慢性肝炎(C型)で、ALTが80位を持続していた患者さん、インターフェロンでの副作用がとても心配と少量でも辛かったのでその後はしないで来てたのですが、ソブリアードならウイルスが今までよりも減る可能性があるしうまくいったら消えるかも知れないと5月12日から開始8月2日ソブリアード終了のパターンで開始しました。ウイルスは残念ながら、3.3までしか下がらなかったんだけど、ALTは30代の正常化してくれて、3ヶ月目には右の脇腹のだるさがなくなってすごく調子が良くなりましたと、喜ばれていました。今の量のインターフェロンなら続けられそうだからもう少し続けてみますとのことで、コペガスは200のままで、残り3ヶ月継続としました。少しでも副作用なくできるならしていた方が肝がんになる確率は間違いなく下げられるからと。
C型肝炎の治療はウイルスの陰性化を目指す治療と思われがちですが、最終的にはどれだけ肝がんを予防できるかです。助成制度はウイルスの陰性化目指す形でないと下りない形ですが、少しでも早くウイルスを減らし、炎症を押さえ、AFPの改善が得られるなどが実現できれば、肝がんの発生抑制は期待できるとされています。
よく、安定していますから待てますかと聞かれますが、副作用が強くてインターフェロンできない方であれば、待つという選択肢は重要だと思います。しかし、まだ一度もしていない方が、副作用が出るかも知れないからと待つということは、治療という言うことだけを考えたらお勧めできる形ではないと思っています。今の治療は副作用が辛かったらすぐやめてもいいので、まずはやってみて辛かったらすぐやめると言う形でもやってほしいです。辛くなくてできる方は2割以上います。ここで大事なのは、辛くなるなら早めにやめること、辛くない形で続けられる治療を調整してもらうことを勧めます。できるだけがまんできる範囲で効果を出すことも重要ですが、そのせいで治療後も体調不良を継続してしまうようになるとこれまた辛いです。その見極めがとても難しいですが、そうならないためにはこれだと続けるのがしんどいなあと思うときはまず減らし、それでも辛かったら休むことも選択枝として考えてほしいと思います。
B型C型肝炎の最終的な治療目標は、肝がんの発生ゼロです。ウイルスを減らす消すことは、その目的の一つの手段でしかありません。消せなくても、減らすことで肝がんの発生は予防する力があります。治療を一度もせずに待っている方は、本当にインターフェロンにチャレンジできないかを検討して、それでもできないなら待つ、やれる可能性が有るならチャレンジして判断してほしいと思います。
ウイルスが効くか効かないかではなく、効かなくても効く人がいるのが今の検査の限界です。聞かないとわかっているなら辛かったら早々に引き上げるという考え方もありだとは思いますが、やったら楽ちんでできるかも知れないという可能性をもっているのにしないことは、現状ではとても勧められないのです。
肝がんになる可能性がゼロではないというと心配される方もいるのであまり強調したくはないのですが、あまりにも待てるならという表現が、肝臓の医療講演会でされているので、肝がんでなくなっていく患者をたくさん診ている医師であれば、もうちょっと違う表現をされるのではないかと思います。
可能なら先生に聞いてみてください。『笑顔で健康な人生を送るために、今できる治療はありますか、それとも今はしない方がいい治療ですか』と。『少しでも安心して楽しく過ごせすためにできることはあるでしょうか』と。家庭や仕事や経済的なことも大切です、いろんなことを含んだ上で自分にとってあってる方向を見つけていってほしいと思います。私も毎回患者の診察で悩むところでもあります。