ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

光中の生徒の振り返りの記述をお届けします

2014-10-05 09:25:06 | 対話型鑑賞


4回目の対話型鑑賞をベン・シャーンの「解放」で行いました!!皆さんの記述の一部を紹介します。感想は次号に!!
まずは、ふりかえりの集計から
授業のふりかえり
           質 問 事 項               4    3 2 1
A しっかり絵をみることができた       14人 2人 1人 0人
B 絵を見てしっかり考えることができた     14人 2人 1人 0人
C 自分の意見を言うことができた       10人 3人 0人 4人
D 友だちの意見をしっかり聞くことができた 14人    2人 1人 0人
E 友だちの意見を聞いて、自分の考えをより深めることができた13人 3人 1人  0人
F このような鑑賞をまたやりたい 11人 5人 1人   0人

 今回の作品は「どこからそう思ったか。」に加えて「そこからどう思うか。」についても考えるように促したので、ちょっと難しく感じた人が多かったように思います。そのため発言できなかった人がいて、問Cの評価が1の人がいつもより多いと思います。でも、発言はできなかったのですが、記述を見るとみんなしっかり書けているので、友だちの意見に耳を傾けながら、自分の意見を考えることができていると思うので、それで十分だと思います。ただ、やはり、自分の意見をみんなの前で言えたなら、あなたの意見で、仲間の考えが変わったり、新たな見方ができたりすると思うので、みんなに向かって自分の意見を言うことは大切な行為だと私は思います。
 そして、今回はこの作品を描いた作者からのメッセージについても考えてもらいました。そのことについての記述を紹介します。全文を記載するとすごい量になるので、その部分のみの紹介にします。

(男子)
 僕は自然災害や戦争などで親を無くしてしまった子どもが世界にたくさんいることを伝えたかったんだと思います。そんな一人で悲しい子どもを世界からなくしていこうということだと思います。
(女子)
 悲しい状況でも遊んでいるのを見て、復興が始まった希望を表していると思います。辛いことがあっても、何年かたてばきっと人の気持ちも明るくなって、楽しい日々が送れるということを遊んでいる様子から思いました。
(女子)
 後ろで壊れたビルやがれきがそのまま残っているにもかかわらず、3人の子どもたちがぶら下がって遊んでいるので、今までこんな辛くて大変なことがあっても、それに負けないで大切さが伝えたいのではないかと思います。(中略)みんなであの遊具で遊びたくなって帰ってきたと思うから、故郷を思い続ける大切さも訴えていると思います。
(女子)
 久しぶりにいつもの遊具で遊んでいるという意見もあったのですが、わたしは3人で遊んでいるといつも呼びに来ていた母が亡くなってしまって、また会いたい、迎えに来てほしいという3人の願いが込められているのではないかと思いました。
(男子)
 この絵から僕が感じたことは、今、僕たちも野球などして遊んでいる。そしてこの子たちも遊んでいる。同じ遊んでいるでも周りの状況は明らかに違う。今は平和に遊べているが、この絵のように遊んではいるが思いっきり楽しく遊んでいる訳ではないので、他の国では戦争によってこのような状態になってしまっている。同じ年代でも経験していることは違うので、いろいろなことを知って、戦争というものの悲惨さを訴えているのだと思う。今、このように平和に生きて、楽しく遊べているこの瞬間を大切にしていこうと思った。
(女子)
 (前略)この女の子たちにとってこの場所はとてもなじみのある場所なんじゃないかと思いました。あと女の子の顔は笑ってないので楽しくないんじゃないかと思いました。以上のことから、この女の子たちはここによく遊びに来ていて、よくこの遊具で遊んでいたけど、戦争が始まってしまったので遊べなくなってしまい、戦争が終わり戻って来てみたら、ビルは壊れてがれきまみれになっている町を見てとても悲しい気持ちになったんじゃないかなと思いました。それは顔からわかります。だから子どももこんな悲しい気持ちになる戦争はやってはいけないという考えをみている人に読み取ってほしいのじゃないかなと思いました。
 (男子)
 この絵は戦争後で戦争中は外で遊べなかった子どもたちが思いっきり遊べているので、平和になったことのうれしさと今までのものが戦争によって壊された悲しさを訴えかけてくる絵だなと思いました。
 (男子)
 作品から受け取るメッセージは潜像や災害が終わって久しぶりに前遊んでいたところで遊んでいるけど、全然楽しそうな感じが伝わってこないので、戦争や災害が人や物に与えるダメージはとてつもなく恐ろしい物なんだと改めて思いました。
 (男子)
 この絵からはどんなに大きな災害があっても大切な場所を捨ててはならないということです。3年前の東北大震災の時にも同じように街や建物が破壊されてしまいました。そして原発事故などで放射線が飛び交い東北地方は「死の町」となりました。それでも住民は諦めずに東北の町に残り続けました。だからこの絵を観て自分の愛する町はなにがあっても見捨ててはいけないものだと思いました。(中略)この絵のような町はたくさんあります。(イラクなど)だから支援をしていくことがとても大切だと思います。
 (女子)
 あの絵からは、崩壊した建物とガレキの山の影響、緑の服の少女の顔つきが暗いためか怖いものを感じました。何らかの災害があったようです。ですが、それでも少女たちは遊んでいるようなので、あの絵を描いた人は私たちに「苦しみの中にも楽しみはある」ということを伝えたかったのではないでしょうか。
 (女子)
 この絵から、作者は、たとえどんな状況であっても、ふるさとを捨ててはならないということを見る側に伝えたかったのではないかと考えました。
 (女子)
 真ん中にいる3人は一緒に遊んでいるから前から仲よしで、遊べるものがこの棒のようななくなってしまって、しょうがなく遊んでいると想像しました。この作品から災害みたいな悲しいことがあっても、前向きな子どもたちの気持ちを感じました。
 (女子)
 この絵の奥にある建物を見て、上のところが黒くこげていて爆弾が落とされた後のように見えるので、私は戦争の後かなと思いました。戦争の後というマイナスなイメージなのに子どもたちが遊んでいる風景はなにか不自然な感じがしました。また遊ぶことは楽しいはずなのに子どもたちの表情が嬉しそうではなく、暗いように見えたので全体的に悲しいとかさびしい印象を受けました。だから私は戦争は人の笑顔を奪ってしまうからいけないことだということを伝えたかったのかなと思いました。
 (女子)
 (前略)3人の子供はこの遊具の場所をしっているので、この場所は3人の故郷のような所だとも思います。戦争後に戻ってきて遊びに来たのではないでしょうか。遊んでいるけど、緑のワンピースの人の表情が笑ってないし、3人が当時いた時とはかわりはてていると思うので、昔のこの場所のことを思い出して悲しい気持ちでいると思います。この絵からは「たとえどんなにもといた場所がかわりはてていたとしても、それでも遊びに来た3人のように、故郷を大切に思って欲しい」という思いがあるのではないかと思いました。
 (男子)
 この絵は戦争後に子供たちがかえってきて遊んでいる絵だと思う。戦争のない世界にすることを作品で訴えていると思った。

 以上が生徒の記述です。次回は本番の授業となります。次回で光中学校の生徒との出前授業は終わりになります。それを惜しんでくれる生徒の声もあり、うれしく思いました。
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