福井県小浜市で毎年3月2日に行われる伝統行事「お水送り」に行ってきました。
奈良の東大寺で3月12日に、「お水とり」という神事が行われますが、その水は若狭の小浜での「お水送り」で流された水が、地下を経て10日間かけて奈良に着く、と言われています。小浜は、お寺の多さや都との文化的なつながりの深さから「海のある奈良」とも言われているようですが、まさに古代の都と結び付いてきたことを示すものと言えます。
この神事は、神宮寺というお寺で行われ、神事のため非公開のプロセスもありますが、夕方6時半ころから神宮寺境内で、山伏の姿をした僧侶らが読経する中、大護摩が焚かれ、やがて大きな松明にその火が灯されます。
次に、一般の人々も1500円で松明を買って行列に参加できるので、それら一般の人々が手松明に大護摩の火をつけ、僧侶に導かれ次々と歩いていきます。
暗闇の山の中を延々と続く松明行列の灯し火は、幻想的に映ります。
松明行列は、1.8Km先の鵜の瀬という河原まで続き、そちらで再び護摩が焚かれ、神事の中、お祓いをされた聖なる水が、神宮寺住職の手により流されます。川を挟んでかがり火が焚かれ、神事が行われているのを見るのもなかなかない機会だとおもいます。
この行事、 終わるのは夜の9時過ぎになりますが、奈良や静岡、金沢など、各地から大型バスで観光客が押しかけます。寒い中、暗い夜道を30分ほど歩くというものですが、このような神事はなかなか目にすることができないため、一見の価値があると言えるでしょう。
個人的には、普段は静かな山里の小さなお寺で、一年に一度このように大掛かりに行われる神事が根付いていることに驚きを禁じえません。関東出身の私から見れば、これも、都に近く歴史がある若狭・越前の国=福井の魅力だと思います。