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モバライダー mobarider

彗星着陸機“フィラエ”が送ったデータの解析は?

2014年11月26日 | 彗星探査 ロゼッタ/フィラエ
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸した“フィラエ”が送ったデータの初期分析から、
彗星の大気の成分や表層のようすが、少しずつ明らかになってきたようです。


今月12日に探査機“ロゼッタ”から分離されたとき、
“フィラエ”は着陸を待つことなく、
多目的センサー“MUPUS”で、彗星周辺の環境観測を開始していたんですねー

“MUPUS”の一連の機器のうち温度計や加速度計は、
発射に失敗した機体固定用の銛(もり)といっしょに収納されていたので、
残念ながら、それらのデータは得られませんでした。

でも、機体に取り付けられていた温度分布図作成器は、
下降中および3回のタッチダウンの最中にも、観測を続けることになります。

その観測データによると、“フィラエ”の最終着陸点の温度は、
摂氏マイナス160度より低いことが分かります。
“フィラエ”に搭載された観測装置

さらに、土壌サンプルや気化しやすい化合物の分析を行う“COSAC”からは、
着陸直後に大気中の有機分子が検出されるんですねー


“フィラエ”は、地表面下へのプローブ(深針)の打ち込みも行っています。

ただ、モーターのパワーを最大に上げても、数ミリより深く打ち込むことはできず…

実験室での計測データと比較してみると、
どうやら、がちがちに凍った氷のように硬い表面に出くわしたようです。

温度分布測定とプローブの打ち込みの結果から、
彗星表面には、厚さ10~20センチのチリの層があり、
初期評価では、その表面は硬い氷か、あるいは氷とチリの混ざった混合物で、
覆われていると考えられています。

“ロゼッタ”の観測から、
彗星核全体では、低密度であることが分かっているので、
さらに深いところでは、氷はすき間の多い“すかすか”な構造なんだとか…

今後、十分な電力を得て“MUPUS”が再び作動すれば、
プローブが差し込まれた層を直接観測でき、
太陽に接近するにつれて起こる変化を見ることができるそうですよ。
“ロゼッタ”のOSIRISカメラによる“フィラエ”。
降下して最初のタッチダウンから、リバウンドしたようす。