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ラブジョイ彗星は宇宙の醸造所? 毎秒ワイン500本分のアルコールを放出

2015年11月03日 | 流星群/彗星を見よう
今年初めに明るくなったラブジョイ彗星を電波で観測したところ、
ピーク時には、毎秒ワイン500本分ものアルコールを、
宇宙に放出していることが分かったんですねー

酒類に含まれる身近なエタノールが彗星から検出されたのは初めて。

さらに、単糖類の一種になるグリコールアルデヒドや、
21種類の有機分子も彗星から発見されたそうです。


マイクロ波を調べてみると

昨年8月に発見されたラブジョイ彗星は、今年の1月に太陽や地球に接近。
4等台まで明るくなって、私たちの目を楽しませてくれました。

太陽に最接近した1月30日ごろ、
スペインのシエラネバダ山脈の“IRAW30m電波望遠鏡”によって、
彗星がマイクロ波で観測されています。

このころには彗星から毎秒20トンの割合で水が放出されていました。
2015年2月12日に撮影されたラブジョイ彗星

彗星の大気中の分子が太陽光からエネルギーを得ると、
特定のマイクロ波で輝きます。

その波長や強度を調べることで、
どのような種類の分子が、どれくらい存在しているかを知ることが出来るんですねー

そして、ラブジョイ彗星の観測からは、
大量のエタノール(エチルアルコール)とグリコールアルデヒド、
および21種類の有機分子が発見されます。

エタノールは酒類に含まれる身近なアルコールですが、
彗星から検出されたのは初めてのことでした。


彗星の有機分子が生命誕生のカギになる?

約38億年前、地球に最初の海が誕生し始めたころ、
多くの彗星や小惑星が、地球へ降り注ぐように衝突した時期“後期重爆撃期”がありました。

一部の研究者は、
彗星の衝突によって生命誕生につながる有機分子が、
地球にもたらされたと考えています。

なので、ラブジョイ彗星で複雑な有機分子が発見されたことは、
そのことを裏付ける証拠の一つになるんですねー

複数の炭素原子からなる分子の発見…
つまり、糖や複雑な有機分子になるアミノ酸などが作られ始めているところを、
観測したわけです。

また今年の7月には、
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を探査機“ロゼッタ”が探査しています。

その“ロゼッタ”から彗星へ降下した着陸機“フィラエ”が、
16種類の有機化合物を検出。

その中には、アミノ酸や核酸塩基、
糖類を作るために重要な役割を果たす物質が含まれていました。

これら彗星で発見された有機物質が、どこから来たのか?

太陽系を形成する元となった原始的な雲からか、
それとももっと後、まだ若かった太陽を取り巻く原始惑星系円盤の中で作られたものなのか。

次のステップは、これを突き止めることだそうです。


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