★ベルの徒然なるままに★

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映画『華麗なるギャツビー』

2013年06月28日 | 映画鑑賞記
昨日見てきました、映画『華麗なるギャツビー』の感想をば♪

『華麗なるギャツビー』・・・というか、『THE GREAT GATSBY』。
有名なアメリカ文学の作品なので、読んでことなくても、タイトルだけは知ってる~という人も多いかと思います。
かくいう私も、大学の英文学の講義の為に、サラっと読んだくらいの知識なら、ありました。

これまでも、何度か映像化されているのですよね。

映像として見るのは、私は初めてでしたが、とても印象に残る映画で・・・わたし的には、凄く良かったです!!



■映画『華麗なるギャツビー』予告編




舞台は1922年の米ニューヨーク、ロングアイランド。

宮殿のような豪邸に暮らし、素性も仕事も謎めいた大富豪のジェイ・ギャツビーは、毎夜のように豪華絢爛なパーティを開いていました。

そんな豪邸の豪遊ぶりを横目に、小さな家で、つつましく暮らしている、証券会社に働く青年ニック。


ある日、そんなニックの元に、隣人であるギャツビーから、パーティへの招待状が届きます。

そこでニックは、ギャツビーと親しくなり、ギャツビーはニックに、自らの生い立ちを語り始めます。

名家の出身で、莫大な遺産を継いだが身寄りがないことや、戦争で数多くの勲章を受けたことや、オックスフォード大学に行っていたこと。

大富豪で、容姿端麗で、頭も良く、戦争の英雄でもある・・・と、あまりに出来過ぎている話に、ニックは疑問を抱き、ギャツビーは何か大きな秘密を隠していると感じるのですが。。。

そのギャツビーの隠された過去とは?

なぜ、夜ごと、パーティを開くのか?

彼は、どこから来たのか?

彼の目的は何なのか?


謎に包まれた、ギャツビーという男の人生の物語。







お城のような豪邸で、毎夜毎夜、豪華絢爛で、一種、狂乱めいたものすら感じさせるパーティを開いている男、ジャン・ギャツビー。
各界のセレブや、女優、また、政治家などなどのお歴々だけでなく、招待すらされていない、よく分からない身元の人たちまでもがやってきては、夜ごと、豪遊しているのに。

誰も、そのパーティの主催者である、ギャツビーという男について知らない。

ヨーロッパの王子様という人もいれば、ドイツのスパイという人も、戦争の英雄であるとか、オックスフォード大卒とか、はたまた、ギャツビー自体、存在しない人物なのだ~という人も。

謎のベールに包まれたギャツビー。

大金持ちで、紳士で、頭が良くて・・・でも、その存在はミステリアス。

そんな役柄なんですが、デカプリオのギャツビー、とても合っていたと思います!!

とても貫禄があって、でも、かっこいいギャツビーだったですよ。


そしてそして。

この映画、物語だけでなく、とても視覚的に楽しめる作品でもありました。


プラダ、ミュウミュウ、ブルックスブラザーズの衣装、ティファニーの宝石が、それはそれは豪華絢爛にスクリーンを彩っていて。

3Dで見たので、その豪華さがより迫力を増し、また、お金持ちたちの熱狂的な豪遊っぷりも、3D凄かった!!

っていうか、別に、アクションでもファンタジーでもSFないのに、何で3Dなの??って最初は思っちゃいましたが。

なるほど、この豪華さを表現・・・いや、体感するには3Dがぴったりだったのかもしれません。


奥行きを感じさせるカメラワークで、登場人物たちの住む豪邸の豪華さが際立ち、また、派手に飛び出すシャンパンの泡や、紙テープなどで、パーティの熱狂ぶりが伝わったり。

3Dで見て良かったです!


それにしても。


莫大な大金持ちで、容姿端麗で、頭も良くて、立ち居振る舞いも実に紳士。
でも、その過去の経歴などは、一切、秘密めいていて、謎の人物・ギャツビー。

彼がそこまで成功したのは、ただただ、唯一愛した女性のため~~~~。

と言えば、かっこいいというか、聞こえは良いのですが。


確かに、愛する女性・デイジーのために、闇の世界に手を染めてまで、巨万の富を作り上げ、成り上がっていったギャツビーは凄いと思うし、意外にも、恋愛に関しては純粋でひたむきなんだなぁとも思う。

がしかし!!

良く言えば、ひたむき。

でも、悪く言えば、異様なまでの執着っていうのかな。

彼は、果たして、本当にデイジーを愛していたのかな?と疑問に思いました。

彼があそこまで、デイジーに執着し、手に入れたいと思ったのは。彼女自身を愛していたのではなくて、彼女の幻想に恋をしていた・・・というか。

本当はとても貧しい生まれで、その中、頑張ってのし上がって来たギャツビーにとって、デイジーは、成功のご褒美・・・っていうと言葉は悪けど、成功の象徴っていうのかな。

貧しかったころの自分が思い描いていた、「成功者」としての理想の中に、デイジーと一緒になることも含まれてて。それで、自分の理想の成功者になるために、デイジーを求めていたのでは?と思っちゃったです。
彼の、成功者になるための野心は、デイジーを手に入れることで、ミッション・コンプリート!・・・みたいな?

だから、デイジーに、「夫のことを最初から愛していなかったと言え」と強要したり、二人で逃げたいという彼女に、逃げるのは対面が悪いからダメと言ったりしてたのかなぁと。

だって、本当に彼女だけを欲してたんなら、お金あるんだし、二人だけで逃げればいいじゃん!?って思うモン。

なので。

実は、ギャツビーって、ちょっと子供めいた部分もあるんじゃないかなぁ~と感じました。

自分の思い描いた理想像を忠実に欲しがるって・・・。

まあ、だから、やっぱり、純粋だったのかもしれませんね。

そして、自分自身では、自分のそういう部分に気が付かないまま、それでも、ずっと、デイジーを求め続け、で、あの最後だから、なんともやりきれないような切ない気持ちになりました。


彼は、お金や地位さえあれば、何でも手に入る、過去の愛も取り戻せる、と思っていたのでしょう。


でもでも。

どんなにお金があっても、「過ぎた時間」だけは絶対に取り戻せないのですよね。

時間が経てば、人も、その人を取り巻く環境や状況も変わるもの。

そして、時間を重ねることによって作られた重みは、簡単に捨てることなんて出来ない。


デイジーが、浮気ばかりの夫・トムに、「結婚当初から愛してなかった」と言えなかったのも、そのためでしょう。
いくら愛情が冷え切っていたとはいえ、夫婦には夫婦しか分からないここともあるでしょうし。

まあ、身勝手で腹立たしくはありますが、デイジーの夫・トムも、さんざん浮気とか女遊びをしながらも、愛人は愛人、妻は妻・・・って線引きしていた部分もあったと思います。
妻に対しても、執着しているというか。愛しているというか。

トムとデイジーには娘もいますし、一度夫婦になったら、そう簡単に、縁は切れないですよね。

そこら辺りを、ギャツビーが理解できていなかったのも・・・やっぱり、成功者となれば、なんでも手に入る~と思っていたからでしょうか??


なので。


ラストのラストは、凄く切なかったし、哀しかったな~。

純粋に理想を追い求めたギャツビーだったけど。
でも、デイジーは、「現実」の方を選んだ。

もちろん、ギャツビーの事も愛していたのだろうけど。
将来の事とか色々と考えた末、このまま夫といる方が最善だと選んだ。

デイジーもね、夫の浮気を知ってて、薄幸そうでしたよね・・・。
特に、映画の冒頭のシーンで、ニックに、
「女の子は、美しいおバカさんが一番良いの」
みたいなことを言ってましたよね。
あの言葉がとても印象的で。

彼女のやるせなさを凄く感じたわけですが、それでも、やっぱり。

彼女は、「現実」の方を選んだのですよね。


あの最期の電話のシーン・・・一瞬、デイジーが電話を掛けたのかと見せかけて、実は、ニックからの電話だった・・・っていう作りは、哀しさ倍増でした(;;)


そうそう。

私が物凄く印象に残ったのは、終盤のホテルでのシーンで。

暑さにぐったりしたり、イライラしているトム達とは違い、きっちりとスーツを着込んで、ネクタイも緩めずに、それでいて、涼しげな顔でスマートにふるまう、いかにも紳士なギャツビー。

でも、トムが、彼を凄く罵りますよね。彼の汚い過去を暴露したりして。

その時、一瞬、ギャツビーがブチ切れて、トムに掴みかかる・・・あの顔の表情が、鮮烈に印象に残りました。

ニックも、あんな彼の顔を見て、「人を殺す顔だ」って表現していましたし。

あの一瞬だけの表情で、ギャツビーがここまでのし上がるために、何をして、そして、どんな想いをしてきたのか・・・わかった気がしました。


そしてそして。

この物語は、ギャツビーの唯一の友人であり、理解者である、ニックによって語られている訳ですが。

トビー・マグワイヤのニック、凄く良かったです。

っていうか、ニックもある意味、主役ですよね。


この物語は、第一次大戦後の超好景気なアメリカが舞台で。
主な登場人物達は、ギャツビーにしても、トムとデイジー夫妻にしても、セレブなお金持ちがメイン。

そんな中、ニックは、普通の家に住み、普通に証券会社で働くサラリーマン。

映画を見ている私達と近い存在なのですよね。

セレブでもなく、一般的な常識を持つ、一庶民の目線を持つニック。

あの絢爛の輪から、少し離れた立ち位置で冷静に見ているニックに、とても親近感が持てました。



そして。ギャツビーの死後、あれだけ夜ごとパーティに集っていた人たちは、だ~れもお葬式に来なかった。

たった一人、立ち会ったニックが、

「自分だけが、彼を理解している。彼の価値を分かっている」

みたいな台詞を言うのですが、それが、とても印象的で。



それと、あんなに好景気だったアメリカも、その直後に、世界恐慌が起こるんですよね。

あんなに活気のあったウォール街が寒々しくなっていくのと、ギャツビーの死が、なんだか重なって見えて。

アメリカンドリームを完全に果たしたハズの男の、栄光と破滅・・・・・切なかったです。



そしてそして。

最後の最後のシーンで。

ニックがギャツビーに関して書き上げた小説のタイトル・・・。
「GATSBY」とタイプされた部分の上に、手書きで、「THE GREAT」と書き加えるのですよね。

あのシーン、物凄くジーンと来ました。

まるでバブル景気のように、一瞬で盛り上がって、一瞬で消えて行ったギャツビーという男の人生。


その凄さを理解しているのは、ニックだけだった。

ニックだけが、彼の真の友人だったんだなぁと思いました。



人生の成功って何なんだろう~とか、報われないなぁ~とか、切ないなぁ~とか、見た後は、色々とやるせない気持ちになっちゃいますが。

でもでも、とても綺麗な映画で、超オススメしたいです。