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彗星活動が刻む模様  彗星探査機“ロゼッタ”の成果

2015年02月02日 | 彗星探査 ロゼッタ/フィラエ
2014年の8月から、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を、
追跡しながら探査しているヨーロッパ宇宙機関の探査機“ロゼッタ”。

この“ロゼッタ”の初期成果が発表され、
彗星の物理的な性質や、彗星活動を物語る地表のようすなど、
多くのことがが明らかになってきたんですねー
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星のさまざまな計測結果。

まず、2つの塊がくっついたような彗星核の概観の正確なサイズや、
体積などが測定で求められました。

総質量はおよそ100億トンで、
大部分は密度1500~2000kg/m3の水の氷とチリで出来ています。

でも、70~80%の空洞部分があるので、全体の密度は470kg/m3と少ないんですねー
氷とチリの塊がゆるく集まった、すかすかな構造のようです。

ただ、彗星の形状については、
  1つの大きな天体が削られたものなのか、
  それとも2つの天体がくっついたものなのか、
まだはっきりはしていません。

2つのパーツの組成がよく似ているので、前者がやや有力だそうです。

彗星核の表面は、日の当たる北部を中心に全体のおよそ7割が撮影済で、
「大きな窪地」、「ぽろぽろ」、「岩石状」などさまざまなタイプが見られています。

太陽光を多く浴びる北部では、
氷の揮発にともなってチリも多く放出され、
その一部がふたたび表面に降り積もるので、
多くのチリに覆われているんだとか…

表面のチリの厚さは数ミリに及ぶところもあり、
彗星内部の熱を閉じ込めているようです。

表面の大部分は、チリなどの炭素物質なんですが、
ところどころに氷が露出した白っぽい部署も見られています。
彗星の揮発活動によって作られたとみられる地形。

地球では風が作る、砂丘のような波や岩陰の細かい模様は、
彗星活動によって作られたもののようです。

最長500メートルにもおよぶランダム方向のヒビや鳥肌のような模様など、
彗星の形成プロセスに関連しそうな興味深い地形も見つかっているんですねー

彗星からの放出は主にくびれの部分からですが、
小さな穴から局所的なジェットが放出される箇所もあるんだとか。
局所的な彗星ジェットが放出されている箇所。
右画像でジェットが見える。

彗星活動の変化については、2014年6月の水の放出が毎秒0.3リットル、
8月末には毎秒1.2リットルと、すでに増加が観測されています。

今年8月の近日点通過にともない、
彗星から放出されるチリやガスの量や組成の変化、
彗星コマに太陽風や紫外線が当たって作られる電離圏・磁気圏の発生、
前回の近日点通過で放出され、彗星周囲に残ったチリの動きなどが注目されているんですねー