長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

175. 2015年 初描き。

2015-01-26 21:24:55 | 絵画・素描

2015年、今年の絵画作品の初描きは水彩画による『ニワトリ』である。「コケコッコーッ!!」で一年が始まるなんておめでたいじゃないか。ところが常日頃、神話・伝説をテーマとする僕が描くのであるから当然ただのニワトリでは納まらない。

と、いうわけで今回は日本神話からヒントを得た。もともとニワトリはシルクロード文化圏では各地で、「太陽の使い」「太陽を呼び出す霊鳥」とされてきたようだ。古代ペルシャの大洋神を崇めるゾロアスター教で、ニワトリ崇拝は始まったとされる。この伝説がシルクロードを往来したペルシャ商人によって西はギリシャ・ローマへ、東はインド、中国へと広がっていった。我が日本では8世紀に編纂された「古事記」に登場する。「天岩戸」神話でアマテラスオオミノカミが天岩戸に隠れてしまい、この世界が闇に閉ざされたとき、ヤオヨロズの神々がトコヨノナガナキドリ(=ニワトリ)を鳴かせ、アメノウズメノミコトが舞い、アマテラスオオミノカミを呼び出したという有名な神話の1シーンである。

作品ではストレートに物語を説明するのではなく、太陽の輝きや光を背景に塗った金泥で表現し、ニワトリが宇宙生命と一体になる関係を、頭上に描いたアンドロメダ星雲が胸にぶら下げた鏡(神器)に映り込むことで表現してみた。ニワトリそのものはバストアップ構図で伊藤若冲の「鶏図」のような表情を狙ってみたのだが、作品を鑑賞する人たちにうまく伝わるだろうか。画面全体は個展会場で観ていただきたい。画像はトップが制作中のネパール産手漉き紙に描いている水彩画 『ニワトリ』 の部分。下が同じく顔のディティールと主に使用している固形水彩絵の具(ガッシュ)。

※画像の色彩がオレンジ色に染まって見えるのは長時間の作業でも目が疲れないという「バイオライト(太陽光に近い色のデスクライト)」を使用しているためである。