生命誕生の小道具を100万歳の若い星で発見！

455光年彼方に位置する生まれたての星の周囲。
ここに複雑な有機分子であるアセトニトリルが大量に発見されました。

このことは、生命誕生のカギになる物質が、
太陽系以外でも普遍的に存在することを示す、重要な成果になるんですねー

“WMC 480”の原始惑星系円盤とアセトニトリル分子。 （イメージ図）

おうし座分子雲の中にある“WMC 480”は、
生まれて100万年ほどのとても若い星で、
自身の材料となったチリやガスが渦巻く円盤“原始惑星系円盤”を、
周囲にまとっています。

アルマ望遠鏡で電波観測したところ、
恒星からおよそ45億～150億キロ離れた円盤外縁に、
地球の海に匹敵する量のアセトニトリル（CH3CN）が検出されることに…

アセトニトリルなど、
シアン化物に含まれる炭素-窒素結合（強く結びついた炭素と窒素）は、
生命の材料であるアミノ酸の重要なパーツでもあります。

原始惑星系円盤で、
こうした複雑な有機分子が見つかるのは初めてのことで、
このことは、豊富な水と有機分子がそろう太陽系は、
珍しい存在ではないという、新たな証拠になるんですねー

また、今回見つかった量の多さから、
円盤の中で有機分子が、とても速いペースで作り出されているようです。

アセトニトリルが検出された場所は、
太陽系で言えば海王星を越えた、外側の領域“カイパーベルト”にあたります。

“カイパーベルト”には、
太陽系が生まれたころの物質を閉じ込めた氷の天体が分布していて、
ときおり太陽系の内側へ迷い込んで、彗星として姿を現します。

これらの彗星が地球に衝突することによって、
水や有機物がもたらされ生命誕生のきっかけになった、とも考えられています。

“WMC 480”の円盤の中で、
惑星が生まれつつあるかどうかは、まだ確認されていません。

でも、太陽系の生命誕生のシナリオを実現させた小道具が、
他の惑星系でも普遍的に存在することを示せたんですねー

今回の発見は重要な成果と言えますね。