宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

もっとも詳細な宇宙の立体地図を作る

2012年08月13日 | 宇宙 space
過去最大の規模を持つ、宇宙の3Dマップが作られました。









“SDSS-III”によりマッピングされた
銀河の数々




これは、“スローン・デジタル・スカイサーベイIII(SDSS-III)”というプロジェクトの、6年にもおよぶ最大の成果となるものなんですねー


もともとプロジェクトは、専用の光学望遠鏡によって全天の25%以上の範囲を観測するものでした。
範囲内に含まれる銀河やクエーサーの位置と明るさ、そして距離を精密に観測することで詳細な宇宙の地図を作り上げるのが目的でした。




第3段階となる“SDSS-III”では、もっとも遠いもので地球から120億光年先にある、100万に近い数の銀河の位置を特定しています。
マップを作るときには、数千の銀河それぞれまでの距離を同時に計測ができる分光装置も使われました。

現在行われている調査は、これまでで最大だった調査と比べても、データ量が3倍以上となる大規模なものです。
でも、目標になっている全天の25%の調査に対して、その3分の1しか終えていないんですねー

研究チームはこの3Dマップを使って、暗黒エネルギーの性質をより詳しく解き明かそうとしています。
暗黒エネルギーは、宇宙の加速的な膨張の原動力となっている未知の力のことです。

多くの銀河を3Dマップに描画することで、
暗黒エネルギーのおよぼす力が、「宇宙の歴史の中でどう変化してきたのか?」っという疑問を解くカギになるようです。

すでにSDSSチームは銀河団の距離を計測して、
これらのデータが「暗黒エネルギーを考慮に入れた宇宙構造モデルと整合している」ように見えることを確認しています。

研究チームは、個々の銀河が地球からどれだけ離れているのかを測定することで、数億光年の範囲に広がる複数の銀河団のマッピングに成功しています。

はるか遠方の銀河の光は、数十億年の時間をかけて地球に届くことになります。
なので、これほど詳細なデータが得られたということは、初期の宇宙の姿についても推測が可能になってきた事を意味するんですねー

宇宙が誕生して間もない頃には、後に銀河団を形成することになる物質の密度は不均質でした。
引力の働きにより、所々に物質が密集している部分があったんですねー
そして時が経つにつれ、宇宙空間の密度の高い部分と低い部分の差は広がり、現在のようなパターンになったようです。

このパターンは、ビッグバンの最初の瞬間に刻まれたものが、そのまま今にまで残っているのだとか…

SDSSプロジェクトの宇宙マップは、はるか昔に宇宙でなにが起こったのか? を知る地層のようなものなのかも知れませんね。