成13年) 豊洲への移転決定
2004年(平成16年) 「豊洲新市場基本計画」公表
2006年(平成18年) 豊洲新市場基本設計確定
2014年(平成26年) 2016年11月上旬の豊洲新市場の開場時期が正式決定
2016年(平成28年)8月 11月7日の開場予定を、2017年2月以降に延期と正式決定
2016年8月からの豊洲新市場の移転延期問題の経緯について
1.もともと小池百合子都知事は、都知事選の最中から豊洲新市場への移転を「いったん立ち止まって考える」という公約を発表していた。
舛添要一前東京都知事が2016年6月21日に辞任し、後任の新都知事を決める都知事選が行われたのは7月31日のことです。選挙中から小池候補は豊洲新市場の移転問題について、おそらく移転は進めるという大前提の上で見直しをするとの公約を述べていました。選挙結果は小池知事が圧勝し、8月2日に第20代東京都知事に就任しました。8月以前は豊洲新市場への移転問題はあまり世間の関心は高くなかったのですが、水産仲卸売業者が移転を嫌がっているとか、小さな政治的問題は起こっていました。去年の4月末には、敷地内に建つ千客万来施設棟のテナントに入る業者が全て辞退してしまうなど、ケチのつきやすい施設だという程度のものでした。
2.8月中旬、小池知事は豊洲新市場内を視察する
8月16日、小池知事は築地市場と移転先の豊洲市場を視察し、一部業者らが要望している移転延期について「リオ出張(18~24日)から帰国後、総合的に判断したい」とし、早期に結論を出す考えを示しました。当時の新聞を読み返してみると、地下の排水処理施設とか地下水監視用のモニタリング空間とかの用語が出て来ます。まだ「空洞」という単語は出て来ません。当時はまだ土壌・地下水汚染などに加え、耐震性を確認することが主題でした。
3.小池都知事は豊洲新市場への移転を延期すると正式発表
8月31日に小池知事は緊急記者会見を開き、豊洲新市場への移転開業を2017年2月以降まで延期すると正式発表しました。延期の理由については「安全性への懸念、巨額で不透明な事業予算、情報公開の不足の三つの疑問がある」と述べました。これによって、環状第2号線の湾岸地区の12月の暫定開業も、事実上延期されることになりました。当然のことながら、築地市場の関係者(特に水産仲卸関係の人たち)の反発は大きなものとなります。日本国内の世論調査でも、この移転延期の正式決定については賛否両論が巻き起こりました。
4.移転延期決定から10日後の9月10日、盛土がされていない問題が発覚する
豊洲新市場問題の動向が大きな転機を迎えるのが9月10日です。5街区(青果棟)、7街区(水産卸売場棟と管理施設棟)、6街区(水産仲卸売場棟」の3棟の建物の下は盛り土がされず、 床下は全て深さ5メートルの空洞になっていることが発覚し、小池知事は記者会見で「東京都庁職員全員を粛正(粛清ではない)してきたい」と激烈な表現で批判しました。東京都は地表約2メートルの土壌を取り除き、 きれいな土を4.5メートル盛った上に建物を建てると説明していたのですが、有識者でつくる「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」に 「盛り土の完了を確認した」と説明し、同じ旨の説明を公表していました。地下空間ははたして安全なのか、東京都の説明不足は問題はなかったのか、という2つの問題が同時に発生することになります。
※ここで注意すべきは、盛土と地下空間の安全性の有無と、東京都による多方面への説明不足の二つの問題は分けて考える必要があります。この二つの問題を分離しないと「豊洲新市場は安全性は確保されているが、散々ケチがつきすぎてイメージが悪すぎるから移転中止すべきだ」という最低最悪の結論になりかねないからです。
5.青果棟の地下空間に強アルカリ性の水2000トンが貯まっていると判明
9月14日、5街区内の青果棟の建物下の地下ピット内に深さ15センチ前後の水が貯まっていることが公表しました。この頃からテレビの報道番組で豊洲新市場への移転問題がクローズアップされ始めます。朝やお昼のワイドショーでは連日のように豊洲新市場の問題が次から次へと噴出し始めます。また同時期に、土壌汚染対策工事を請け負った業者たちが90%超の高い落札率で落札し、建物本体の工事も99%で落札したことがニュースになりました。
6.水産卸売場棟の地下空間からシアン化合物が検出される
9月20日、水産卸売場棟で採取した水から、環境基準とほぼ同じ程度のシアンが検出されます。ただしこれは公明党都議団が採取した水を調べたというだけの話であり、東京都が正式に調査した結果ではないことに留意する必要があります。東京都の正式な地下水モニタリングの検査結果ではありません
7.地下水モニタリング検査に置いて、ベンゼンが検出される(東京都による正式な調査)
9月29日に東京都が実施していた8回目の地下水モニタリング調査で、青果棟がある5街区で環境基準をわずかに上回る有害物質のベンゼンとヒ素を検出したと発表しました。最大でベンゼンは基準の1.4倍、ヒ素が1.9倍です。土壌汚染対策をしっかりやったとしても、やはり完全に防ぐことはできないということでしょうか。
8.連絡通路地下からベンゼンやシアン化合物が検出される(東京都による正式な調査)
10月6日、水産卸売場棟と水産仲卸売場棟を結ぶ連絡通路の地下に、高濃度のベンゼンなど汚染物質が残っていることが新たに発覚します。 東京都によると、土壌から環境基準の710倍のベンゼンや高い濃度のシアン化合物など汚染物質が検出されたということです。この場所は汚染物質をすべて取り除く必要のある「市場用地」ではなく「道路用地」としていました。
9.技術的な安全性への疑問が次々と反証されていく
10月中旬の時点では、「豊洲新市場は限りなく安全である」との世論が多数を占めつつあり、問題の焦点は、東京都の組織としてのガバナンスへと関心が変わりつつあります。移転再開の時期はいつになるのか、今後の動向が注目されます。
10.盛土することは、東京都の組織としての決定であったことが発覚する
10月31日の朝日新聞によると、施設設計の前の2009年に盛り土を「都の土壌汚染対策」とする方針が決まっていたことが明らかになります。専門家会議の提言や、土壌汚染対策を検討する都の有識者会議「技術会議」が出した感想に基づいてのことです。ところが2年半後の2011年8月、盛り土をせず地下に空間を設ける設計が都の担当部局内で固まります。その担当部局とは、新市場整備部の部課長級会議です。
11.責任の所在を明確にするための処分内容が公表される
11月1日、小池都知事は関与した市場長2人、管理部長1人、新市場整備部長1人、基盤整備担当部長2人、施設整備担当部長2人の計8人(退職者も含む)について、「責任の所在を明確にする」として、速やかに懲戒処分を進める意向を示しました。部課長級会議でそんな重要なことが簡単に決まってしまい、市場長や知事のチェックが働かなかったのか、と疑問に思ってしまいます。
12.豊洲移転問題の今後の工程表が公表される
東京都庁内部の組織としての、説明不足などのガバナンス面における不手際の処分が(とりあえずは)終わり、今後の豊洲移転の道筋を示した工程表が公表されました。行程表は4段階に分かれていて、(1)安全性の検証、(2)環境アセスメント、(3)必要な追加対策工事、(4)農林水産大臣への認可手続、の手順となります。4つの手続きが済めば晴れて豊洲への移転開業となります。
(1)安全性の検証…市場問題プロジェクトチーム(PT)が建物の安全性を検証している
(2)環境アセスメント…環境への影響を検査する。その後に、豊洲に移転するかどうかの判断を行う。
(3)必要な追加対策工事…必要があれば、対策工事を行う。
(4)農林水産大臣への認可手続き…手続きが終われば移転会場となる。
現在行われているのがステップ1の安全性の検証です。専門家会議が地下空間(東京都は、地下水モニタリング空間であると位置づけている)における土壌や空気の汚染具合を、市場問題プロジェクトチーム(PT)が建物の安全性などを検証しています。そして環境アセスメントとして環境への影響を検査し、築地から豊洲へ移転するかどうかの判断を行います。追加対策工事が必要であれば実施し、最後に農林水産大臣への認可手続きを行い、晴れて移転開業となります。また、市場関係者の損失への補償や支援のため、「補償検討委員会」を設立します。
13.地下空間は豊洲新市場の工事以前から存在していたのではないかという疑惑が浮上する
前述の懲戒処分の対象となった8名の中で、当時の新市場部の部課長会議における部長だった宮良真氏(退職)が、処分決定について異議を唱える文書を都に提出しました。前述の通り、宮良氏は2011年8月に盛り土をしない方針を決めた部課長会議における部長職にあり、意思決定の責任があると第2次報告書で名指しされていました。宮良氏は、管理監督の責任を認めた上で「部課長会は意見交換の場であり、意思決定の場ではない」と反論され、更に「予算計上などの権限を持つ事務部門の了解を得ずに工法変更は出来ない」と述べました。部課長会議において工法変更の意思決定は出来ないという趣旨の反論であるとすれば、元々豊洲新市場の整備予定地には、謎の地下空間が存在していたということを告発したことになります。
14.石原慎太郎前都知事の責任問題が浮上する
2009年2月に作成された「豊洲新市場整備方針」の中において、東京都の「機関決定」として盛り土を「都の土壌汚染対策」とする方針が示されます。当時の石原慎太郎知事が決裁していました。その後の2011年8月の新市場整備部の部課長会議において、その機関決定を覆す暴走行為があり、石原都知事はその暴走行為を見抜けなかったのか、という責任問題が発生しました。本当に見落としていたのか、故意なのか、はっきりしていません。
15.第2回目の専門家会議が築地市場で開催される
11月12日、豊洲新市場問題発生後に再招集された専門家会議の第2回会合が築地市場で開かれました。水産仲卸売場棟と水産卸売場棟を結ぶ連絡通路付近の地下にある地下水モニタリング空間の大気から、国の環境基準の約4倍のベンゼンと、指針値を少し上回る水銀が検出されたことが報告されました。
16.豊洲移転は2017年冬以降の実施か
11月18日、小池百合子都知事は豊洲市場の移転開場について、早ければ来年夏ごろにも移転の可否を判断し、実際の移転は来年冬以降になるとする行程表を発表しました。移転時期を決める際には、市場関係者とも調整します。2017年1月に豊洲市場の地下水の最終モニタリング結果が出て、同年4~5月に環境アセスメントの結果が出て、その後に豊洲への移転の是非を決めます。追加工事は半年程度を見込んでいます。
17.橋下徹前大阪市長は小池政治塾と距離を置くことを表明
豊洲新市場の移転延期問題と関係ない事柄に思えますが、橋下さんのツイッターを今年9月以降は常に気にしていた私としては、これで小池新党と大阪維新の会が接近することは無くなったと推測します。移転問題の解決の着地点をどうするのか、ますます混迷の度合いを深めてしまい、先が見えません。移転再開は早くても1年後以降だ、という小池知事の発表を聞いて、パンドラの箱を開けてしまったと後悔した都民の皆さんは多いのではないでしょうか。橋下さんはその雰囲気の変化を逃さなかったということです。
18.中西充元市場長を筆頭とする歴代中央卸売市場長ら18人を減給処分へ
豊洲新市場の地下に土壌汚染対策のための盛土が無かった問題において、都内部の責任の所在を明確にするための政治的・行政的な攻防が本格的になってきました。11月25日、都が担当部局トップの歴代の中央卸売市場長ら18人を減給処分とすると発表されました。この18人の中には、11月初旬に公表した新たな検証報告書(2次検証報告書)で責任者と認定された元市場長で現副知事の中西充氏ら現役・OB幹部計8人も含まれています。議会で「豊洲の敷地全体で盛り土をした」などと事実と異なる答弁をした職員も新たに処分の対象に上がりました。時事通信のヤフーニュースではサラッと書かれていましたが、都議会で虚偽の答弁を行ったというのは、それはそれで結構重大な事案だと思います。民主主義の根底をひっくり返してしまうくらいのインパクトがあります。
19.年明けの1月12日に小池都知事が築地市場を視察し、関係者らと会談へ
小池都知事は1月12日に築地市場を訪れ、関係者らとともに午前5時すぎから鮮魚や青果物の競りを視察しました。豊洲への移転延期が2017年冬に計画されていることに対して仲卸業者らが不安を持っていることを都知事に伝えたのに対し、小池都知事は安全性の確保に理解を求めました。その上で、2017年冬の移転開業を、半年ほど前倒しる可能性も示唆しました。
20.最終地下水モニタリング調査の結果が公表される
2017年1月14日、豊洲市場の地下水モニタリング調査の最終結果において、環境基準の最大79倍のベンゼンが検出されました。また、本来では検出されてはならない猛毒物質のシアンも検出されました。「食の安全に問題はない」とする土壌汚染対策を検証する都の専門家会議と、「消費者が納得しない。とても移転できない」と見解を出す業者間との間で意見が真っ二つに分かれてしまい、問題解決の落とし所が全く見えなくなってきました。
21.市場問題プロジェクトチームの会合で東京都が試算結を報告する
1月25日に東京都の市場問題プロジェクトチーム(PT)の5回目の会合が行われ、豊洲市場開業後に赤字となることが明らかになりました。具体的には、豊洲市場の年間収益は約68億円なのに対し、減価償却費や人件費、維持管理費などを合わせた費用は約166億円。約98億円の赤字となることが明らかになりました。単に築地から市場機能を豊洲へ移転しても、赤字になることは避けられないということです。
22.豊洲移転問題に関する「百条委員会」を設置することが決定される
1月22日の午後に開かれた都議会で、豊洲市場の問題を調べる百条委員会の設置をするための動議が出され、採決の結果、全会一致で設置が決定されました。百条委員会の中では、築地市場から豊洲市場への移転に関する経緯や、土地の購入をめぐる東京ガスとの交渉の経緯、それに建物の下に盛り土がなされなかった土壌汚染対策などが調査されることになります。石原慎太郎元都知事らも呼ばれることになりました。
23.都の設置した「百条委員会」の証人喚問が始まる
3月11日から証人喚問が始まりました。交渉役だった浜渦武生元副知事と東京ガスによる「水面下の交渉」、11年3月に都と東京ガスが結んだ土地売買契約で、東京ガスに新たな土壌汚染対策費用を負担させない「瑕疵担保責任の免除」が盛り込まれた理由などが明らかになりました。
24.豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議が豊洲市場は安全であるとの判断を示す
3月19日、同会議は豊洲市場につき、科学的、法的に安全であるとの評価を行いました。調査結果を受け、小池百合子知事は移転の可否を決定することになります。
25.豊洲市場の安全性の評価の基準となる考え方が発表される
市場関係者から豊洲では消費者の安心を得られないと批判されている問題で、3月19日に専門家会議の第5回目の会合が、築地市場で開かれました。平田座長は安全性について、再三「地上と地下を分けて評価をしたい」と強調します。地下水の追加調査を行なった地点の調査を継続することになりました。平田座長は「地下水対策をすれば、将来環境基準を満たすことができる」として「安全」は確保可能との見方を示します。
26.2017年3月20日、石原元都知事が調査特別委員会(百条委員会)に証人として出席する
百条委員会に証人として出席した石原慎太郎元都知事ですが、特に委員会内で目新しい証言などは出てきませんでした。
27.小池知事は「市場のあり方戦略本部」を庁内に設置へ
3月24日、小池都知事は豊洲移転を総合的に判断するために「市場のあり方戦略本部(仮称)」を庁内に設置する意向を表明しました。この時点では、小池知事は具体的な時期には言及しませんでした。当戦略本部のトップには、元中央卸売市場長の中西充副知事を起用する方針となっています。
28.市場問題プロジェクトチーム(PT)が「築地改修案」を報告書素案とする方針を決定
4月26日、豊洲市場への移転問題を話し合う市場問題プロジェクトチーム(PT)の8回目の会合を開き、第一次報告書の素案について意見交換しました。素案には、「豊洲市場移転案」と「築地市場改修案」の2案を盛り込みました。
29、築地市場の土壌汚染調査が始まる
5月2日、東京都は築地市場内の土壌汚染調査を開始ました。敷地内の111か所で土壌と地中のガスを採取し、ベンゼンやヒ素、水銀などの有害物質の濃度を調べることになります。
30.築地市場の土壌汚染報道が波紋を呼ぶ
5月25日、東京都が行った築地市場の土壌調査で、30カ所で採取した土から土壌汚染対策法の基準値を超える水銀や鉛、六価クロム、ヒ素、フッ素の5種類の有害物質が検出されたと発表しました。築地も決して安全ではないことは「築地も豊洲も両方活用する」と提唱していた小池知事の構想自体にブレーキが掛かった形となりました。
31.「市場のあり方戦略本部」が今までの全ての議論について結論を出す
6月16日、これまで4回豊洲移転問題を議論してきた市場のあり方戦略本部が最終的な結論を発表しました。「専門家会議に諮問していた盛土欠落問題や市場建物の構造設計問題、豊洲市場の経営持続性の問題などはいずれも対策可能で、それにより豊洲市場は安心・安全かつ持続的に経営できる」とされています。すなわち、豊洲市場に対する懸念は先日の専門家会議での「安全宣言」に続いて戦略本部でも「対策されれば豊洲への移転に障害はない」という結論となったため、豊洲への市場移転を行わない、延期する口実を完全に失ったことになります。
32.小池知事は築地市場に市場機能を残す案を発表する
6月20日、小池知事は豊洲に移転した上で5年後をめどに築地市場跡地を再開発し、市場機能を持たせる方針を表明します。市場を豊洲市場へいったん移した上で築地を再整備し、再び築地へ戻すとのことですが、この案は市場関係者始め世論から疑問の声が出されて最終的には撤回されることになります。
33.2017年東京都議会選挙が始まる。
6月23日、東京都議会選挙の告示が行われました。築地市場の豊洲地区への移転問題や受動喫煙問題、待機児童問題など、2016年9月に就任した小池百合子東京都知事の都政運営などが争点に挙げられ、豊洲移転問題の事実上の信任投票の形となりました。
34.東京都議会選挙が行われて小池知事率いる都民ファーストの会が圧勝する
7月2日に東京都議会選挙の投開票が行われ、小池支持勢力である都民ファーストの会が大勝し、政策への信任が得られた形となりました。都民ファーストの会が議会第一党に躍進、また都民ファーストならびに公明党・生活者ネットら小池知事を支持する勢力が過半数を超える圧勝となりました。
35.豊洲市場の千客万来施設運営会社が撤退を示唆する
7月15日、小池知事が示した「豊洲・築地両立」案が、豊洲敷地内に建設予定の商業・観光施設「千客万来」に波紋を広げています。同施設の運営会社・万葉倶楽部は「大前提が覆された」として撤退も視野に入れて検討することを表明しました。築地再開発で「食のテーマパーク」などを整備する構想を掲げ、同社が「同じような施設ができれば採算が取れない可能性がある」と難色を示しました。
36.豊洲市場の豊洲の追加土壌対策などの予算が組まれる
8月10日、豊洲市場の土壌汚染対策追加工事費約30億円をはじめとする総額73億円(債務負担行為を含む)の補正予算案を提出する方針を明らかにしました。30億円のうち地下空間の工事に13億円、地下水管理システムの対策に16億円を見積もります。補正予算案にはそのほか、引っ越し作業の再準備をはじめ豊洲市場開場に向けた移転準備に必要な経費25億円、カーブミラーの大型化やトイレの設置などといった豊洲市場の使い勝手向上のための経費1000万円、築地の再開発に向けた検討に必要な経費として2000万円をそれぞれ計上します。
37.上記の補正予算案が可決される。
9月5日、都議会の臨時会において豊洲移転の経費・築地開発の調査費を盛り込んだ補正予算案が都民ファーストの会や自民党などの賛成多数により可決されます。小池都知事は、これで豊洲移転を決断したということを事実上、世論に示した形となりました。
38.豊洲市場開場は2018年6月以降になることが判明する
小池知事は8月28日に開会した都議会臨時会で、築地市場の豊洲市場への移転に関し、「追加対策工事は現時点で6月上旬に完了と見込んでいる。具体的な移転時期はそれ以降になる」と述べ、豊洲移転は早くても工事終了後の2018年の6月上旬以降になるとの見通しを示しました。
39.豊洲市場の追加対策工事が始まる
12月18日から豊洲市場の追加工事が始まりました。工事の内容は、盛り土がされていなかった建物下の地下ピットの床面に、有害物質の揮発を防ぐコンクリートを敷く工事となっています。 豊洲市場は、地上の安全は確認されたが、地下から有害物質が検出されたことを受け、都はさらなる安全性向上のため追加対策工事を行うことを決めていました。この工事をめぐっては入札の不調が続いていたが、先週までにほぼ落札され、年内には全ての工事が契約される見通しとなります。
40.豊洲市場の開場日が決定する。
12月20日、豊洲市場の開場日が2018年10月11日に決定したことが発表されました。築地市場での営業最終日は2018年10月6日となり、同7日から10日までの4日間で引っ越しをすませ、11日に豊洲市場を開場します。市場開場に先立ち、市場関係者は小池知事に対して「安全宣言」を求めました。
※この項目に関しては、今後も追記していきます。
「豊洲新市場」の完成イメージパースです。南東側の上空から見下ろして撮影した形となっていて、豊洲新市場の敷地全体が3つの大きなブロックに分割されています。
豊洲新市場の配置図です。新しく建設された2本の道路を挟んで、3ブロックの区画に分けられていて「水産仲卸売場棟」「水産卸売場棟」「青果棟」となっています。千客万来施設棟部分は、水産仲卸売場棟に隣接して設けられることになります。
豊洲新市場内に併設される商業施設「千客万来施設事業」の完成予想図を、東京都中央卸売市場のホームページから拝借しました。東京の新しい新名所、観光名所になりそうですね。
約140店舗を擁する「"豊洲"場外市場」等が整備されることになります。
豊洲新市場の計画・施設概要
1.取扱量・物流量の想定
市場取扱量 水産物部 2300トン/日 青果部 1300トン/日
市場内物流量 水産物部 2900トン/日 青果部 1300トン/日
2.施設規模等
所在地 江東区豊洲六丁目
敷地面積 約40.7ha(護岸を含む面積約44ha)
延べ面積 約40.8万㎡
3.主要施設
5街区 青果棟(青果卸売場・青果仲卸売場・加工パッケージ施設など)
6街区 水産仲卸売場棟(水産仲卸売場・物販・飲食店舗など)
7街区 水産卸売場棟(水産卸売場・加工パッケージ施設・転配送センターなど) 管理施設棟(都・衛検事務所・各業者事務所・飲食店舗など)
4.階数
5街区 3階
6街区 5階
7街区 水産卸売場棟5階・管理施設棟6階
5.街区面積
5街区 約12.9ha
6街区 約14.3hag
7街区 約13.5ha
6.延べ面積
5街区 約9.3万㎡
6街区 約17.2万㎡
7街区 約14.3万㎡
7.施設の設計
水産仲卸売場棟・水産卸売場棟・青果棟:日建設計
8.施設の施工
水産仲卸売場棟:清水建設・大林組・戸田建設・鴻池組・東急建設・錢高組・東洋建設JV
水産卸売場棟:大成建設・竹中工務店・熊谷組・大日本土木・名工建設・株木建設・長田組土木JV
青果棟:鹿島建設・西松建設・東急建設・TSUCHIYA・岩田地崎建設・京急建設・新日本工業JV
プレスリリース:東京都中央卸売市場のホームページ
豊洲新市場建設について 新たな首都圏の基幹市場“豊洲新市場”
豊洲新市場建設工事施設計画の概要
環状第2号線の「豊洲大橋南詰交差点」上に整備されているペデストリアンデッキにやってきました。デッキ上から「6街区(水産仲卸売場棟)」の建物群の全景を撮影しました。手前側に建っているのは「加工パッケージ棟」の建物となっています。
場所を少し移動して、豊洲六丁目地区内に整備されている「豊洲ぐるり公園」の緑地帯の西端部(東京港側)にやってきました。元々この場所は東京ガス工場だった場所であり、跡地に再開発によって誕生しています。
北西側から、豊洲ぐるり公園の西端部から「豊洲市場 6街区(水産仲卸売場棟)」の建物群の全景を撮影しました。手前側に建っているのは「冷蔵庫棟」の建物となっています。
西側から「豊洲市場 6街区(水産仲卸売場棟)」の建物群の全景を撮影しました。手前側には、東京ガスのガス管ネットワークの地下中継点である「東京ガス豊洲ガバナステーション」の敷地が広がっています。
「豊洲ぐるり公園」の緑地帯内を通り抜けて、6街区(水産仲卸売場棟)の敷地南側を通っている東京都道484号豊洲有明線の歩道にやってきました。南西側から水産仲卸売場棟の建物群の全景を撮影しました。
南側から、「水産仲卸売場棟」の敷地西側の区画を見下ろして撮影しました。そばにはスロープ道路や、水産仲卸売場棟に隣接した冷蔵庫棟、残差集積所、廃棄物集積所の建物などが集まっています。
東京都道484号豊洲有明線の歩道を東側(晴海大橋南詰交差点方向)へ向かって歩いていくと、歩道から「6街区(水産仲卸売場棟)」の敷地内に入ることが出来る連絡通路にやってきました。
「水産仲卸売場棟」の地上3階フロアの一般見学者専用の入口前にやってきました。見学者専用の入口から「水産仲卸売場棟」の建物内に入っていきます。
水産仲卸売場棟の地上4階フロア内に整備されている「関連物販店舗エリア」にやってきました。このエリア内には、一般見学者も購入することが出来る店舗が約100ほど整備されています。
「関連物販店舗エリア」内の通路を見渡して撮影しました。平日の午前中の時間帯だったのですが、人通りはほとんどありませんでした。
「関連物販店舗エリア」内を一通り回ってみましたが、3分の1程度が空き店舗状態となっていました。
「関連物販店舗」のある4階フロアから退出して、水産仲卸売場棟の建物と地上前駅舎とを結ぶ連絡デッキにやってきました。これから水産仲卸売場棟上に整備されている「屋上緑化広場」へ向かいます。
水産仲卸売場棟の敷地内を通っているペデストリアンデッキ内から、「豊洲市場正門(北側)」前の交差点の全景を撮影しました。2018年10月11日の市場開場して以降、賑やかになってきましたね。
南側から、「水産仲卸売場棟」の敷地東側を通っている構内道路を見下ろして撮影しました。平日のお昼に近い時間帯だったので、仲卸業者関連の車両は全く通っていませんでした。
南西側から、「6街区(水産仲卸売場棟)」の敷地東側に整備されている「加工パッケージ棟」の建物を見下ろして撮影しました。
「加工パッケージ棟」の入口の全景を撮影しました。「市場関係者以外は立ち入り禁止」との貼り紙が設置されていました。この加工パッケージ棟こそが、築地市場には無かった新機能であり、仲卸の買い付け市場と加工パッケージ機能とを分離することになりました。
「屋上緑化広場」へ向かう専用のエレベーターに乗車して、地上5階フロア相当の歩行者用通路にやってきました。
地上5階フロア(相当)に整備されている歩行者専用通路を、道なりに歩いていきます。この通路が「屋上緑化広場」の一部でないかと思っていましたが、あくまでここは通路に過ぎません。
地上5階フロア(相当)の歩行者専用通路から、更に上階(地上6階フロア)に上がることが出来る階段を撮影しました。この階段の上が「屋上緑化広場」となっています。
早速「屋上緑化広場」へ上がることにします。
水産仲卸売場棟の建物の屋上(6階フロア相当)に整備されている「屋上緑化広場・屋上プロムナード」にやってきました。芝生広場が整備されている広場内を、一周して歩いていきます。
「屋上緑化広場」の敷地の南西角にやってきました。芝生広場の通路内を、北側(晴海運河側)へ向かって歩いていきます。
西側から「屋上緑化広場」内を見渡して撮影しました。
「屋上緑化広場」の敷地の北西角にやってきました。「屋上緑化広場」の敷地北側には、このような歩行者専用通路が整備されていました。
「屋上緑化広場」の通路内から、晴海運河側(北側の一帯)を見渡して撮影しました。正面奥には中央区の晴海5丁目地区の埋め立て地が広がっていて、2年後のオリンピックの「選手村」の工事が佳境を迎えているのが見えました。
南西側から、「豊洲ぐるり公園」の緑地帯内に下りることが出来るエレベーターシャフトと連絡通路の全景を撮影しました。
「屋上緑化広場」の敷地内から、環状第2号線の「豊洲大橋」の道路橋梁を撮影しました。現在は選手村の工事用車両のみが通行可能となっていますが、2018年11月4日には暫定開通することになっています。
東側(加工パッケージ棟側)から、「屋上緑化広場」の敷地北側に整備されている歩行者用通路の全景を撮影しました。
北側から、「屋上緑化広場」の敷地東側の芝生広場を撮影しました。
豊洲新市場の「6街区(水産仲卸売場棟)」の地図です。