11/29、27日からスタートした宮城県伊豆沼周辺での『野鳥版画』制作のための、野生雁類の取材も三日目、最終日となった。
この日はレンタカーの返却時間や新幹線に乗車する時間もほぼ決まっているので案外時間があるようでないだろうということで、朝から「蕪栗沼」の周辺を時間の許す限り集中して観察、撮影して回ることに決めていた。
<蕪栗沼の雁類の塒出を観察>
初日の日入り時間に蕪栗沼の雁類の塒入りのショーを観に行った時に地元の親切なカメラマンから「塒入りもいいけど、早朝の塒出の飛翔も素晴らしいよ。一度、観に来る価値は十分ある」とアドバイスをもらっていた。
午前、4時29分辺りが暗いうちに起床、宿の外では伊豆沼の雁類が鳴き始めている。準備をして食事もせずチェックアウトし5時31分に出発、まっしぐらに蕪栗沼へと向かう。6時4分に蕪栗沼の南東岸の駐車場に到着する。誰もいない。望遠鏡やカメラを三脚にセットし沼の土手を歩いて行く。塒入りの時と同様に水面が見える場所に出たら待機する。東北の早朝の野外は「寒い」。チョウゲンボウが沼の外の電柱にとまり、アリスイがヨシ原の中で鳴いた。水面に浮かぶ雁類は想像していたよりも少なく感じた。たぶん塒入りしてからはヨシ原の中に入ってしまうものもあるんだろう。
しばらく待って周囲が明るく白み始めると雁たちの鳴き交わす声が落ち着かないように聞こえ始めた。するとマガンの第一陣が飛び立った。かなり数は多い。スマホの動画で写してみる。「あっちの数が凄い!」連れ合いが叫んだ。夢中で写しているうちに沼の北側のヨシ原から続々と雁類の群れが飛び立っていく。小さな群れ、大きな群れ、雁類特有の棹型になって沼を出て行く。しばらくしてシジュウカラガンの大きな群れが出て行くのが観察できた。夢中で飛翔姿を追い、カメラのシャッターを押し続ける。まるで僕たち二人が立っている土手が客席で沼とその上の空が大がかりなショーの舞台のようでもある。そして沼の周囲からはオナガガモの大きな群れが逆にヨシ原に塒入りするのも観察できた。雁とは逆に夜行性のカモたちが戻ってきているのだ。沼の水面の雁類の最後の群れが飛び立ち、すっからかんになった頃、スマホで時間を観ると7時35分となっていた。
タカの仲間のチュウヒが1羽、ヨシ原上をゆうゆうと飛翔し、ベニマシコが1羽鳴きながら飛んで行った。
<沼周辺の干拓地で雁類を観察>
塒出を堪能した後、蕪栗沼の北側のオオヒシクイの採餌ポイントへと移動する。土手から広い干拓地を一望できる場所である。双眼鏡で丁寧に観て行くがお目当てのオオヒシクイの姿は見つからない。ちょうど年度末の工事なのだろう。干拓地にはダンプやらクレーン車、ブルドーザーが入っていて忙しく動いていた。それらの音も大きい。おそらく採餌場を変えてしまったのだろう。コンロで湯を沸かし朝食を済ませてから次のポイントへと移動する。
沼の東側のマガンやシジュウカラガンの採餌場となっている情報を得ている干拓地に着く。広い干拓地の車道を雁類の群れを探しながらゆっくりと徐行して行く。いくつかのマガンの群れと出会い撮影しているうちにシジュウカラガンの30羽ほどの群れに遭遇した。距離も比較的近いし警戒していない。光も良くてしばらく車の中からカメラを構えて撮影させてもらった。
<再び蕪栗沼の土手へ>
12時44分、早朝に塒出を観察した沼の南東岸に再び戻る。沼の水面には結構マガンやシジュウカラガンが戻ってきている。早く餌場に向かった群れが休憩に戻ってきているのだろうか。土手の上から望遠鏡越しに観察していると飛翔する鳥影が横切った。雁たちが、ざわつき始めた。ヨシ原を低く♂の美しいハイイロチュウヒが飛んで行った。しばらくして沼の上空にタカ類の飛翔するシルエットが観えた。双眼鏡で追うとオオタカである。さらにチュウヒも2個体、飛んでいるのが観察された。なるほどタカが飛ぶ時間帯なので、これを嫌う雁類が落ち着かないようすだったのである。
<沼の中央道を歩いてみる>
13時22分、駐車場に戻り昼食をとる。目の前の電柱にタカの仲間のノスリがとまっていた。食事を済ませて、まだ帰りの時間には余裕がある。「沼の中央に作られたヨシ原の中の道を歩いてみよう」ということになり。腰を上げた。土手をぐるっと左にまいて歩いて行く。中央の道を進むがヨシの丈が高くて視界は悪い。それでもオオジュリン、ウグイス、エナガ、ツグミなどの小鳥類が観察できた。沼の中ほどまで来ると水面が少し見える場所があった。この辺りでチュウヒが3羽ゆったりと飛翔していた。時間を見ると15時30分、ここらでタイム・リミットとなった。
御名残惜しいが、ここからJRの「くりこま高原」駅へと向かう。途中、南方町の「道の駅」で家で留守番をする娘に郷土のお土産を買った。駅に着いたのは17時22分ですっかり周囲は暗くなっていた。3日間、足早に忙しく撮影取材してきたが帰りの新幹線の座席に着くと何とも言えない充実した感覚が蘇って来た。次回いつ来れるかは解らないが、また仕切りなおして、あの雁類のつぶらな瞳に会いに来よう。
画像はトップが蕪栗沼での雁類の塒出。下が向かって左から雁類の塒出3カット、マガンの群れ2カット、シジュウカラガン2カット。
この日はレンタカーの返却時間や新幹線に乗車する時間もほぼ決まっているので案外時間があるようでないだろうということで、朝から「蕪栗沼」の周辺を時間の許す限り集中して観察、撮影して回ることに決めていた。
<蕪栗沼の雁類の塒出を観察>
初日の日入り時間に蕪栗沼の雁類の塒入りのショーを観に行った時に地元の親切なカメラマンから「塒入りもいいけど、早朝の塒出の飛翔も素晴らしいよ。一度、観に来る価値は十分ある」とアドバイスをもらっていた。
午前、4時29分辺りが暗いうちに起床、宿の外では伊豆沼の雁類が鳴き始めている。準備をして食事もせずチェックアウトし5時31分に出発、まっしぐらに蕪栗沼へと向かう。6時4分に蕪栗沼の南東岸の駐車場に到着する。誰もいない。望遠鏡やカメラを三脚にセットし沼の土手を歩いて行く。塒入りの時と同様に水面が見える場所に出たら待機する。東北の早朝の野外は「寒い」。チョウゲンボウが沼の外の電柱にとまり、アリスイがヨシ原の中で鳴いた。水面に浮かぶ雁類は想像していたよりも少なく感じた。たぶん塒入りしてからはヨシ原の中に入ってしまうものもあるんだろう。
しばらく待って周囲が明るく白み始めると雁たちの鳴き交わす声が落ち着かないように聞こえ始めた。するとマガンの第一陣が飛び立った。かなり数は多い。スマホの動画で写してみる。「あっちの数が凄い!」連れ合いが叫んだ。夢中で写しているうちに沼の北側のヨシ原から続々と雁類の群れが飛び立っていく。小さな群れ、大きな群れ、雁類特有の棹型になって沼を出て行く。しばらくしてシジュウカラガンの大きな群れが出て行くのが観察できた。夢中で飛翔姿を追い、カメラのシャッターを押し続ける。まるで僕たち二人が立っている土手が客席で沼とその上の空が大がかりなショーの舞台のようでもある。そして沼の周囲からはオナガガモの大きな群れが逆にヨシ原に塒入りするのも観察できた。雁とは逆に夜行性のカモたちが戻ってきているのだ。沼の水面の雁類の最後の群れが飛び立ち、すっからかんになった頃、スマホで時間を観ると7時35分となっていた。
タカの仲間のチュウヒが1羽、ヨシ原上をゆうゆうと飛翔し、ベニマシコが1羽鳴きながら飛んで行った。
<沼周辺の干拓地で雁類を観察>
塒出を堪能した後、蕪栗沼の北側のオオヒシクイの採餌ポイントへと移動する。土手から広い干拓地を一望できる場所である。双眼鏡で丁寧に観て行くがお目当てのオオヒシクイの姿は見つからない。ちょうど年度末の工事なのだろう。干拓地にはダンプやらクレーン車、ブルドーザーが入っていて忙しく動いていた。それらの音も大きい。おそらく採餌場を変えてしまったのだろう。コンロで湯を沸かし朝食を済ませてから次のポイントへと移動する。
沼の東側のマガンやシジュウカラガンの採餌場となっている情報を得ている干拓地に着く。広い干拓地の車道を雁類の群れを探しながらゆっくりと徐行して行く。いくつかのマガンの群れと出会い撮影しているうちにシジュウカラガンの30羽ほどの群れに遭遇した。距離も比較的近いし警戒していない。光も良くてしばらく車の中からカメラを構えて撮影させてもらった。
<再び蕪栗沼の土手へ>
12時44分、早朝に塒出を観察した沼の南東岸に再び戻る。沼の水面には結構マガンやシジュウカラガンが戻ってきている。早く餌場に向かった群れが休憩に戻ってきているのだろうか。土手の上から望遠鏡越しに観察していると飛翔する鳥影が横切った。雁たちが、ざわつき始めた。ヨシ原を低く♂の美しいハイイロチュウヒが飛んで行った。しばらくして沼の上空にタカ類の飛翔するシルエットが観えた。双眼鏡で追うとオオタカである。さらにチュウヒも2個体、飛んでいるのが観察された。なるほどタカが飛ぶ時間帯なので、これを嫌う雁類が落ち着かないようすだったのである。
<沼の中央道を歩いてみる>
13時22分、駐車場に戻り昼食をとる。目の前の電柱にタカの仲間のノスリがとまっていた。食事を済ませて、まだ帰りの時間には余裕がある。「沼の中央に作られたヨシ原の中の道を歩いてみよう」ということになり。腰を上げた。土手をぐるっと左にまいて歩いて行く。中央の道を進むがヨシの丈が高くて視界は悪い。それでもオオジュリン、ウグイス、エナガ、ツグミなどの小鳥類が観察できた。沼の中ほどまで来ると水面が少し見える場所があった。この辺りでチュウヒが3羽ゆったりと飛翔していた。時間を見ると15時30分、ここらでタイム・リミットとなった。
御名残惜しいが、ここからJRの「くりこま高原」駅へと向かう。途中、南方町の「道の駅」で家で留守番をする娘に郷土のお土産を買った。駅に着いたのは17時22分ですっかり周囲は暗くなっていた。3日間、足早に忙しく撮影取材してきたが帰りの新幹線の座席に着くと何とも言えない充実した感覚が蘇って来た。次回いつ来れるかは解らないが、また仕切りなおして、あの雁類のつぶらな瞳に会いに来よう。
画像はトップが蕪栗沼での雁類の塒出。下が向かって左から雁類の塒出3カット、マガンの群れ2カット、シジュウカラガン2カット。