6/30(日)北海道『野鳥版画』取材旅行も5日目。最終日となった。
AM:5:41、新札幌駅近くの高層ホテルで朝を迎える。窓の外には町の遠方に石狩平野の森林地帯をのぞむことができる。実は最終日のこの日、前日までスケジュールを決めていないフリーの状態だった。候補地としては「ウトナイ湖サンクチュアリ」、初日と同じく千歳市の「嶋田忠・バードウォッチング・カフェ」、そしてホテルから近い江別市の「野幌森林公園」の3ヵ所が上がっていた。1つ目のウトナイ湖は今まで僕も2回程、尋ねているのだが「森林性の野鳥はこの季節はどうだろうか?沼水面の渡り鳥には季節が違う」ということでスルー。残り2ヵ所のうち野幌は夏鳥や森林性の鳥の繁殖期でベスト・シーズンだが6月の始めから若いヒグマが出没中、ということで千歳の方向に決まりかけていた。
だが、昨夜、3女の大学の友人たちと江別の居酒屋で飲み会を開いた後に親友のYさんが僕たち夫婦と一緒にバードウォッチングができるのを楽しみにしているということで、ヒグマ遭遇のリスクは覚悟して「野幌森林公園」に決定した。
ホテルで朝食を済ませチェックアウト。10:15に車で出発した。途中、江別市内の3女のアパートに立ち寄り2人と合流し合計4名で近隣にある「野幌森林公園」に向かった。30分ほどで森林公園の『自然ふれあい館』というネイチャー・センター側の入り口に到着する。この公園は2053haと言う広大な敷地面積なのでいくつかの入り口があるのだが、今回は野鳥が数多く観察できるというコースに近いこの入り口からスタートをすることにした。入り口付近には「ヒグマ出没中、注意!!」の看板が貼ってあった。さっそく連れ合いと2人で事前にクマよけに用意してきた「熊鈴」をウェスト・ポーチなどに装着する。"チリ~ン、チリ~ン" と音を鳴らしながら森の中に入って行く。「クマさん、しばしの間、僕らの前に出てこないでね」。入り口付近ではさっそくアオバトの哀調を帯びた声と2羽の可愛いハシブトガラが出迎えてくれた。それからエゾハルゼミの"ヨ~キン、ヨ~キン、ケケケケク…"という賑やかな合唱が響きわたっていた。先に来ていたバーダー風の大きなカメラを担いだ男性がすれ違いざま「数日前にこのあたりでクマゲラやヤマゲラなど北海道に生息するキツツキ類が飛び回っていたよ」と教えてくれた。
6月下旬の北海道の森林は樹木の葉が生い茂り美しいグリーンが眩しいほどである。さらに奥へ奥へと遊歩道を進んで行くとクロツグミ、キビタキ、オオルリ、ヤブサメ、センダイムシクイ、イカルなどの囀りや声が深い森林の中から聞こえてくる。キビタキの雄と雌が遊歩道近くをウロウロと飛び交っている。きっと巣立ち雛が近くの茂みにいるのだろう。Yさんが低い枝にとまるオオルリの雄を双眼鏡で見つけた。結構近い。全員で美しいブルーの羽衣をシッカリと観察することができた。この森の夏鳥は囀りの数から特にクロツグミとキビタキの生息密度が高いようだ。
それからこの森は野鳥だけではなくさまざまな生物が数多く生息している。遊歩道をゆっくりと歩きながら昆虫類のチョウやガ、甲虫、バッタ、、クモ類、植物の花、キノコ類などが観察できて飽きることがなかった。13:00過ぎに木製テーブルとベンチが設置された広場に出た。ここで遅めの昼食と休憩をとる。テーブルには誰かが杖代わりに使ったと思われる棒が1本立てかけてあった。よく観るとこの棒を短い羽を震わせて1頭の蛾が上ってきている。その形と大きさからスズメガの仲間であることが解る。羽化シーンに偶然出くわしたのである。3女に言って棒の下あたりを探索してもらったのだが蛹の抜け殻は見つからなかった。僕たちが昼食を済ませる頃には棒の先端に辿り着き、じっとしている。そしてだんだんと翅が伸びて来ていた。すると横にいた連れ合いがスマホ内の「蛾類図鑑」を検索し、羽の模様から種類を同定した。スズメガ科のエゾシモフリスズメという種類だった。名前に「蝦夷・エゾ」付くが北海道特産種ではない。しばらく翅が伸びきるのを観察していたいのだが時間も押して来ていて、まだ野鳥取材ポイントがこの先にあったので帰りに寄ってみることにして出発した。
大沢園地という野鳥観察のポイントに到着。屋根付きの四阿に荷物を降ろして周囲の鳥の声に集中する。この周辺でもキビタキとクロツグミの囀りがいくつも聞こえて来た。声がする樹の葉の繁みの中を双眼鏡で丁寧に探して行くと比較的近い距離の横枝にクロツグミの雄が止まって囀っている。あわててカメラを構えると少し離れた奥の繁みに入って行ってしまった。木の葉が繁ったこの季節の小鳥類の撮影は難しい。スマホを見ると14:00を過ぎている。帰りの飛行機の時間から逆算するとここでタイムリミット。元来たコースをUターンする。
帰り道、先ほどの広場でスズメガのようすを確認すると、まだ棒の先にとまっていてすっかり羽が伸びきっていた。白と黒とグレーのシックな着物のような色彩。ゆっくり画像撮影をさせてもらった。それから入り口付近まで来た所で太い木の幹に逆さに張り付いているエゾリスに遭遇。よく観ると前足でキノコをつかんで食事中だった。クリクリとした目が可愛い。人をあまり恐れずジックリと観察することができた。みんな大喜びである。朝来た入り口には15:13に到着。娘たちを江別市内のアパートまで送って、帰りの成田空港までの便に乗る新千歳空港へと向かった。
今回の4泊5日の『野鳥版画』制作取材の旅の連続投稿は5回に亘ってしまった。それだけ密度が濃かったということである。お付き合いいただいたブロガーのみなさん、ありがとうございました。次回の北海道取材は来年の3月、まだ雪の残る冬景色の中で冬鳥の観察撮影を行う予定である。その時にはまたお付き合いください。どうぞよろしくお願いいたします。
AM:5:41、新札幌駅近くの高層ホテルで朝を迎える。窓の外には町の遠方に石狩平野の森林地帯をのぞむことができる。実は最終日のこの日、前日までスケジュールを決めていないフリーの状態だった。候補地としては「ウトナイ湖サンクチュアリ」、初日と同じく千歳市の「嶋田忠・バードウォッチング・カフェ」、そしてホテルから近い江別市の「野幌森林公園」の3ヵ所が上がっていた。1つ目のウトナイ湖は今まで僕も2回程、尋ねているのだが「森林性の野鳥はこの季節はどうだろうか?沼水面の渡り鳥には季節が違う」ということでスルー。残り2ヵ所のうち野幌は夏鳥や森林性の鳥の繁殖期でベスト・シーズンだが6月の始めから若いヒグマが出没中、ということで千歳の方向に決まりかけていた。
だが、昨夜、3女の大学の友人たちと江別の居酒屋で飲み会を開いた後に親友のYさんが僕たち夫婦と一緒にバードウォッチングができるのを楽しみにしているということで、ヒグマ遭遇のリスクは覚悟して「野幌森林公園」に決定した。
ホテルで朝食を済ませチェックアウト。10:15に車で出発した。途中、江別市内の3女のアパートに立ち寄り2人と合流し合計4名で近隣にある「野幌森林公園」に向かった。30分ほどで森林公園の『自然ふれあい館』というネイチャー・センター側の入り口に到着する。この公園は2053haと言う広大な敷地面積なのでいくつかの入り口があるのだが、今回は野鳥が数多く観察できるというコースに近いこの入り口からスタートをすることにした。入り口付近には「ヒグマ出没中、注意!!」の看板が貼ってあった。さっそく連れ合いと2人で事前にクマよけに用意してきた「熊鈴」をウェスト・ポーチなどに装着する。"チリ~ン、チリ~ン" と音を鳴らしながら森の中に入って行く。「クマさん、しばしの間、僕らの前に出てこないでね」。入り口付近ではさっそくアオバトの哀調を帯びた声と2羽の可愛いハシブトガラが出迎えてくれた。それからエゾハルゼミの"ヨ~キン、ヨ~キン、ケケケケク…"という賑やかな合唱が響きわたっていた。先に来ていたバーダー風の大きなカメラを担いだ男性がすれ違いざま「数日前にこのあたりでクマゲラやヤマゲラなど北海道に生息するキツツキ類が飛び回っていたよ」と教えてくれた。
6月下旬の北海道の森林は樹木の葉が生い茂り美しいグリーンが眩しいほどである。さらに奥へ奥へと遊歩道を進んで行くとクロツグミ、キビタキ、オオルリ、ヤブサメ、センダイムシクイ、イカルなどの囀りや声が深い森林の中から聞こえてくる。キビタキの雄と雌が遊歩道近くをウロウロと飛び交っている。きっと巣立ち雛が近くの茂みにいるのだろう。Yさんが低い枝にとまるオオルリの雄を双眼鏡で見つけた。結構近い。全員で美しいブルーの羽衣をシッカリと観察することができた。この森の夏鳥は囀りの数から特にクロツグミとキビタキの生息密度が高いようだ。
それからこの森は野鳥だけではなくさまざまな生物が数多く生息している。遊歩道をゆっくりと歩きながら昆虫類のチョウやガ、甲虫、バッタ、、クモ類、植物の花、キノコ類などが観察できて飽きることがなかった。13:00過ぎに木製テーブルとベンチが設置された広場に出た。ここで遅めの昼食と休憩をとる。テーブルには誰かが杖代わりに使ったと思われる棒が1本立てかけてあった。よく観るとこの棒を短い羽を震わせて1頭の蛾が上ってきている。その形と大きさからスズメガの仲間であることが解る。羽化シーンに偶然出くわしたのである。3女に言って棒の下あたりを探索してもらったのだが蛹の抜け殻は見つからなかった。僕たちが昼食を済ませる頃には棒の先端に辿り着き、じっとしている。そしてだんだんと翅が伸びて来ていた。すると横にいた連れ合いがスマホ内の「蛾類図鑑」を検索し、羽の模様から種類を同定した。スズメガ科のエゾシモフリスズメという種類だった。名前に「蝦夷・エゾ」付くが北海道特産種ではない。しばらく翅が伸びきるのを観察していたいのだが時間も押して来ていて、まだ野鳥取材ポイントがこの先にあったので帰りに寄ってみることにして出発した。
大沢園地という野鳥観察のポイントに到着。屋根付きの四阿に荷物を降ろして周囲の鳥の声に集中する。この周辺でもキビタキとクロツグミの囀りがいくつも聞こえて来た。声がする樹の葉の繁みの中を双眼鏡で丁寧に探して行くと比較的近い距離の横枝にクロツグミの雄が止まって囀っている。あわててカメラを構えると少し離れた奥の繁みに入って行ってしまった。木の葉が繁ったこの季節の小鳥類の撮影は難しい。スマホを見ると14:00を過ぎている。帰りの飛行機の時間から逆算するとここでタイムリミット。元来たコースをUターンする。
帰り道、先ほどの広場でスズメガのようすを確認すると、まだ棒の先にとまっていてすっかり羽が伸びきっていた。白と黒とグレーのシックな着物のような色彩。ゆっくり画像撮影をさせてもらった。それから入り口付近まで来た所で太い木の幹に逆さに張り付いているエゾリスに遭遇。よく観ると前足でキノコをつかんで食事中だった。クリクリとした目が可愛い。人をあまり恐れずジックリと観察することができた。みんな大喜びである。朝来た入り口には15:13に到着。娘たちを江別市内のアパートまで送って、帰りの成田空港までの便に乗る新千歳空港へと向かった。
今回の4泊5日の『野鳥版画』制作取材の旅の連続投稿は5回に亘ってしまった。それだけ密度が濃かったということである。お付き合いいただいたブロガーのみなさん、ありがとうございました。次回の北海道取材は来年の3月、まだ雪の残る冬景色の中で冬鳥の観察撮影を行う予定である。その時にはまたお付き合いください。どうぞよろしくお願いいたします。