宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

ガンマ線バーストが起きそうで起きない超新星

2015年06月22日 | 宇宙 space
超新星爆発には、
宇宙最大規模の爆発現象になるガンマ線バーストが、
発生するものと、しないものがあります。

両者の中間にあたる天体は、長い間推測されてきたものの未発見のまま…

でも、2012年に見つかった超新星が、
この天体に相当するのかもしれないんですねー


2012年2月に、
オリオン座の銀河“NGC 1729”に出現した超新星“SN 2012ap”は、
重力崩壊型(核崩壊型)超新星の一種になる“Ic型超新星”です。

“SN 2012ap”は、
ガンマ線バーストの発生につながると思われる、
多くの特徴を持っているのですが、
これまで、そのようなバーストを起こしていない超新星になります。

どうやら、ガンマ線バーストが発生する超新星と、
そうでない超新星との間のギャップを埋める天体のようなんですねー
超新星出現前の銀河“NGC 1729”(左)。
印の箇所に出現した超新星“SN 2012ap”(右)

重力崩壊型の超新星爆発では、中心核は中性子星やブラックホールになり、
それ以外の物質は、宇宙空間にばらまかれます。

一般的な場合、
ばらまかれる物質は、ほぼ球対象に広がるのですが、
その速度は遅く、ガンマ線バーストは見られません。

でも低確率ながら、
中性子星やブラックホールを取り巻く降着円盤に、
物質が落ち込むことがあり、
この場合には、降着円盤の両端から超高速ジェットが放出されます。

これまで、ガンマ線バーストが発生する超新星爆発では、
この超高速ジェットと思われるガスの運動が見られることや、
ガスの速度が日数の経過に伴って、
減速していくという特徴が知られていました。
普通の重力崩壊型超新星(左)、
“SN 2012ap”のような中間型超新星(中)、
降着円盤と光速に近い両極ジェットにより、
ガンマ線バーストが生成される(右)

“SN 2012ap”の場合も超高速ジェットが見られ、
しかも日が経つにつれて、
ジェットが減速していくという特徴もとらえられました。

にもかかわらず、“SN 2012ap”からはガンマ線バーストが見られていません。

このことは超新星の多様性を示しているのかもしれません。

ひょっとすると、ジェットの中の粒子の重さが、
ガンマ線バースト発生の有無を分ける要因の一つなのかもしれませんね。