2013年8月に出現した新星爆発をハワイのすばる望遠鏡が観測し、
3番目に軽い元素のリチウム(Li)が、大量に生成されていることが分かりました。
リチウムはビッグバン時に生成されるとともに、
恒星や新星、超新星、星間空間などで作られると考えられていて、宇宙の物質進化をたどる試金石になる元素です。
でも、リチウムを生成・放出している天体が、直接観測されたのは今回が初めてなんですねー
今回の観測は、
新星爆発が宇宙のリチウムの主要な起源であることを示すことに…
そして、宇宙の元素の起源を探る新しい手掛かりが、新星爆発であることも分かってきました。
水素やヘリウムに次いで3番目に軽い元素のリチウムは、
パソコンやスマートフォン、エコカーなどのバッテリーに広く使われています。
そのリチウムの生成は、
宇宙の始まりのビッグバン以外に、
多様な天体や現象に関わって増えていくと見られていて、
「リチウムが分かれば宇宙が分かる」と言われるほど重視されています。
ただ、新星爆発が重要なリチウムの起源だと推測されるようにはなったのですが、
リチウム生成の証拠を直接観測できた例は、これまで無かったんですねー
2013年8月14日に、
山形市のアマチュア天文家が、
天の川銀河の縁にある小さな星座、いるか座に突如現れた新星を発見します。
この天体は、
地球から約1万4000後年離れていて、
発見の2日後に最大光度約4.3等の明るさに達し、肉眼でも見える明るい新星になりました。
そして研究グループが、この新星に着目することになります。
爆発から38日目~52日目の4回、すばる望遠鏡の高分散分光器で光のスペクトルを観測し、
新星爆発で放出された物質(ガス)の成分を精密に調査。
すると、スペクトルに、
4番目に軽い元素ベリリウム(Be)の同位体7Beの吸収線が見つかることに…
7Beは、伴星から流入してきたガス中のヘリウム同位体3Heと、
白色矮星表面に豊富にある4Heが、高温状態で反応して生成されたと考えられ、
7Beは53日の半減期で7Liに変わるんですねー
今回の観測は、
リチウムの元になる7Beが、
新星爆発で生成される現場をとらえたことになりました。
そして、7Beが秒速1000キロの爆風に吹き飛ばされていることも分かり、
ここで作られたリチウムが星間空間に飛散し、次の世代の星の材料になるというシナリオが浮かび上がってきました。
吸収線の強さから、星間空間に放出されるリチウムの量を計算したところ、
放出物質中にはカルシウムに匹敵する量が含まれていることが分かったんですねー
このことは、微量元素のリチウムとしては破格の量で、
従来の新星爆発の理論の予測値に比べて6倍以上にも上りました。
新星は、白色矮星と伴星が非常に近くにある近接連星で発生します。
白色矮星の表面に伴星からガスが降り積もり、
そのガス層が高温・高密度なることで生じる核融合が、暴走して起きる爆発現象が新星です。
星が一生の最後に華々しく爆発する超新星とは異なり、出現数も多いそうです。
今回の観測では、新星爆発が現在の宇宙でのリチウムの主要な起源であることが分かりました。
見つかったガス中のリチウムの組成比は理論よりも多く、
非常に合成率が良いと言えます。
この発見をきっかけに、新星爆発の観測例を増やせれば、
宇宙のリチウム合成工場としての実態が、よりはっきりとするでしょうね。
3番目に軽い元素のリチウム(Li)が、大量に生成されていることが分かりました。
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新星爆発(イメージ図) 新星爆発は白色矮星(中央右側)と、 伴星(左)からなる連星系で起こる 爆発現象と考えられている。 |
リチウムはビッグバン時に生成されるとともに、
恒星や新星、超新星、星間空間などで作られると考えられていて、宇宙の物質進化をたどる試金石になる元素です。
でも、リチウムを生成・放出している天体が、直接観測されたのは今回が初めてなんですねー
今回の観測は、
新星爆発が宇宙のリチウムの主要な起源であることを示すことに…
そして、宇宙の元素の起源を探る新しい手掛かりが、新星爆発であることも分かってきました。
水素やヘリウムに次いで3番目に軽い元素のリチウムは、
パソコンやスマートフォン、エコカーなどのバッテリーに広く使われています。
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今回の新星“Nova Delphini2013”発見画像。 上左が爆発前(発見約1日前)、右が爆発後の新星。 下は口径60センチ望遠鏡による確認画像。 |
そのリチウムの生成は、
宇宙の始まりのビッグバン以外に、
多様な天体や現象に関わって増えていくと見られていて、
「リチウムが分かれば宇宙が分かる」と言われるほど重視されています。
ただ、新星爆発が重要なリチウムの起源だと推測されるようにはなったのですが、
リチウム生成の証拠を直接観測できた例は、これまで無かったんですねー
2013年8月14日に、
山形市のアマチュア天文家が、
天の川銀河の縁にある小さな星座、いるか座に突如現れた新星を発見します。
この天体は、
地球から約1万4000後年離れていて、
発見の2日後に最大光度約4.3等の明るさに達し、肉眼でも見える明るい新星になりました。
そして研究グループが、この新星に着目することになります。
爆発から38日目~52日目の4回、すばる望遠鏡の高分散分光器で光のスペクトルを観測し、
新星爆発で放出された物質(ガス)の成分を精密に調査。
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新星からの光が観測者まで届く概念図。 |
すると、スペクトルに、
4番目に軽い元素ベリリウム(Be)の同位体7Beの吸収線が見つかることに…
7Beは、伴星から流入してきたガス中のヘリウム同位体3Heと、
白色矮星表面に豊富にある4Heが、高温状態で反応して生成されたと考えられ、
7Beは53日の半減期で7Liに変わるんですねー
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新星爆発時に生成された7Be、 そして7Liを生成する原子核反応。 |
今回の観測は、
リチウムの元になる7Beが、
新星爆発で生成される現場をとらえたことになりました。
そして、7Beが秒速1000キロの爆風に吹き飛ばされていることも分かり、
ここで作られたリチウムが星間空間に飛散し、次の世代の星の材料になるというシナリオが浮かび上がってきました。
吸収線の強さから、星間空間に放出されるリチウムの量を計算したところ、
放出物質中にはカルシウムに匹敵する量が含まれていることが分かったんですねー
このことは、微量元素のリチウムとしては破格の量で、
従来の新星爆発の理論の予測値に比べて6倍以上にも上りました。
新星は、白色矮星と伴星が非常に近くにある近接連星で発生します。
白色矮星の表面に伴星からガスが降り積もり、
そのガス層が高温・高密度なることで生じる核融合が、暴走して起きる爆発現象が新星です。
星が一生の最後に華々しく爆発する超新星とは異なり、出現数も多いそうです。
今回の観測では、新星爆発が現在の宇宙でのリチウムの主要な起源であることが分かりました。
見つかったガス中のリチウムの組成比は理論よりも多く、
非常に合成率が良いと言えます。
この発見をきっかけに、新星爆発の観測例を増やせれば、
宇宙のリチウム合成工場としての実態が、よりはっきりとするでしょうね。