ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

ファッションで行った対話型鑑賞のレポートをお届けします!!

2015-04-19 09:29:13 | 対話型鑑賞


今、石見美術館グラントワで開催されている「森英恵 仕事とスタイル」展にもつながるファッションでの対話型鑑賞を行いました。

ナビは会員の松田さんですが、この展覧会の企画をした学芸員でみるみる会員の廣田さんも参加しての会でした。

では、ご覧ください。

・平成27年3月1日(日)13:30~14:10
・島根県立石見美術館 展示室Aにて
・鑑賞作品(数字はキャプションの番号) 9「イブニング・ドレス」アンドレ・クレージュ(1970年頃)、 10「コート」リバティ商会(不明)、 11「プリーツ・ドレス『デルフォス』」マリアノ・フォルチュニィ(1910年代)、 12「イブニング・ドレス」アレックス・グレ(1958)、 13「『18世紀スタイル』イブニングドレス」ヴィヴィアン・ウエストウッド(1992) 
・鑑賞者 一般参加者4名、高校生4名、みるみる会員5名
・ナビゲーター 松田

今回は、自分にとって初めてとなる“ファッション(洋服)”の鑑賞でした。
自分自身が、ファッションの作品についてどのように鑑賞すればよいのかわからないところがあったので、みなさんの考えを聞きながら勉強させてもらうつもりでこれらの作品を選びました。

まずはいつもと同じように作品をじっくり見てもらいました。
作品のうしろにもまわって見ることができる展示がされていたため、「うしろにもまわって見てください」と促すと、みなさんが周りをぐるっとまわってみたり、顔を近づけたり、下からのぞき込んだりといろいろな見方をしていました。

どのような意見がでるのか予想もできない作品であったため、自分の緊張感がいつもより強く、わくわくした気持ちで対話がスタートしました。
まずは、「日常生活では着られない」「暗黒舞踏のよう」「全体的に太陽みたい」などというように参加者のみなさんがそれぞれの作品を見て感じたことが出されました。作品から受ける印象や、自分の経験や知識から思ったことや考えたことを自由に出しあういつもの雰囲気になったことで安心しました。
続けて、「あれは、ウエストの絞り方が古典的」「一番右は、肌の露出が多いから新しい時代」というように、5つの洋服が作られた時代が話題にあがりました。絵画や彫刻と同じように、作品のスタイルから時代を考えることもできました。

そのように、絵画や彫刻を見るのと同じように目の前の作品から感じたことをしばらく出し合ったところで、「洋服を美術品として見るというのはどうなのだろうか」と問いかける発言が出ました。私はこの発言によって、絵画と同じように見ようとしていた自分に気づかされました。そこでナビゲーターの私から、「もののデザインを味わうのと同じように、使うことを想像してみることもできるのではないでしょうか。女性の服なので、男性は着ることはできませんが、着ることを想像して見てみましょう」と投げかけました。それをうけて石見美術館の学芸員さんが、「着るとどうだろう、動くと、風がふくと、光の加減で…と想像してみてほしい」とつけ加えられました。

初参加の高校生も、全員が自分の感じたことを話しました。「左から2番目が心惹かれる。大人の色気を感じる」という高校生らしい意見や、「赤のはどんな体型でも美しく見えて、黒も脚が太くても大丈夫」と人が実際に着た姿を想像した意見を出してくれました。
また「しわの付き方が違う」という発言から、プリーツとドレープの違いから受ける印象の違いがあること、素材からも重みの感じ方に違いがあることを参加者みんなで考え、話し合うことができました。

最後に、「黒のドレスは、着る人で全く違って見える。着る人がひきたつ」という意見から、それぞれの服を着る人や、その背景にも話が及びました。学芸員さんも、「ファッションは、どの服も流行に左右されてきていて、その時代の社会情勢、経済のレベル、素材の登場など時代の空気が反映されるので、ここにない要素を想像することで味わうことができる」と話してくれました。


ふりかえりのミーティングでも出ましたが、はじめに予想していたとおり自分自身がファッションについての知識がなかったために、参加者のみなさんの発言の全てが新鮮で、驚きの連続であり、発言をうけとめてパラフレーズしたりまとめたりすることがうまくできなかったと反省しています。しかし、ファッションの作品に初めて挑戦してみたことで、ファッションの作品の見方を知ったことなど、新たな発見がたくさんありました。学校の授業でも、ファッションの鑑賞を取り入れることもおもしろいのではないかと思いました。ありがとうございました。

今回のグラントワの「森英恵 仕事とスタイル」展もみましたが、本当に素晴らしい芸術品だと思いました。会期も長いので、どうぞみなさんGWなど利用されて出かけてみてください。
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