何時頃からか毎朝珈琲を淹れる様に成った、生まれは静岡なので東京に出るまではお茶だった筈だがいつの間にか外で飲むのも家で飲むのも珈琲が主になっている。珈琲を飲み始めたきっかけは良く憶えている、中学を下りて上京し臨時工として大手電機メーカーに入った頃だから恐らく16歳くらいだったと思う、寮に借り上げられていた民間アパートは江戸川区の外れにあった、目の前を用水路が流れ隣は銭湯で銭湯と同じ名前のアパートだったので恐らく同じ持ち主だったのだろう、トイレは共同、風呂の無い6畳の和室に小さな流しが付いていて此処に2人づつ住んでいた、少し歩くと大きな道路があって左に行くと新中川放水路と言う川が流れていて奥戸大橋と言う橋が架かっていた、この通りに面して本当に小さな喫茶店が有った、間口は一間で奥行きは3間位か、入って左側にカウンターが有って右の壁際に幾つかのテーブルが有った、カウンターは椅子がある訳ではなくマスターが珈琲を淹れるスペースが区切られていただけだった、この辺の記憶は少しあいまいで年齢が定かでない、細身の長身で眼鏡を掛けていた様な気がする、今考えると凄いのだが毎朝入口の前に七輪だったと思うがコンロを出し焙烙で珈琲を焙煎していた、この香りが素晴らしくて飲んだことも無いのに入ったのだった、この店に1年以上通ったのは其処から数軒離れたところに貸し本屋があって休みの日は借りた漫画をこの喫茶店で読みながら昼を取るのが多かったからだ。食べ物はトーストとサンドウィッチにホットドックが有った、どれも東京に来て始めて食べた、焼いたドックに野菜とソーセージが入っていてケチャップが掛かり少し辛子が付いていた物でホットドックが好きだった、いつも皮の部分が微妙に焦げていてそこが好きな処だった、熱くなるとアイス珈琲を出すのだがグラスに大きな氷を入れて其のまま上からドリップする今では見られない本格的なものだった、その後他の店でアイス珈琲を頼むとまるでジュースの様な感じがして飲ま無かった。漫画と言えば私は小さな頃から好きで恐らく最初の頃見たのは姉の持っていた漫画でなので少女物だった、確か「あんみつ姫」と言うものだったと思う、その他の漫画は友達と言っても田舎だから少し上の先輩だったと思うが借りたか見せて貰ったと思う、「冒険ダン吉」「のらくろ」「サイコロコロスケ」等だった。東京の貸本で借りていたのはいわゆる「貸本ボン」では無く少々マニアックの物が出て来ていた頃だった、月刊誌の「ガロ」と「COM」が主で此処に面白い作家が数多く出ていて私は宮谷一彦と言う作家が好きだった、その少し後に好きになったのはカリスマと言われた永島慎二だった、この頃から暫く活躍しヒッピー文化の最盛期には新宿歌舞伎町にたむろして居た彼らに混ざって朝まで飲んでいたりして此れが漫画になっていたりしていた。又その後漫画の方向が大きく変わった作家に「ずうずうしい奴」から成人漫画に行った「横山まさみち」が居た、その頃は純情なお下げの君との初恋を書いてた「ああ青春」と言う物だった16~17の私は憧れの漫画の一つだった、未だ書いている作家もいるがあの頃は今とは少し雰囲気の違うジャンルだったな
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