長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

361. 公共美術館での個展の準備が進む。

2019-03-03 18:23:06 | 個展・グループ展
今春開催する千葉県内の公共美術館での僕の個展について、ブログやSNSを通して昨年から少しづつ触れてきた。

今年に入ってからはその準備に追われていた。1階建てのそれほど広い美術館ではない。その会場を二人の市にゆかりの作家で二分している。広くはないと言っても普段ギャラリーで開催する新作個展の規模ではない。50点弱の作品を展示する予定である。画廊での個展の2,5倍ほどのボリュームになるだろうか。

どのような内容にしようか少し悩んだ時期があったが、画廊での個展と同じような展示をしても意味がない。考えた末、30代からの自己の代表作を中心にセレクションすることにした。そして普段は画廊を替えて発表している神話や伝説をテーマとした幻想的な表現の作品と、野鳥や自然をテーマとしている写実的な作品の両方を一堂に並べてみることに決定した。初めての試みであり、どのように観えるかは自分でも解らない。

個展に臨むにあたって昨年11月から旧作の整理を行ってきた。絵画作品でコレクションされ人の手に渡ったものに関しては連絡を取り借用するようにした。版画作品で出品したいもののうち手元にないものは版を取り出して来て摺りなおした。先月末、ようやく出品予定の全作品が揃ったところである。
今回、作品を整理したり、借用したり、版画を摺りなおしたりして思ったのだが、絵画や立体等の専門の美術家はこうした展覧会を開くのはたいへんなことだと思った。つまりコレクションされた作品が数人に集中している場合はまだしも、テンデンバラバラに行き渡っていたならば探し出して借用するのは容易ではない。けっこう力作や傑作というものは作者の元を離れている場合が多いのではないだろうか。
その点から言うと版画は気持ちが楽である。何故かと言えば、特に銅版画や木版画等、版が堅牢で残るもので手元にシートがなければ摺りなおせばよいのである。これは大きな違いである。さらに画業が長くなって「回顧展」という規模になった場合、このことは大きいのではないだろうか。

展覧会は千葉県市川市の『市川市芳澤ガーデンギャラリー』4/12(金)~5/6(月・振替)まで開催される。ありがたいことに10連休が入る。そしてちょうど元号が変る時期でもある。美術館のホームページ・アドレスは、http://www.tekona.net/yoshizawa/ です。すでに展覧会内容がアップされています。ご覧になってください。

初めての実験的な展示内容に自分自身、少しワクワクしている。また会期が迫ってきたらブログ内でも展覧会の詳細をお知らせいたします。

画像はトップが先月末まで摺っていた木版画の摺り場のようす。下が向かって左から同じく木版画の摺り用具、銅版画の小プレス機、額装された作品たち(2カット)。