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品川シーズンテラス:工事進捗率97% 2015年5月5日
東京都下水道局が所有している港区港南1丁目の下水処理場「芝浦水再生センター」の老朽化に伴う大規模な再構築事業「(仮称)芝浦水再生センター再構築に伴う上部利用事業」の一環として、下水処理施設の上部に建設される高層複合ビル「品川シーズンテラス」です。東京都下水道局の芝浦水再生センターは1931年に設置された東京で3番目に古い再生センターで、老朽化が著しいため、再構築事業が進められています。これに合わせて、上部空間を使用して高層オフィスビルを建設するなどの都市再開発が実施されています。
再構築に伴い雨天時貯留池を新設し、その真上に合築手法で超高層オフィスビルを建設します。また、既存の水処理施設の上には人工地盤を築造し、そこを大規模な緑地帯に整備する計画となっています。複合施設の正式名称が「品川シーズンテラス」と名付けられたオフィスビルは、地上32階、高さ約155メートル。1フロアの面積が約4970平方メートルとなり、国内最大級のオフィスフロアを有するビルとなります。太陽光や風などの自然エネルギーを活用して、環境負荷の軽減と快適な室内環境の両立を実現します。併設される緑地帯の面積は約3.5ヘクタールもあり、都心部の生態系の充実とヒートアイランド現象の抑制に貢献します。
この「品川シーズンテラス」の再構築計画は、東京都が老朽化した下水処理施設の更新費用をねん出するため、施設の上部空間を民間企業に有効活用させるPPP(官民連携)プロジェクトの最優先整備事業となっています。民間事業者にはNTT都市開発を代表とするグループが選定されました。品川シーズンテラスの複合高層ビルと大規模な緑地帯は2015年春に竣工予定となっています(芝浦水再生センターの再構築事業は、その後も続けられます)。
「東京都下水道局・芝浦水再生センター」とは
JR・京急品川駅の駅舎や線路群の東側、港区の港南一丁目地区にあるのが芝浦水再生センターです。JRの線路群と東京港の運河に挟まれた立地である港南地区は、山手側の高輪地区と比較するとあまりいいイメージがある場所ではありませんでした。ご存知のように港南地区には湾岸の倉庫群や火力発電所、東京都中央卸売市場食肉市場や芝浦水再生センター(下水処理場)、JRの車両基地など、一般人であれば普段はあまり近づきたくない雰囲気の強い場所でした。しかし、2003年10月に東海道新幹線の品川駅が開業したことをきっかけとして、港南口は都市再開発が進みつつあります。そのど真ん中に位置しているのが、広大な敷地を有する「芝浦水再生センター」なのです。
処理区域は、千代田・中央・港・新宿・渋谷区の大部分及び品川・文京・目黒・世田谷・豊島区の一部で、面積は6440ヘクタールに及んでいます。これは、JR山手線の内側の広さに相当します。 処理した水は東京湾(運河)へ放流しています。また、その一部を砂ろ過してセンター内で機械の洗浄・冷却・トイレ用水に使用しているほか、オゾンによってさらにきれいにしてから近隣地区にトイレ用水等として供給しています。発生した汚泥は、南部スラッジプラントへ圧送し、処理しています。
運転開始 昭和6年3月
敷地面積 199127平方メートル
処理能力 830000立方メートル/日
水処理施設 沈砂池 14池
第一沈殿池 10池
反応槽 17槽
第二沈殿池 24池
高速ろ過池 2系列
雨天時貯留池 18600立方メートル
(平成26年4月現在)
民間選定事業者は、NTT都市開発を筆頭とする6社が担当
2009年3月、東京都下水道局は芝浦水再生センターの上部空間に業務・商業ビルを建設する事業者として、NTT都市開発、大成建設、ヒューリック、東京都市開発、NTTファシリティーズ、日本水工設計のグループを選定しました。事業者の選定にあたっては、土地の借地権価格や雨天時貯留施設の工事費、設計・企画提案の内容を総合評価する一般競争入札を実施。総合評価で1位となったNTT都市開発グループは、土地約1万1000平方メートルの借地権を864億円で、雨天時貯留施設の工事を77億円で落札しています。
「売買の概要」
名称 芝浦水再生センターの借地権
買い主 NTT都市開発、大成建設、ヒューリック、東京都市開発、NTTファシリティーズ、日本水工設計
売り主 東京都
価格 864億円
取引形態 借地権
所在地 港区港南1-2-1(住居表示)
最寄り駅 JR品川駅徒歩7分
面積 土地約1万1000平方メートル
取引時期 2009年3月(入札)
高層オフィス複合ビルの正式名称は、「品川シーズンテラス」に決定
2013年10月3日、NTT都市開発株式会社、大成建設株式会社、ヒューリック株式会社及び東京都市開発株式会社の4社は、「(仮称)芝浦水再生センター再構築に伴う上部利用事業」のビル名称を「品川シーズンテラス(Shinagawa Season Terrace」に決定したと発表しました。「品川シーズンテラス」という名称は、環境配慮型のオフィスビルとそのテラスとなる四季折々の表情を見せる広大な緑地とを表現しています。
「品川シーズンテラス」再構築計画の特徴
1.国内、そして世界へつながる交通アクセス
本ビルは、東海道新幹線をはじめJR・多数の私鉄各線が乗り入れる品川駅から徒歩6分の立地です。さらに、国内外の玄関口である羽田空港へのアクセスビリティにも優れています。
2.ふれあいやにぎわいを生み出す3.5ヘクタールの緑地
本ビルでは、オフィスビルが立ち並ぶ都市の中に、エリア周辺との一体感を大切にした3.5ヘクタールの広大な緑地を生み出します。四季折々の表情を見せる多種多様な樹木、水辺、広々とした芝生広場を整備し、憩いの場・イベントスペースなど様々なアクティビティにも利用できる豊かな空間の提供を目指します。
3.国内最大級のスケール・1フロア1500坪のオフィスフロア
オフィスフロアは1フロア1500坪の整形であり、顧客のニーズに応じた効率的かつ自由なレイアウトを可能とします。オフィスには、LED照明、高性能Low-E複層ガラスなど省エネ性能に優れた設備を採用しています。また、色彩豊かな緑地や臨海・都心の眺望を活かした受付や応接室などのレイアウトも可能となっています。
4.オフィスワーカーの幅広いニーズに対応するビジネスサポート機能
1階から3階にはバラエティに富んだ飲食店舗やビジネスコンビニを誘致する予定です。店舗からは緑地の眺めが広がり、都市の中にありながら心地よい潤いに包まれる空間を実現します。また、3階にはギャラリーやコミュニティホールを設置し、講演会や展示会、ワークショップなど、企業活動を支えます。アネックスにはクリニックの誘致も予定しており、オフィスワーカーを多方面からきめ細やかにサポートします。
5.国内最高水準の環境配慮型オフィスビル
光・風・水など貴重な自然エネルギーを効率よく活用する省エネルギーシステムを積極的に導入しており、環境負荷低減と快適な室内環境確保を両立します。
また、東京都建築物環境計画書において、建築物の熱負荷の低減率(PAL低減率※1)及び設備システム全体のエネルギー利用の低減率(ERR)に関して、いずれも最高ランクのAAA(段階3)評価を得ています。また、CASBEE最高評価Sランクも取得予定です。
6.国内最大級の免震構造と安心の72時間非常時電源供給
本ビルでは、万が一の大規模な地震による被害を最小限に抑えることのできる国内最大級の免震構造を採用しています。また、大規模災害による広域停電や断水などに備え、ビル非常用発電機や貯水槽を設置します。ビル非常用発電機は72時間対応とし、共用部への電力供給に加えテナント専有部へも約10VA/㎡の電力供給が可能です。これらにより入居企業のBCPを強力にサポートします。
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「品川シーズンテラス」の広大な緑地帯と上部空間の複合オフィスビルの完成予想図です。この緑地帯の真下に中央処理施設の池が広がっているのですね。
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品川シーズンテラスの高層オフィスビルの完成予想図です。
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広大な緑地帯内には桜並木が整備されいます。
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そして、芝生広場周辺には紅葉の木々が配置されるのですね。
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「1」の広場が品川駅港南口に程近い「サウスガーデン」、「2」の広場が樹木、水辺、広々とした芝生の広場として整備され、憩いの場、イベントスペースなども併設される「ノースガーデン」です。
「品川シーズンテラス」
開発名 (仮称)芝浦水再生センター再構築に伴う上部利用事業
所在地 港区港南1-2-1(住居表示)
最寄り駅 JR品川駅徒歩7分
主要用途:事務所、店舗、集会場、駐車場等
面積 全体土地約5万㎡(うち借地約1万1000㎡)、延べ床17万9980㎡
敷地面積 49,547,86㎡
延床面積 205,785.83㎡(下水道施設を含む)
構造 鉄骨造・一部鉄筋コンクリート造、免震構造
階数 地下1階、地上32階
高さ 最高部155.27m、軒高144.32m
事業主 NTT都市開発、大成建設、ヒューリック、東京都市開発
設計 NTTファシリティーズ、NTT都市開発、大成建設、日本水工設計
施工 大成建設株式会社
竣工 2015年2月末(予定)
プレスリリース:公式ホームページ
国際ビジネス拠点のランドマーク 品川シーズンテラス-2015年春、誕生。-
プレスリリース:NTT都市開発株式会社発表の報道資料
開発プロジェクト 品川シーズンテラス(芝浦水再生センター再構築に伴う上部利用事業)
ニュースリリース:ケンプラッツ発表のニュース 2009年3月11日
【売買】NTT都市開発グループ、芝浦水再生センターの借地権を864億円で落札
プレスリリース:民間事業者4社発表の報道資料 PDF
芝浦水再生センター再構築に伴う上部利用事業 ビル名称ならびにロゴマーク決定のお知らせ
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旧海岸通りの「新港南橋交差点」前から撮影した「品川シーズンテラス」の高層オフィスビルの全景です。
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敷地南側から高層オフィスビルの低層階部分の全景を撮影しました。周辺は新緑に覆われていました。
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品川シーズンテラスの敷地南側の横断歩道を渡り、敷地前に近づいて行きます。
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高層オフィスビルの敷地南側に設置されていた工事用フェンスは全て撤去されていて、敷地内に入れるようになっていました。
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敷地南側の広場は、新緑の木々に覆われていました。ゴールデンウィークの時期だったので、人の気配は全くありませんでした。
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真新しい案内パネルが設置されていたので撮影しました。
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高層オフィスビルのオフィスロビーへ上ることが出来る階段とエスカレーターを撮影しました。
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「ショップ&レストラン」の店舗などが入る建物の全景を南東側から撮影しました。
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高層オフィス棟を南側から見上げて撮影しました。
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高層オフィス棟の敷地南側に広がっている「サウスガーデン」の緑地帯の全景を撮影しました。
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2015年5月に全面開業すると話を聞いていたのですが、まだ商業施設内には入れないのだそうです。
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東京都芝浦水再生センターの敷地西側を通っている道路を散策し、品川シーズンテラスの上部緑地帯方向へ向かいます。
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下水処理場の上部緑地帯である「芝浦中央公園」へ上ることが出来る階段上からショップ&レストランの建物の全景を撮影しました。
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芝浦中央公園の上部緑地帯内から、高層オフィスビルの北側壁面部分を撮影しました。
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高層オフィスビルの北側壁面と上部緑地帯の境界部分をズームで撮影しました。
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芝浦中央公園の上部緑地帯内から撮影した高層オフィスビルの全景です。
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品川シーズンテラスの上部緑地帯は北側の一部がすでに解放されていて、散策することが出来ます。公式ホームページ内のCGと同じアングルで撮影しました。
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北側から撮影した高層オフィスビルの全景です。
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北東側から見上げて撮影しました。今回の記事は再開発の進捗状況をまとめるだけの「概要版」であり、後日詳しいレポートを作成します。
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芝浦水再生センターの敷地一角の「品川シーズンテラス」の地図です。