宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

タイタン大気の有機分子の分に偏りが…

2014年11月04日 | 土星の探査
アルマ望遠鏡を用いた観測から、
土星の衛星タイタンの有機分子の分布に、
予想外の偏りが見られました。

このことは、生まれて間もないころの地球と似ている、と考えられているタイタンの大気で、
短いタイムスケールで、分子が作られることを示す成果になるんですねー


土星の衛星タイタンは厚い大気と湖、川、海を持ち、
太陽系の中で最も地球に似た天体と言えます。

でも、その極寒の表面にあるのは水ではなく、
メタンやエタンのような有機分子の液体なんですねー

また、タイタンの大気は、
太陽光と土星の磁場のエネルギーによって、
多彩な有機分子が作られる“天然の化学工場”として、
長く研究者の興味を引き付けてきました。

現在のタイタンの大気は、
生まれて間もないころの地球の大気と、
化学的な特徴が似ていると考えられています。

なので、地球の歴史を探る上でも、重要なターゲットなんですねー

今回の研究では、NASAの国際研究チームが、
タイタンの大気におけるシアン化水素(HCN)の異性体HNCと、
シアノアセチレン(HC3N)の分布を調べています。
アルマ望遠鏡がとらえたタイタン大気中の分子の分布。

シアノアセチレンが全体としてタイタンの極域上空に集まっているのは、
探査機“カッシーニ”の観測通りでした。

でも、さらに地表高度ごとの分布調査から、
もっとも上層(地表から300キロ以上)の大気では、
濃集が両極上空から少しズレていることが分かります。

分子の分布の偏りは、
東西方向の強い風(秒速60メートル)が吹く中で、
すぐに均一化されると考えられていたので、
このような偏りは予想外なものでした。

これは、分子の形成がとても短いタイムスケールで起こっていることを、
示しているそうです。

今回の発見は、アルマ望遠鏡にとって、
太陽系主要天体の大気を対象とした初めての観測結果になり、
タイタンをはじめとする太陽系天体の大気を、
よりよく理解するための観測が今後も期待されます。