波乱万丈 乳がん転移ライフ!

39歳で乳がん ステージⅢ告知。術後1年経たずに肝臓、骨に転移。そこから始まる長い転移ライフ!

「死後生」という概念~残された人の心の中で生き続けるということ

2015-02-14 01:05:16 | 最近考えること
☆アッピア夫です。「死後生」という言葉を最近知りました。・・・ノンフィクション作家である柳田邦男氏の言葉ですが、最近放映された『がん哲学』をテーマにしたテレビ番組の中で語られていた概念です。これは、「死後も魂は生き続ける」や「輪廻転生」と言うようなことではなく、「人は死んでも、残された人の心の中で生き続ける」ということです。

柳田邦男氏は、私が「ノンフィクション」を読み漁っていた、まだ若かりし頃に好きになった作家の一人です。(少年の頃はSF小説にはまり、大人になると真逆のノンフィクションにはまると言うのも何とも不思議なものですが、その話は主旨からずれるのでまたの機会に・・・)彼はNHKの記者時代のまだ飛行機事故が頻発していた頃、その原因を徹底的に検証し、「人間は間違いを犯すものだ」という人間の本質を描き出した『マッハの恐怖』という本を書きました。それを読んで感銘を受けた私は、その後フリーとなった彼のノンフィクション作品を次から次へと読みました。

事実を科学的に検証することの重要性を説いた本をいくつも書き続けていた柳田邦男氏は、その後、心を病んでいた次男を自殺で亡くします。その脳死となった次男を臓器移植のドナーとする過程を描いた『犠牲(サクリファイス)―わが息子・脳死の11日』という本で、それまで科学的に事実を検証することを説いて来た彼が、初めて科学的・医学的観点よりも、父親としての感情を優先することになります。その後、がん関連や、最期の医療に関する本、死生観などに関する本を書くことが多くなります。

そうした書物を書きながら息子の死というものを受け入れていく過程の中で、到達した概念が「死後生」なのかもしれません。ディズニーアニメのクリエイティブディレクターとして、低迷していたディズニーアニメを見事に立て直し、アナ雪の大ヒットに繋げた立役者であるジョン・ラセターいう方も同じことを言っています。

「人は死んでも、既に残された人の一部であり、何かしら重要な影響を与える存在になっているのではないだろうか。人は死んでもいなくなるのではない。いつも残された人の中に生きていると感じる。」「人は、亡くなっても愛する人に影響を与え続ける。その影響で、残された人はより良い人間になれるのではないだろうか。」「残された人の心の中に生き続けるということは、そういうことだと思うんだ。」

私はアッピアを亡くしてから、何かそれなりの決断が必要な時に、「アッピアだったらこう言う時にどう言うだろうか。どう考えるだろうか。」と、気がついたら頭の中で問いかけていることがあります。アッピアが生きていた頃は、意見が異なるとよく喧嘩になったものですが、今はアッピアの言いそうなことを素直に受け止めて、冷静に考えることが出来る。これが、まさに『死後生』ということなのかも知れませんね。

さあ、今日は誰もくれることのなくなったチョコを息子と二人で買ってきて、食べまくろう。お休みなさい。

2015年2月14日 アッピア夫


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ガーデンデザイナー『ポール・スミザー氏』の考え方~草花ばなしのついでに

2014-12-13 21:28:01 | 最近考えること
☆アッピア夫です。前回、草花好きだったアッピアの一面を書きましたが、今回はそれに関連して最近気になっているガーデンデザイナー『ポール・スミザー氏』のことを書きたいと思います。

ポール・スミザー氏は、八ヶ岳南麓に居住する44歳の英国人男性。英国人と言うとどうしても「イングリッシュ・ガーデン」が思い浮かびますが、彼は日本に25年も住む「日本らしい自然なガーデニング」の第一人者です・・・とまるでガーデニング通のように書いていますが、前回書いた通り私のガーデニングセンスは本当に情けないものです。

なぜガーデニング通でもない私が彼のことを書こうと思ったかと言うと、NHKの「プロフェッショナル」に取り上げられていて、彼の考え方に深い共感を覚えたためです。

彼は子供の頃から草花が大好きで、英国で園芸学とデザインを学んだ後来日しました。日本に自生する豊富な植物にすっかり魅せられてから日本に定住し、現在は全国の公園・庭園で、それぞれの土地の風土を活かしたナチュラルガーデン造りを手掛けています。そして、東京ガーデニングショーで最優秀賞を受賞するなど輝かしい活躍をしています。彼のガーデニングの基本姿勢は、「農薬や肥料を一切使わず、その場所に自生する植物それぞれの生きる力を最大限に活かす」と言うもの。

彼の植物に対しての考え方は、「手をかけ過ぎると植物は自立できない」、「その植物に向いた場所・・・例えば日なた、日蔭、木陰など・・・が合っていれば、どんな植物も強く生きる事ができる」・・・何とも深い言葉だと思います。

彼に興味を持った私は、早速10月に発刊されたばかりの『ポール・スミザーの気持ちがスーッとラクになる生きるヒント』と言う本を読んでみました。特別目新しいことを書いている訳ではありませんが、人と植物の生き方の共通性を説きながら、じわりじわりと「生きる」ということを考えさせてくれます。

その中から、気に行ったフレーズをいくつか拾い出してみました。

「幸せ探しの名人は、決まりきった暮らしの枠を外せる人。何かが起きるのを待たず、自分からアクションを起こす人。」
「日差しを求める真っ直ぐな気持ちは、何があっても変わらず、そしてまた上がっていく。人間もどれほど苦境に立たされても、抜け出すタイミングされ間違えなければ、その後はまたぐんぐん進めるはず。」
「みんなが飛びつく基準を捨て、自分の楽しさのアンテナに触れるものを大切に過ごす方がずっと幸せ。」
「大切なのは、その場所に相応しいオリジナルを作るということ。人と違う道を選ぶことは踏み外すことじゃない。自分のやり方で生きた方が、ずっと豊かで幸せ。」
「植物は、両極面の個性を抱えているものが多い。その個性があるときはプラスに、あるときはマイナスになる。色んな面を併せ持つ人間と似ていませんか?」
「弱ってしまった自分を見捨てず、かと言って嘆くこともしない。そして、ただひたすら今できることだけに集中する。その生き方に、植物の覚悟のようなものを感じます。」
「日常に遊び心を忍び込ませることができたら素敵だし、そんな余裕はきっと自分のことも救ってくれる。」
「突飛な答えで誘導する必要はないし、突き放すこともない。ただ、黙って相手を信じそばにいてあげればいい。」
「苦しみを胸に抱える人は『放っておいて欲しいのに、放っておかれることが悲しい』と言う気持ちになる。そうしたSOSに気づいたら、とにかく話を聞くこと。何度でも耳を傾けて、ただ寄り添うのです。」

来日後、周りに友人や相談相手が一人もいなかった彼は、鬱状態となりしばらく苦しんだようです。その間、ただひたすら好きな庭仕事に向き合う中で、元の自分を取り戻すことが出来た。そう言う苦しみの中で、上記のような生き方・人間観を持つようになったようです。テレビで見る彼は、気負うところのない自然体な方で、ユーモアのある大変魅力的な方でした。

この本には、その中で取り上げられた植物の写真や、彼の手がけた公園や庭の写真などもあり、その飾り気のない自然な風景に惹かれました。今度は、彼の手がけた園芸の写真集でも買おうかと思っています。いつか彼の手がけた公園や庭を観に行く旅行もしてみたくなりました。

ガーデニングがど素人の私としては、『ポール・スミザー』と言う方を知ることで、改めて人間の生き方を考えさせられ、ガーデニングに対しての見方も根底から変わりました。これもアッピアが見えない世界から、私をガーデニング好きにすべく働きかけているのでしょうか?

2014年12月13日 アッピア夫

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