長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

338. ワークショップ 『消しゴム版画で東京の生きものを彫ろう!』

2018-08-02 18:22:52 | イベント・ワークショップ
1日。東京は記録的な猛暑日となった。街を歩いていてもヒートアイランド現象と言うのか頭がボーッとして思考回路がストップしてしまう。

その猛暑の中、千代田区駿河台にある企業の三井住友海上が持つ、エコロジーのコミュニケーション施設『ECOM・駿河台』に於いて『消しゴム版画で東京の生き物を彫ろう!』というワークショップに出演してきた。現在、会場となった施設内では、僕の野鳥版画による個展『日本の野鳥 in 駿河台』が8/31まで開催中である。そのロングランの個展の関連イベントとして企画されたものである。

今までこの消しゴム版画によるワークショップは東京を始め関東各地で開催してきた。その都度、参加者にその地域で観察される野生生物をモチーフとして制作していただいている。今回は東京都千代田区の大都会のど真ん中であるが、緑地や公園で観察される野鳥、動物、昆虫、花(園芸種も含む)等をモチーフに講師制作の下絵を事前支給し消しゴムを彫っていただいた。

早朝から車に荷物を積み込み相棒の連れ合いと高速道路を乗り継いで都内に向かう。途中、事故渋滞に巻き込まれヒヤヒヤしたが何とか遅刻せずに会場に到着できた。敷地内の緑地にあるベンチで朝食を済ませ、ECOMスタッフの方々と会場の設営。午前の部の開始時間前から参加者の方々が来場してきた。今回、夏休みということで小学校中学年以上の子供たちの参加が多い。参加予定者が揃ったところで、さっそく消しゴム版画とその彫り方の説明に入り各自が制作に入る。ワークショップなので講師も自分のゴム版を順を追って彫って見せる。

今回はみなさん優秀で失敗などほとんど見られなかった。彫りが終了するとインキングと摺り。コピーの裏紙で練習してから専用はがきに摺ってもらった。色のグラデーションや部分的な色付けなど実演したが、これもみなさん、飲み込みが早く難なく摺りあげていた。やはり都会の子供たちは情報も多くてよく理解もしているようだ。

昼食の休憩は小川町まで歩いてお気に入りのジャズ喫茶でタモリ氏ご推薦の「特製チキンカレー」を食べる。行き帰りの路上は猛暑によるアスフェルトの照り返しと熱気が物凄くて閉口してしまった。仕方がないのでなるべく日陰を歩くようにしていた。

午後の部は午前と参加者も入れ替わる。こちらのグループも呑み込みが早くスムーズに制作が進んで行った。参加者の中には「娘が版画と野鳥が大好きで先生の作品をどうしても見てみたいと言って参加しました」という母娘や「僕は版画制作が得意で図工の時間に作った紙版画が千代田区で賞をもらい区役所に展示されました」という少年もいた。
摺りの場所は彫る場所とは別テーブルとしていたのだが続々と力作、傑作が生みだされ指導した僕も自分のことのように嬉しくなって摺り上がる度に言葉にならない歓声を上げていた。そしていつの間にか窓の向こうに見える都会のビルの谷間では、午後遅くの低い陽光へと変化していた。

楽しい時間というものは、いつもあっと言う間に過ぎて行く。熱心な参加者と力作の数々に囲まれて満たされた時を過ごすことができた。

このイベントを主催、企画していただいたECOM駿河台の担当スタッフの方々と猛暑の中、参加していただいた素敵な参加者のみなさんに感謝いたします。ありがとうございました。

画像はトップが今回のイベントのフライヤー。下が向かって左からイベント会場のようす、参考に彫ったヒメアマツバメとアサガオの消しゴム版画、EKOM駿河台内部の風景等。