★ベルの徒然なるままに★

映画、ゲーム、アニメ、小説、漫画・・・管理人ベルの、大好きな物をいっぱい集めた徒然日記です。

映画『藁の楯』

2013年06月26日 | 映画鑑賞記
先日から、映画の感想を色々とUPしたい、したいと言っておきながら、全然、有言実行出来てませんね(^^;;

という訳で。

時間のある時に、どんどん書いちゃいたいと思いますp(^^)q



そんなこんなで。

UPするのが遅くなっちゃいましたが、映画『藁の楯』の感想をば♪

鮮烈に印象に残った作品だったので、早く感想を書きたいなぁと思いつつ、こんなに遅くなっちゃったですA^^;;

公開終了間際・・・多分、最終日だったか、最終日の一日前だったかのギリギリな時期に見に行ったのですが。映画館で見て、本当に良かったです~。

あの迫力は、映画館のスクリーンで見るのに、相応しかったと思います!!



■『藁の楯』予告編





孫娘を殺害された政財界の大物・蜷川が、新聞に「この男を殺してください。清丸国秀。御礼として10億円お支払いします」と行方不明の犯人殺害を依頼する全面広告を新聞に掲載します。

そして、インターネット上にも、清丸殺害依頼の「清丸サイト」を開設。

その犯人、清丸とは、かつて、幼女への暴行殺人で服役した人物。
刑期を終え、出所した途端、またしても、幼女への暴行殺人を繰り返し、その犠牲となったのが、蜷川の孫娘だったのです。

この殺害依頼に、日本中がにわかに殺気立ち、身の危険を感じた犯人の清丸国秀は福岡県警に自首します。

しかし、清丸への憎悪と、多額の謝礼への欲望にかられたのは一般市民だけでなく、警察関係者、医療従事者ですら、清丸の命を狙う事態に。

そんな中、清丸を福岡から東京へと移送しなくてはならない・・・。

警察は警視庁警備部SPの銘苅一基、白岩篤子ら精鋭5人を派遣し、移送の護衛に当たらせるのですが。

誰も信用できない極限状態の中、果たして、無事に東京まで辿り着けるのか。

はたまた、そうまでして、この極悪犯を守り抜く意味があるのか・・・。








原作小説も、本屋さんで平積みになっているのをよく見かけます。

映画を見て、ちょっと原作も気になるようになりました。
また、機会を作って、手に取ってみたい小説です。




予告編を見た時から、テーマとして、とても興味深かったのですが。

幼女への暴行殺人犯が出てくる・・・ということで、生々しいシーンがあるとイヤだなぁ・・・と躊躇ってて。で、なかなか見に行かなかった訳ですが。

そのテのシーンに関しては、直接的なシーンは無かったので。。。安心して見れましたです。



なんというか。

テーマは実に、社会派チックだなぁと思いました。

法律とは何か、人を裁くとは何か、何が善で何が悪なのか。

色々と考えさせられることが、たくさん詰まっていたと思います。

でも、その一方で、サスペンスやアクション要素も強くて。

重いテーマを持ちながらも、サスペンスエンターテイメント作品の面も大きかったと思います。



大切な身内を惨殺された時・・・。

警察や法律なんかより、その犯人を自らの手で、自らのルールによって裁きたい・・・つまり、殺してやりたい。

これは、人として自然な気持ちではないかなぁと思いますし、この辺りは、『さまよう刃』を思い出しました。

でも、『さまよう刃』では、娘を殺された父親が、自らの手で、未成年である犯人に復讐をしよう・・・というのに対し。

この『藁の楯』では、愛する孫娘を殺され、復讐を試みるのは、病気のご老人。
もしかしたら、彼も、若くて元気だったら、自分の手で・・・と思ったのかもしれない。それは分かりませんが、このご老人は、財政界に多大な影響を及ぼすことのできる、超大金持ち。財政界のボス的な超大物。

だから、全国民に告げるのですよね。

自分の孫娘を殺した犯人を殺してくれた人には、謝礼を10億円差し上げると。

そして、その犯人・清丸は、福岡の警察に身柄があり、それを東京まで移送される。

彼に怪我をさせた「殺人未遂」の人ですら、1億円が早々に支払われたりしているのを見て、全国民たちが、「さあ! 清丸を殺して、お金をゲットしようゼ」モードに突入。

最早、刑務官も、警察も、病院の人間ですら、だ~~~~~れも信じられない状況で、選ばれたSPと、一部の刑事達の手で、清丸を福岡から東京に移送する・・・という話なのですよね。



まあ、フィクションですから・・・設定は、かなりトンデモ設定だと思います。

仮に、現実にこういうことがあったとしても・・・多分、この映画みたいに、全国民が、お金に惹かれて暴徒化したりはしないでしょう。

多分・・・きっと・・・。
人間はもっと、良識のある生き物である・・・と、信じたいです。


なので、映画で描かれていることは極端だ・・・とは思うものの。

でもでも、それでいて、どこかリアリティを感じてしまって、怖くなるのが、この映画の凄い所かもしれないなぁと思いました。



それにしても。

連続幼女暴行犯の清丸は、ほっっっっんとうに、最悪最低なクズ・・・クズ以下、クソ以下の、とんでもない野郎なんですよ。
ここまで嫌悪感を感じさせるキャラクターもなかなかないのでは?と思うくらい、キモさがハンパないです。

ぶっちゃけ、移送途中で殺されたとしても、全然同情の余地ないし、殺されて当然・・・と思ってしまうくらいの人間。そんな風に思ってしまうのが、自然なくらいの、とんでもないヤツな訳ですが。

でも、だからと言って、殺して良い訳でもないし、犯罪者なら犯罪者として、ちゃんと法に照らし合わせて、然るべき裁きをしなくてはいけませんよね。
そのために、法律があるのですから。


そんなヤツを、警察やSP達が、体張って命を賭けて、守る義務・・・・・っていうのに、なんか色々と考えさせられちゃったですよ。

清丸一人が死ぬより、彼を守るために色々と犠牲になっていった人たちの方が、ずっとずっと存在価値があったのに・・・と思ってしまう私は、酷いでしょうかね?

でも、ホント、映画見てて、何度も、

「もう、コイツ、ここで殺せよ!」

とか思っちゃったもん。

勿論、人の命に貴賤は無い。すべての命は貴いものだ・・・って分かってるけど。
分かってるけど、清丸だけは、絶対に許せない・・・っていうか。

そういう風に感じてしまう所に、この作品のテーマがあるような気がしましたです。


極悪人だからって、皆が好き勝手に殺して良い訳じゃない。でも、心のどこかで、こんなヤツ殺されて当然~と思ってしまう。
しかも、そこには、多額な謝礼付き。

こんな時の人間心理は・・・・さあ、どうなるのか??



そして。

清丸の護衛に当たった5人のSPや警察のそれぞれの人間性も興味深かったです。

職務を全うしようとする、大沢たかおさん、松嶋菜々子さん演じる、主人公のSP二人の姿も凄いですが。

すぐにカッとなってしまう若い刑事も、また、彼なりの正義感があっての「怒り」で。

岸谷五郎さん演じる刑事も、また、彼なりの考えがあっての行動だった気がします。

そして、印象的だったのは、伊武雅刀さん演じる、福岡の刑事さん。

職務、職務な東京の人たちに比べて、人情味溢れる、人間臭さを感じさせる人でしたよね。

わたし的には、あの5人の中で、一番好きなキャラクターだったです。

そんな、人間味あふれる彼ゆえに・・・・。

新神戸駅での、あの判断・・・だったのだと思います。

賛否はあるかもしれませんが、私は、新神戸駅でのあの判断は、致し方なかった気がするのですが・・・。

彼もまた、清丸に関わってしまったゆえの犠牲者ですよね。



そして。

もう一つも考えさせられたのは。

物語終盤で、余貴美子さん演じる、女性のタクシードライバーさんの言葉でした。

「みんな、守りたいものがあって、お金が欲しい」



お金に目がくらんで、清丸を殺そうとした人たち。
それは、刑務官だったり、看護師だったり・・・と、本来は、そんなことに目が眩んではいけない立場の人たちで・・・。

でも、彼らは、決して、自分の為にお金を欲したのではなかったのですよね。

病気の家族がいたり、また、新神戸駅で暴動を起こした人も、会社が倒産寸前だったり・・・と。

自分の為ではなく、家族の為に、家族を守るためにお金が欲しかった。どうしても欲しかった。

勿論、だからと言って、人を殺して良い訳では決してないのですが。

それは、相手が極悪人だからいいじゃん・・・と思ったのかもしれない。

自分はどうなっても良いから、家族にだけはお金を残したいと思ったのかもしれない。

正義とか悪とかは置いておいて、家族を守りたいって気持ちがあったのは、確かだと思います。




そう思うと、この映画全体を通して、「守る」とは何なのか?っていうことも、考えさせられました。





とにかく、最後の最後の最後~~~まで、後味の悪い映画でしたが。

色々と考えるきっかけになりましたし、大変興味深いテーマで、面白かったです。


俳優さん一人一人の演技も、迫力があって。

最初から最後まで、見所満載の映画だと思います。