宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

粒子数2400億で天の川銀河の進化をシミュレーション

2014年11月18日 | 宇宙 space
約2400億個の粒子を用いた、
過去最大規模の天の川銀河進化の数値シミュレーションが行われました。

これにより銀河内の星の観測データと、
直接比較できるシミュレーションデータを、得ることができるようになり、
天の川銀河の構造や進化過程が、明らかになっていくと期待されているんですねー


天の川銀河の円盤の中に位置する太陽系からは、
渦巻く銀河の姿を直接見ることはできません。

その構造を知るには、
銀河内の星の位置や速度の正確な測定が必要で、
ヨーロッパ宇宙機関の位置天文宇宙望遠鏡“ガイア”や、
開発中の日本の衛星“ジャスミン”によって、
今後さらに正確に分かるようになるはずです。

さらに、観測データを読み解くには、
星の運動が銀河のどのような構造を反映しているかを、
知っておく必要があるんだとか…

そのためには、銀河の構造や星の運動の関係を、
直接知ることができるシミュレーションが重要な役割を果たすことになります。

観測とシミュレーションとを合わせることで、
天の川銀河の構造と、そのメカニズムが初めて明らかになるんですねー

シミュレーションで計算された銀河の姿。
緑色部分は、重力計算のための領域分割を可視化したもの。

シミュレーションと観測を比較するためには、
数千億個もの星や銀河周囲のダークマターの間に働く重力を計算して、
個々の星の運動を導き出さなければなりません。

でも、これまでは1000個程度の星を、1つの粒子にまとめて置き換えるなど、
簡略化した計算しかできませんでした。

今回の研究では、
より現実に即したモデルとして、2400億個の粒子を用いて天の川銀河を表現し、
スーパーコンピュータによるシミュレーションをしています。

この粒子数は、従来の計算の数百倍から数千倍になり、
世界最大規模の天の川銀河シミュレーションになるんですねー

シミュレーションで再現された天の川銀河を可視化したもの。
青や白が星、ダークマター粒子は表示していない。

今回開発されたアプリケーション“Bonsai”では、
星と星の間に働く重力の計算を全て画像演算処理専用プロセッサ(GPU)で、
通信とそれに関わる計算はCPUで行うことで、
GPUとCPUを同時にフル活用できるように工夫されています。

観測データとシミュレーションで得られた結果を比較することで、
天の川銀河の棒状構造や渦巻き腕の位置、大きさ、
それらの構造の進化過程が明かされることになります。

さらに、観測では直接見ることのできない天の川銀河の構造。
これも、シミュレーションによって作られる銀河から解明できるかもしれませんね。