宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

世界最大規模のダークマター シミュレーション

2015年06月19日 | 宇宙 space
スーパーコンピュータ“京(けい)”と“アテルイ”を使って、
世界最大規模の宇宙構造形成の大規模シミュレーションが行われたんですねー

宇宙初期から現在に至る約138億年間に、
ダークマターが作り出した宇宙の構造とその進化の過程が、
これまで以上の精度で明らかになったそうです。


宇宙には、電磁波で観測可能な物質のほかに、
重力による相互作用でのみ存在を検知できる、
暗黒物質“ダークマター”が存在すると言われています。

ダークマターは通常の物質の5倍程度存在すると考えられ、
宇宙における重力的な構造形成や進化に、主要な役割を果たしているんですねー

銀河の周囲にはダークマターハローと呼ばれる、
銀河の10倍ほども広がる巨大な構造があります。

ダークマターハローは小さいものから形成され、
合体を繰り返して大きく成長し、
その内部で銀河や銀河団が作られて行きます。

なので、ダークマターハローの空間分布をシミュレーションで明らかにすれば、
その中の銀河などの空間分布も、推定することが出来ることになります。

そして、ダークマターハローの分布や、
構造の変化を解明するために活用されたのが、
理化学研究所のスーパーコンピュータ“京”や、
国立天文台の“アテルイ”の強力な計算パワーです。

宇宙初期から現在に至る、
約5500億個ものダークマター粒子の重力進化を計算したんですねー

ダークマターの分布の進化。
空間スケールが異なる2種類のシミュレーション、
(上段)一辺約54億光年、(下段)一辺3.3億光年。
より明るいところほど密度が高い。

シミュレーションは、最大で一辺がおよそ54億光年に及ぶ空間サイズ…

これほど大きい空間でのシミュレーションとしては、
世界最高の分解能で、銀河スケールのダークマターハローの階層的形成を、
追うシミュレーションとしては世界最大規模なんだとか。

1枚目のパネル、一部を順に拡大したもの。
右下は、このシミュレーションで形成した一番大きい、
銀河団サイズのダークマターハロー。

また、最大規模のシミュレーションの他に、
空間サイズやダークマター粒子の大きさが異なる、
複数のシミュレーションも行っています。

モデル化されたのは、
質量スケールに換算して、およそ8桁にもおよぶ範囲での、
ダークマターハローの構造形成史。

これにより、初期宇宙から現在にわたって、
矮小銀河から銀河団におよぶ多種多様な天体の形成、進化過程、
そして空間分布を探ることが可能になったんですねー

シミュレーションの可視化映像は、
国立天文台のリリースページで見ることができるようです。